父の話

父が21母が17のときに婚約したらしい
親同士の約束の結婚なんて古かったけど
2人は付き合い始めた

付き合って2年で結婚した。

兄が産まれたのはその1年半後だ

父は祖父の仕事を継ぎ、母は大学へ通った
母の大学在学中に私も産まれた

父は忙しい人だった
休日はよく遊んだが平日は朝しか父に会えなかった
兄はいつも寂しいね、と言っていた
そんな忙しい父だけど運動会だけは必ず見に来てくれていた
(運動会までの1週間は2日くらいしか会えなかったけど)

小さい頃は
父のこと好きか?と聞かれたら
うん、10番目くらいには好きかなといつも答えていた
むしろ、父が連れてくる友達の方が好きだった

父は母の病気が発覚してからは一緒にいる時間が増えた。正直戸惑った。けれどほんの少しだけ嬉しかった
父は母を病院から連れて帰ってきた
覚悟を決めてのことだったんだろう
母が家に帰ることを望んだんだろう
そして最期は家で看取った

私は、母が帰ってきてからの1ヶ月は父と母の間で眠った。すごく居心地がいい場所だった。そこよりも好きな場所を未だに見つけられていない

母が亡くなって10年くらいだが
父にいい人いないの?と聞くことがある
父は決まって
「もう一度ママが現れたらかな」
と、なんかいい話になってしまう…

父は老けない
1番昔の記憶の父と顔が変わらない

もし、父に新しい恋人ができても
母は母だからって私達は受け入れることができるだろう。
それが母からの父に関する最期のお願いだったから
父は頑なに拒むけどね

コロナの自粛中に父の会社は在宅ワークとなり、オンライン会議をしていたのを
3回邪魔したのは私の指示を受けた弟だ
そのおかげで会議は早く終わりみんなで遊べた。めでたしめでたし

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