頭ぽんのおはなし
母は亡くなる直前まで毎日子どもたちの頭を撫でることが日課だった
私はそれがとてもすきだった
兄も好きだったと思う
弟はきっと覚えてない
母が亡くなってからは兄が私と弟の頭をぽんぽんするようになった
ほとんど毎日だ
いいことがあった日も悪いことがあった日も
いつも同じ頭ぽんがくる
頭ぽんのあの安心感ってなんだろうか
ある日、ふと思った
私には兄が母の代わりに頭ぽんをしてくれるけど兄には誰がするんだろう
母が亡くなったときには中学生だったとはいえ、やっぱりいつもの習慣が無くなってしまえば喪失感は大きいと思う
そんなことを考えた日の夜中に目を覚ました私がリビングに降りていくと父と兄が話をしていた
内容はいまいち聞き取れなかったが、父が兄に頭ぽんぽんしているのをみた
兄は
「父さんもう餓鬼じゃないんだから」と
父は
「お前にこれをしてやれるのは父さんだけだから」と
兄は「はっず」なんて言っていたが安心した顔をしていた
私は部屋に戻った
当時高3だった兄のあんなに安心した顔は見たことがなかった
私があの時「見たよ〜」と2人の前に出てったりしていたら兄はどんな顔をしたんだろうか
最近になって知ったことだが父もほとんど毎日兄に頭ぽんをやっていたらしい
(私と弟は会う度にされていた)
私も弟にすることがあるのだが、
「んー、パパとお兄ちゃんがいい」
と必ず言われる
なんだろう?力強さかな?
そういう次元の話じゃないんだろうな
最近は父も兄もすれ違いざまにぽんっ!としてくるのであまり特別感はなくなってきた笑
弟にはしっかり向き合って頭ぽんするのに笑
もう私も成人したからだろうな
ただお出かけ前に頭触られるのはちょっと怒りたくなる(きっとこれあるある)
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