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推しと喋りたい"わたし"の話

私には、推しがいる。
その人は、スラッと背が高く、細身でスタイルがいい。肩まで伸びた髪は少し外向きにセット。
ファッションはクール系というのか、パンツにジャケットが多いみたい。

そして、とにかく顔がいい。
切れ長の瞳に合わせたメイク、笑った時にシワがよる目元。美しい……。
ただ、マスクの下を見たことがないのが残念なところだ。でも、きっと素敵な口元なんだろう。

推しの彼女は、いつもちょっと気だるげだ。
隣で仕事していると、小さく「めんどくさ……」と言うのが聞こえる。
それでも、重要な仕事をしている時や、質問に答えてくれる時、推しは真剣に答えてくれる。
しかも、誰に対しても優しいのだ。こんな完璧人間、いる?

ああ、推しと喋りたい!!あわよくば仲良くなりたいし、一緒にランチとか……。

でも、私はチキンもチキン、推しとまともに話したことすらない。目もまともに見られない……。
ああ、私が推しと喋れるようになる日は来るのだろうか……?

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私には、推しがいる。
その子はちんまりとして、ちょっとふくよかで可愛い。髪が長くて、結んでいることが多いけど、流している時はそれはそれで可愛い。
よく丈の長いスカートを履いていて、彼女が近くを通る度、ふわりと揺れる。

彼女の可愛らしいところは、なんと言ってもぱちくりと大きいその瞳だ。よく笑う彼女の瞳は少し茶色で、ずっと見ていたくなってしまう。
まあ、そんなことしてると不自然だから、しないんだけど……。

いつもちょっと抜けていて、天然というのかな。
隣で仕事していると、「あっ」とか「ひゃー」とか小さく声を上げている。
それでも、彼女の仕事は正確だ。教えたことはしっかり覚えるし、今や1人前に仕事ができている。
そして、誰に対しても彼女は優しい。こんな人間、現実に存在するの?

ああ、推しと喋りたい!!あわよくば仲良くなりたいし、せめてランチとか……。

でも、そんなことを言ったら彼女は驚いてしまうだろう。私となんて、仕事でしか話したことがないから……。
ああ、私が推しと喋れるようになる日は来るのだろうか……?


「ああ、推しと喋りたい!」


ひま餅

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