【超ショートショート】(157)～個性と未来に託すこと～☆CHAGE&ASKA『GUYS』☆

ロンドンからやって来た、
メトロポリタンスクール。

スクールの方針で、
名前のほかに、
生徒自身で自分の個性に
見合うニックネームを付けることになっていた。

生徒はニックネームを決めると、
生徒をよく知る担任に、
そのニックネームでよいのか？
つまり、
生徒自身が自分の個性を
どれだけ適切に理解しているのかを
判定し、そのニックネームの
使用許可をすることになっていた。

さて、
今日はそのニックネーム提出日。
メトロポリタンスクールの3年3組の生徒たち
合計11名が、思い思いのニックネームを提出。

いつも石橋を叩いても、
なかなか渡ろうとしない慎重、
または臆病な生徒。
彼女は、
もしもの未来を予測し過ぎて、
孤独を抱きやすかった。
先生も心配になるほどに、
自信を持たない。
本当は先生も周りも気づいているのだが、
自信を持てればなんでもできてしまうし、
今の状態でも、なんでもできている。
そんな彼女は自分のニックネームに、
『if』を選んだ。

次は、
電話が好きで、
授業中でも電話するからと、
先生に怒られる生徒。
帰宅すれば、
誰かと長電話ばかりすると、
先生に母親が相談。
「うちの息子の長電話を
どうしたら止めさせられますか？」と。
そんな生徒が自分のニックネームに選んだのは、
『HANG UP THE PHONE』
電話を切るという意味の英語だった。

次の生徒は、
大変に優秀で、
いつも先生を困らせた。
なんでもかんでも、
「なぜ？」と質問責めするからである。
彼の趣味は読書。
本が１番の友だちであり、彼の人生の先生。
なんでも教えてくれると、
牛乳瓶の底のような、
分厚いレンズの眼鏡をかけても、
読書だけは止められなかった。
そんな生徒が選んだニックネームは
『WHY』
彼自身の口ぐせからそうしたようだ。

クラスの名前のには、
たいてい1人か2人はいる不思議な生徒。
彼女は空想好き。
一人っ子という背景もあるが、
将来の夢が小説家か漫画家。
だから、常に空想にふけり、
授業中も心ここにあらずになり、
みんなに笑われるが、
本人は全く気にもかけず
空想の旅を続けている。
そんな生徒が選んだニックネームは、
ずばり『夢』。

次の生徒は、
いつも言い訳なのか、文句なのか、
どうしてその課題が必要なのか？と
絶えず質問してくる。
大変な秀才で、
ほぼ学習塾で今の学年の学習を終えていた。
そのため、授業が苦痛に感じたのだろう。
そんな生徒が選んだニックネームは、
『だから・・・』
この言葉がこの生徒の口ぐせ。

次は、
勉強は普通にできる、
とても明るい生徒。
彼は、朝のあいさつでは、
１番声がきれいでとにかく明るい！
そして彼は、
そのあいさつにこう付け加えて、
みんなを笑わせる。
(先生)
「◯◯さん！」
(◯◯)
「はい！今日も僕、こんなに元気です！」
そう言いながら、
ボディービンダーのようなポーズをして、
元気さをアピールするのである。
そんな生徒が選んだニックネームは、
『今日は・・・こんなに元気です』

次は、
事情を知らない他のクラスの先生に、
唇の紅さを、学校で禁止されている、
口紅にを付けていると、
よく怒られる生徒。
彼女の唇は、大人から言わせると、
セクシーな唇らしい。
その唇は、彼女の体質のせいで、
常に真っ赤な口紅に付けたように、
紅いのだ。
そんな生徒が選んだニックネームは、
『CRIMSON』
春に薔薇を見に行ったら、
自分の唇と同じ色の真っ赤な薔薇があったという。
その薔薇の名前に「クリムゾン(真紅)」とあり、
それから選んだのである。

次は、
学校では明るいが、
実は家庭環境に問題を抱えている生徒も
誰も彼がそんな境遇にあるなんて
思っていない。
彼は家に帰っても両親がいなかった。
まだ子供でありながら、
一人暮らしをしていた。
一応親戚が、
経済的支援はしているが、
一緒に住むことはできなかった。
彼はそんなことを感じさせないように、
学校では明るかったが、
放課後になると、
孤独な影を感じる顔になる。
時々先生が家まで送り、
夕飯も食べさせるときもある。
そんな生徒が選んだニックネームは
『光と影』
彼は、
「影は僕の家庭環境だけど、
先生が光のように見守ってくれるから、
僕は幸せだ。」と話している。

次は、
いつも恋している生徒。
彼女は、ドラマを見ても、
映画を見ても、歌番組を見ても、
スポーツを見ても、
とにかくなんでも、
活躍男子を見ると、
すぐその人に恋をする。
いつかイケメンの彼氏をゲットするが、
人生の目標らしい。
そんな生徒が選んだニックネームは、
『野いちごがゆれるように』
野いちごみたいに、
可愛くしたいというのが、
彼女の女性像らしい。

