③サッカー選手
ひめめ「その前に、過去に戻ってどうしたいかを細かく教えて?ひめめ知りたい!」
「それは……まずはやっぱり、もっともっとサッカーの練習をするべきだった。」
「その時はさ、友達と遊ぶ時間が欲しいからサッカー練習する時間なんか、無理やり作らなかったんだ。でもその積み重ねが大事だったと思う」
「あとは……」
ひめめ「あとは?」
「俺さ、高校の時サッカー部でさ、結構うまかったんだよ。でも……」
「同じチームにも同じくらい上手い奴がいて、そいつがイケメンだったんだ」
ひめめ「イケメン……?」
「今なら分かるよ、どーでもいいことだって!俺は元々サッカー選手になりたかったんだから。……でも」
「試合をしても、練習をしても、そいつばっかがキャーキャー言われて、挙げ句の果てに……」
「俺が邪魔で、そのイケメンが見えない!って文句まで言われたりして」
「それってさ、サッカー選手になったら、俺なんかよりイケメンだったり、人気の選手が出てきたら、同じようなことが起きるってことだろ?」
「サッカー選手ってキャーキャー言われる職業でもあるからさ、俺すっかり自信なくなっちゃって」
「でも、でも、過去に戻れたら……俺はそれでもサッカー選手になりたいって思うんだ。だって俺は、サッカー選手として、サッカーをしたいんだから!」
ひめめ「なるほどお〜〜」
桜川ひめこは、腕組みをして、うーんと何やら唸っている。
ふと周りを見渡すと、公園に来ている子供の親が、俺たちを見てヒソヒソなにかを話している。
俺は通報されるかも、という焦りとともに
「まあ〜〜でも、無理だろ!タイムマシンなんてないだろ?俺もう帰るよ!!」
そう言ってベンチを立ち上がると
ひめめ「やり直せるよ、過去」
そう言って、桜川ひめこは はじめて
真面目な、凛とした顔を見せた。
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