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甘えるな!と言いたい私は厳しすぎるのでしょうか?

子どもを立派に育て長ければ、この立派という言葉は大変に奥深く、単純に
成績を上げたいなどということではなくて、親御さんも努力してしかるべきだと思う。
ご自分たちが好き勝手しておいて子どもだけが頑張るなんてことがあるはずがない。

この時期、夏期講習がある。
私の時間も限られているので、予定はビッチリである。
そんな時に、

予定が変わって、○○の指導に行けなくなったので、振替していただけますか?

という連絡が入った。
昨年からも結構なことをおっしゃるお母様である。
当然お子さんの成績は今まで見たことがないレベルに良くない。
スポーツ三昧にさせて、それに勉強よりも楽しいことを優先させて、挙句の果てに、ちゃんとお聞きして、その日程はちゃんと避けておいたし、いつもそこにあるコマの指導に来れないからといって、

振替していただけますか?

とのことだったので、理由をお聞きした。

なんと、ほかの子たちにも影響のあるスケジュールの中で避けておいた日に、急に家族旅行に行き、その最終日にある指導の時間に戻ってこれない、とのことだった。

振替をする気がないわけではないけれど、でも、結構合わせてきているし、ほかの人の指導でビッチリなので、振替をすると以前申し上げたのも覚えているけれど、(あんまり勝手なことをされては、)どうなるかわからない。
善処します。

と返した。

そしたら、結局家族旅行で、そのために私はそのクラスのスケジュールをその日程を避けてほかの子にも影響のあることをしているのに、振替を要求しているのだということがわかり、親御さんもさすがに勝手だと思ったのか、振替はいいです、とのことだった。

そこで思いを伝えた。

経営者としてではなく、一教師として、いろいろ考えます。周りになんでも合わせさせればいいと思わせていいのだろうか?
大きな塾とは違い、ビジネスというよりは、教育がしたくて開業しました。
教師としての誇りもございます。

と。
そしたら、

浅はかでした。ちゃんとその時間に帰ってきます。

とのことだった。

ビジネスという点で言うなら、振替はしないと明記するか(ちゃんと明記してはある。)、あるいは、ちゃんと振替をして、都合のいい塾にして、親御さんとお子さんの利便性を売りにするかであろう。
でも、一方で、小さな塾で、誰かが動けばたちまちほかの生徒さんにも影響のあるような塾で(みんなに予定がある。)、好き勝手なことを言っている影響を考えてほしい。
それが成長というものであろう。

顎で使ってもいいみたいな姿勢で来られては、入る指導も入らない。
第一、親御さん自ら、お子さんに、先生はその程度のことをしてもいいようないう先生だと言っているようなものである。
そういうことをする人は、いずれご自分がそういうことをされる。
というか受験ってそんなに甘くない。

もちろん、この時期予定もあるだろう。
正直に、家族旅行に行くのですが、その時間に帰ってくるのは難しいということが分かったので、でも勉強したいので、先生のお時間をいただくのは申し訳ないですけど、どこかで見ていただけませんか?
と本人から頼まれたら、やってもいいかもしれない。
けじめもなく筋も通らないことを許しておいてはいけない。

と思ったけど、今どきはやらないかな?
今の若いお母様方は、なんでも周りが動いてくれる、と思っておられるのだろうか?

言いにくい事情であったとしても、ちゃんと頭を下げてくれて、気持ちを伝えてくれれば(意外にここは重要である。)、考えもするし、お互いに無理のない感情で指導もできることだろう。それぞれに事情があることもわかっている。

みんな忙しいからか、なんだか周りが動いてくれてなんぼだと思っているような・・・?

というより、私は、本来、合わせてもらうよりも、周りに自分が合わせられる人のほうが力がついていいと思う。
人が言ったことに適応できない人間が、いったい何ができるというのだろうか?
力をもったらほかの人を言うこと聞かせられる、と思っている人もいるが、そういう力を持った時にこそ、その人というものが現れる。そしてひとたび力をもたない状態になった場合、誰も自分の言うことなど聞いてくれなくなる。

『源氏物語』の中で、わが子夕霧を大学に入れようと源氏が決意し、それを夕霧の祖母に語る場面がある。
自分は宮中で育ち、帝の寵児としてしたい放題に生きてきた。でもしかとした後見がなくなった後、自らに力がないと見るも哀れな状態になるだろう・・・。

今、自宅にいて、教室に『源氏物語』があるので、確認できないが、そのような話だった。
この話、源氏の親心が溢れていて、知的に冷静に分析もしていて、すごいなと思う。
可愛さ余って自らの力の及ぶ限り優遇したいと思うのが親心である。
でも、そこをぐっと我慢の源氏。
わが子の将来を考えている。
何度読んでも新しい発見のある源氏であるが、この時代に紫式部はこんな冷徹な分析をして、なおかつ源氏のその思いを吐露させていたのだなと驚く。

何も本から、古典から学べとまでは言わない。
でも、本当にわが子が可愛いと思うなら、ちゃんと自分で生きていく力をつけておいてやることは大事である。
なんでも周りが自分に都合よく動いてくれるなんて、言ってみれば最低である。

書物から学ぶことの意義。やっぱり子どもが賢くなるには、親も賢くなるって大事じゃないの?

かつて姑から聞いた話であるが(信憑性のほどはわからない。(笑))、中学校を卒業して社会に出られたお母様が、お子さんを育てるときに、

お母さん、勉強のことは何にもわからんから、学校でちゃんと先生の言われることをしっかり聞いてきなさい。

と言って育てられたのだそうである。
お子さんはその言葉を純粋に聞いて、東大に入られたのだそうだ。
別に東大をほかの大学よりいいとか、東大に入ることが大成功、みたいな考え方ではないことは断っておきたいが、でも、このお母さん、先生と張り合うわけでもなく、劣等感から周りになにくそ、と思うわけでもなく(そもそも劣等感も必要ないと思うし、結局はこの方自信がおありなのだと思うけど。)、ちゃんとお子さんを育てておられる立派な賢いお母様だと思う。

立場というものがある。
先生を粗末にするようなことを母親自らがしておいて、先生を超えるような人間には絶対にできない。それに、預けていても相当にもったいない。

とりあえず、伝わっていてほしいなあ。

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