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【超ショートショート】(36)~涙の卵とイチゴジャム~☆いつか きっと☆光GENJI☆

君が、元気のない顔をしている。

朝、先生から、
「今日から、突然なんだが、
橋本の名字が石川に変わることになった。
これは、橋本の家の事情でそうなるから、
みんなも、
これからは石川と呼んであげてください。」


君は、 しばらく、
石川と呼ばれる度に、
哀しい顔をしながら、身体を震わせていたね。


僕らは、帰り道が一緒だったから、
いつも一緒に帰っていた。

小学生の帰り道では、
ままごと遊び。 
僕が旦那で、君が奥さん。
君が電話に出ると、
急に高い声になるから、
よく側を歩くおばさんに笑われた。

まだ君が橋本の時の帰り道、
将来の夢や恋の話をした。
君の将来の夢は、
一番大好きな人のお嫁さんになることだった。

「今好きな人いるの?」

(君)
「うん、◯◯先輩。」

君が石川になってすぐ、
名字が変わった事が珍しかったのか、
学校中の話題になり、
君の好きな◯◯先輩にも、
話が伝わってしまった。

(◯◯先輩)
「ねぇ、君、2年の橋本だよね?
あっ!違うか、親が離婚して、
石川に改名したんだっけ?(笑)」

(君)
「・・・・・(涙)」

そんな大変な日の帰り道、
僕は、君の後を歩くしか出来なかった。
君の背中は、
丸まって震えていた。


両親の離婚には、
みんなが知らないほどの時間が必要だった。
君は、大人の事情と話すけど、
少しずつ、どこかで夢をあきらめ、
見ないように絶望しているようだった。


国語の時間、
「将来の夢」の作文が宿題になる。

1週間後、
授業中に、先生が読んでほしいと、
君の作文が選ばれる。

「将来の夢はありません。」

この一文しか書いていなかった。

「なぜ?」と問う先生の質問にも、
ずっと無口で、答えなかった。


その帰り道、
僕は校則違反の買い食いをする。
君の好きなイチゴジャムたっぷりの
サンドイッチを、
君のために買った。

僕らは、
マンションの屋上で、
そのサンドイッチを食べながら、
君が話し始める。

「将来の夢って何にすればいいのかな?
うちの親のことで、親戚のおばさんが、
〈あなたのお母さんのお母さんも
離婚してるからね。
血は争えないっていうか、蛙の子は蛙って本当ね。
あれだけ結婚も反対されたのに聞かないから、
結局離婚でしょう。(笑)〉って言われちゃって、
最後には〈あなたも気を付けなさいよ!
あれなら、一生独身の方がいいかもね。
シングルで苦労する事ないんだからね。〉
って(笑)」

君がどんな答えを僕に求めているのか、
わからないから、
親戚のおじさんの話をした。

「うちのおじさんは、離婚を何度もしてるんだよ!
今で何回目かな、
すぐに新しい奥さんが見つかるから、
うちのお父さんも関心してたよ!
〈子供の頃は、
太っていて全然モテるタイプじゃなかったし、
いつも告白する度に、泣いて帰って、
やけ食いして、また太るんだ〉って(笑)。」


僕のおじいちゃんの家には、
むかしの蔵がある。
その蔵の中の開かずの扉がある。
この開かずの扉を開くためには、

「夢を持つこと」だって、

おじいちゃんが話す。

「もし、その夢が、
心の底から叶えたいと望むものなら、
開かずの扉が開き、そして、
その夢を叶えてくれるだろう。」


蔵は、
むかし有名な占い師が作った。
その占い師は、相談する大名を連れては、
この開かずの扉を開けるように奨める。

すんなりと開けられる者は、
出世して、天下人になるといい、
開けられない者は、
現状維持かそれ以下になる。

この扉の秘密は、
決して相談者には知らせず、
これからの占いでの参考に使ったという。

また、この扉の素材は、
平安時代に3000年の未来から
タイムスリップしてきた、
2000年の今でもない素材が使われており、
どんなに炎で焼かれても、
一切燃えないという。
何度も大火にあって、
その都度蔵を転々として、
ようやく今のおじいちゃんの蔵にたどり着き、
約300年。


日曜日、
僕は君を連れて、おじいちゃんの家へ。
蔵の話は1週間前にしていたので、
君は幾つか夢を用意していた。

(おじいちゃん)
「1日に1度だけだぞ!
夢を扉に尋ねるのは。」

君は、
扉に手をかけた。


(制作日 2021.7.9(金))
※この物語はフィクションです。

今日は、
ジャニーズのジャニーさんの命日。

それで、
ASKAさんが光GENJIに楽曲提供した曲
『いつか きっと』を参考に、
お話を書いてみました。

ジャニーさん語録に
『Show must go on』
(ショーを続けねば)

ショーに限らず、
どんなことも続けてみた方がよいと、
そう教えているように思います。

今日参考にした曲『いつか きっと』
10代の歌声で、曲最後には、
当時のジュニアの小学生くらいの歌声があって、
とてもかわいいです。

中学生の時にあった合唱コンクールが、
こうしたジャニーズの歌のようだったら、
もっと楽しく歌え、
楽しい想い出になったなって思います。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲は
光GENJI
『いつか きっと』
作詞作曲 飛鳥涼
編曲 佐藤準
☆収録アルバム
光GENJI『Hey!Say!』
(1989.2.29発売)
https://m.youtube.com/watch?v=Vo6Q-qjcphc

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