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道端がパワースポット

落ち込みやすい、人と話すのが怖い・疲れる、そんな倦怠感がぐるぐると渦巻いているのにも関わらずそれらを無いものとするかのようにふるまって生きていた時期があります。

それがロンドンに留学していた時でした。

もちろんネガティブな面だけではなくてポジティブな面もいっぱいあった!新しい人や言葉、文化に触れあえるだけで最初のうちはわくわくして毎日が新鮮でそれこそ日常の中で旅をしているようでした。

でもそれも一度も帰国しなかった4年間という留学生活の中で、”慣れ”というものが生じてくると、最初に感じていたわくわくが色あせて現地の人々との生活環境が近しくなってくる。そうすると細やかな事が少しずつ気になり始めてくるのです。それはなかなか通じない言葉や気持ち、学生でプレゼンする機会も度々ありましたので自分の語学力に常にげんなりしていました。それが積み重なっていくと人と話すのがだんだん怖くなり億劫になる。

それでも当時の自分はそういった状況になると修行モードにスイッチが入るようで積極的に何かアクションを起こそうと地味ながら頑張っていたように思う。(ほんと、”頑張る”という表記がぴったり。。)

ある時、学校で個人的に実験的なパフォーマンスを行った事があり、それはとても刺激的で色んな人達と話すきっかけにもなった大きな経験でもあったのですが。。終わったと同時になんといえば良いのでしょうか、すごくからっぽな気持ちになり虚無を感じました。そう、あの倦怠感がまたぐるぐると渦巻いてきたのです。

多分、当時の私は自分に厳しすぎたのだと思います。

素晴らしい経験だったにも関わらず自分が出来なかった事ばかりに眼がいってしまい落ち込んでしまっていた。今なら出来た事を褒めてあげて自分を盛り上げていく術を知っていると思うのですが若さゆえの残酷さというか、人生経験が足りないのも手伝っていたのだと思います。

そんなこんなで家に帰って何か食べても音楽を聴いても全くみたされない。そんな時フラットメイトも不在で。。でもいたとしてもその気持ちを英語で話せる自信もなくどんどん塞ぎ込んでしまいそうだった。

「どこかに行きたい」

と突然思い立った。見慣れてきたこの家と街から少しでも離れたい、そう思ったのです。

すぐに国内を走っているバス会社のサイトに飛んでどこに行こうか考えました。当時は旅行が出来る程金銭的にも余裕がなかったので、そんなに遠くなく、泊まる場所はホステルで。。といった具合です。

眼に飛び込んできたのはストーンヘンジ。パワースポットとして有名な場所ですが、当時はそういったことは全く気にかけておらず「よくガイドブックに載っている場所だ」位の認識でした。

特に行きたい場所もなかったので、「じゃあ、そこで!」とバスと宿を予約して翌朝にはバスに乗り込んでいました。

朝早く乗り込んだので、ロンドンから郊外の方へ進んでいく景色は眠りの中で全く覚えていませんでした。でも、中盤に差し掛かった位でしょうか、眼を覚ましたら窓から飛び込んできた色は一面の緑。都市部からだいぶ離れてきたようです。

束の間の眠りの間に自分の置かれている環境ががらりと変わっており、バスの中には私の事を知っている人は誰ひとりといなかった(多分?)。それだけのことなんですけど、とても肩の力が抜けるような、「言葉を発しなくても良いんだ、プレゼンしなくても良いんだ」そんな安堵感に包まれました。

この後、ストーンヘンジをぐるっと見て回り、夜は中華を食べ(アジアの物を欲する)、宿にとまってぐっすりと寝ました。翌日はバイキング形式で沢山の果物やオートミールをしっかり食べた記憶が。。

この旅の中で誰かと話す機会はほぼなかったと思います。慣れない異国の地でのコミュニケーション、食、文化、言葉、全てに追いつけるように合わせられる様にずーーっと走り続けてきたもので見落としてしまいそうになっていた自分軸を取り戻すかのような旅だったように今となっては思います。

そして個人的なお話で大変恐縮なのですが、当時生理が全く来ていなかったのです、が!!!この旅の最中にカムバックしてきてくれたのです。

これが私のある意味での「身体の声を聴く」という事に意識が向いたターニングポイントでもあったように思います。

いつもの環境を離れて異邦人になる事で身体に訪れたリラックス作用。(はたまたパワースポット効果だったのか?!)たったそれだけの事なのですが本当に身体は正直なんだと、自分の身体を通して自分が世界をどの様に見ているのかを実感した出来事だったのかもしれません。


旅先から帰ってもまた日常は続いていくのですが、この経験によって身体に意識を傾けるという事を覚えたように思います。それが後々に食生活を見直したりセラピーのお仕事に興味をもつきっかけになったりしています。

今週の「俺の家の話」(大好き)の中でも家族旅行で家族の仲を修正する。。といった類のストーリー展開がありましたが、ほんと、異なる環境に身を置く事によっていつもの自分を俯瞰する事ができるし新たな発見がそこには必ずある。

何もわざわざどこか遠くへ出かけなくとも日常の中にそういった体験は転がっているのではないかと思います。例えばいつもとは違う喫茶店や道に何かターニングポイントとなり得るもの達が身を潜めている。

そう思うと毎日が冒険でもあり、自分が変化できる萌芽は至る所に芽を出しているし、パワースポットになりうる。。なんて生意気にも思っています。



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