次は、
そんな『野いちごがゆれるように』に
惚れられている生徒。
文具両道で語学も堪能。
将来は野球選手かサッカー選手か、
オリンピックアスリートか、
はたまた、ノーベル賞を受賞するような学者か、
経営者か。
先日は、音楽の才能があることがわかり、
世界的音楽家になるのではないかと、
クラス中の話題になった。
そんな生徒が選んだニックネームは、
『GUYS』
理由は仲間を大切にしたいということを
込めたと話した。

最後は、
クラスには必ず居そうなお調子者。
彼は、とにかくクラスのムードメーカー。
彼がいれば、みんなが笑顔でいられる。
時々女子生徒から怒られることもあるが、
その怒られることが喜びとなって、
調子に乗る。
そのため、よくケガもする。
先日は、鉄棒で飛ぼうとしたら、
女子が止めろと忠告したにもかかわらず、
2mの高さからジャンプ。
着地を失敗し足首をねんざ。
今は大袈裟にもギブスをしている。
彼がケガをする度に
お世話になるお医者さんがお灸をすえるつもりで、
あえて必要もないギブスをして注意した。
だが、そんなことも笑いにしている。
「だっていたくないんだもん！」と。
こんな彼だが、
幼馴染みの彼女がいる。
ふたりは将来結婚すると約束している。
その彼女は、
いつもふざけてケガをする彼を心配して、
「ダメよ！」と涙目で怒る。
すると彼は、周りが驚くほどにシュンとなり、
一時的におとなしくなる。
そんな生徒が選んだニックネームは、
『no no darlin'』
彼女が決めた言葉だと説明した。

メトロポリタンスクールは、
生徒だけではなく、
先生もニックネームを付けるようになっている。

この3年3組の担任は女性。
彼女が選んだニックネームは、
『世界にMerry X'mas』
先生は、大学生の頃に、
ボランティアをしに、
外国へ行った。
先生は、特に貧しいと言われる村に入り、
食事の世話や病人の看病、
そして、子供たちに勉強を教えることをした。
この村のほとんどの子供が、
経済的に苦しく、家族を養うために、
もう5歳から働いているという。
そのため、学校に通う時間もないまま大人になる。
字も読み書きできないから、
そのまま貧しい状況から抜け出せないんだと、
現地スタッフが教えてくれたと、
先生が教えてくれた。

先生は、
そのことを忘れないために、
世界中の子供たちが幸せになるようにと、
このニックネームを付けたと生徒に説明した。

今日、『世界にMerry X'mas』先生から、
生徒にこんな課題が出された。

「どうして君たちは勉強していると思う？」

生徒たちは思い思いに発言をしたが、
今日の結論は出なかった。

結論を出せずに生徒たちががっかりしていると、
先生がこう話した。

「勉強はね、すぐに答えが出るものではないのよ！
将来役に立たないかもしれないけど、
立つかもしれない。
先生がボランティアに行った外国の村のように、
日本にいても、今までの、
これからの勉強が必ず役に立つ時が来るわ。
その時を導くのは、
ほかでもない皆１人１人。
誰かの助けにいつかなると思って勉強したら？
どんな勉強も無駄ではないと思えるわ。
でも、今はまだわからないと思う。
いつかわかるときが来るまで、
勉強はずっと続く、
今も明日も明後日もね！
では明日提出の宿題を発表します！(笑)」

(生徒11名)
「え～！(苦笑)」


(制作日 2021.11.7(日))
※この物語はフィクションです。

今日は、
1992年11月7日発売 アルバム
CHAGE&ASKA『GUYS』
発売から今日で「29周年」。

今日は、
このアルバムの収録曲のタイトルを使って、
お話を考えてみました。
それぞれの曲のイメージに沿わせたものと、
違うものがあります。

要は、
このアルバムの収録曲自体が、
クラスの生徒のように、
大変バラエティーに富んでいるということを
お話にしたつもりです。

アルバム『GUYS』は
レコーディングがイギリスのロンドン。
Music Videoもロンドンやその郊外で撮影。
そのため、『GUYS』と言えばロンドンが、
長年のチャゲアスファンの
イメージになっています。

(ニックネーム)
ねね&杏寿
(旧ひまわり&洋ちゃん)
(Instagram)
https://www.instagram.com/himawariyangchiyan/

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参考にした曲
CHAGE&ASKA アルバム
『GUYS』
(1992.11.7発売)
☆収録曲☆
01.GUYS
https://m.youtube.com/watch?v=t5g5ZVhvsu0
02.野いちごがゆれるように
https://m.youtube.com/watch?v=hDEW97NOZiM
03.if
https://m.youtube.com/watch?v=3maSj8YVnEI
04.光と影
05.HANG UP THE PHONE
https://m.youtube.com/watch?v=gHckP0TP-7Q
06.だから・・・
07.WHY
08.今日は・・・こんなに元気です
https://m.youtube.com/watch?v=GsV9Wro_YBc
09.夢
https://m.youtube.com/watch?v=dv2T099w9ks
10.CRIMSON
https://m.youtube.com/watch?v=LbImtcQoh-s
11.no no darlin'
https://m.youtube.com/watch?v=RAYaSSoFM4A
12.世界にMerry X'mas
https://m.youtube.com/watch?v=og9djnbSYm4