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第七回 ヒマラヤなんちゃって句会         「ヒマラヤ苺」等々発表!!

Twitter@himahira19で行っていた句会の結果発表を5日間にわたり行います。5日間の日程についてはこちらをご覧ください。


今回の写真についてですが、川崎市の東扇島という場所の写真です。
去年の夏まで足しげく通っていた場所ですが、柵がなかなかこうしてみると雰囲気がいいと思いませんか?見ようによっては海外にも見えたりして。
いろんな想像が膨らむのではと兼題にしてみました。
やはりいろんな見え方があったようでして、かなりの投句数を頂きました。
かなり難航しましたが、「決断した」という表現が合う決め方をしましたので、よろしくおつきあいください。
あと、回を重ねるごとにボクの感想文が長くなる一方ですよね。
出来るだけ短くと決めて書き始めてるのですが、いやあ毎度長い。
短くまとまっているほうが、かっこいいじゃないですか。やっぱり。
今回はスキっとさくっとバッチリ短くキめたいと思います!


今回も色んな俳句が出そろいました!各賞の発表をします!!



ヒマラヤ一番星


越えられぬ壁の向こうは初国旗 みづちみわ


越えられぬあっという間の早さでした!


そして全投句のちょうどど真ん中!ヒマラヤバットマンの発表です!

                      ヒマラヤバットマン


あめりかはフェンスの向こう枯葎 朝月沙都子

                                     毎回ボクが狙えそうなのはこの賞ですので、今回もさっそく・・・と思っていたら、あれよあれよと投句が増えて行き、全然遅いタイミングでの投句になってしまいました。いつかは欲しいバットマン。

このふたつの賞はほかの賞の候補にもなりますので、          明日以降も、もちろん今日も要注目です!    

それではどんどん行きましょう!ヒマラヤ苺の発表です!


主待つものは押しくら饅頭す 染め物屋

                                 「押しくら饅頭」するのは、大概の場合子供でしょうから、この句の「主」というのは親なのかもしれませんが、日ごろ「主」「主」言ってる人はと想像すると、シスターに行きつきました。
シスター同士が数人集まって「押しくら饅頭」をしている姿を想像すると、なんとも愉快な景なのでしょう。讃美歌歌いながらぎゅうぎゅうしたりして。教会って底冷えしそうですしね。


ワケありの車売ります雪女郎 登りびと

                                  この句も想像すると面白いですね。
「ワケありの車」の「ワケ」とはいったいどんな「ワケ」でしょうね。
「雪女郎」が凍らせてしまった男の持っていた車を自分が経営している中古車屋さんに展示しているのでしょうか?
色々と車の所持、販売の煩雑な手続きを「雪女郎」本人がしていたり、
誰かアルバイトを使っていたりするのを想像するとこの句のおかしみがありますね。よくぞ「雪女郎」を取り合わせてくださいました。というのも・・


鯛焼割るシンジケートの革ジャンパー 月波

                                  「シンジゲート」という言葉に色々と意味があるようなのですが、犯罪組織の意味なのでしょう。その犯罪組織の「革ジャンパー」のおっかないコワモテが、なにやら休憩中に「鯛焼」を食べているというほんわかした景ですね。まず上五の季語「鯛焼」を出して、中七下五で人物を描写するだけで、「鯛焼割る」人を想像させるという構図になっていることや、ギャップの面白さが好きです。「シンジゲート」の人たちも寒いのですね。

ああなんだまだ生きてたの冬の蝿 嶋村らぴ

                                  字面通り読むと、「冬の蠅」をみつけて「ああなんだまだ生きてたの」と何となく生かさず殺さず眺めているという景かもしれません。
しかし深読みすると、力なくヨボヨボ飛んでいる「冬の蠅」をみつけて、自分に重ねて、なんとなく自分に「ああなんだまだ生きてたの」と自嘲気味に微笑む句の主人公を思い浮かびました。
「冬の蠅」に思いを馳せて、お互いもう少し生きようねと声を掛け合って欲しいですね。


立春の薄墨色のアーガイル 凪太

                                  
「アーガイル」!!なんてぴったりなんだろうとまず思いました。
地名等色々「アーガイル」ってありますが、柄の事だと思います。
今回はボクさすがに知ってました。ひし形ひし形な模様ですよね。    金網のひし形の描写なのだろうと思うのですが、空とは書かれていませんがこの時期の空気感含めた空の描写なんじゃないかなって読みました。  「薄墨色」という色の措辞がそう読ませるような気がします。
金網、ひし形、「アーガイル」という発想、それを季語へとぶつける・・・。もうクラクラ来るぐらいの詩人ですね。羨ましい!

      

刑務所の庭へ蜜柑を投げ入れよ いかちゃん

                                   こ・・・これは一体どういうことなんだろう・・・?
どういう世界なのかわからないまま、つい選んでしまいました。
季語「蜜柑」を投げ入れる?どこに?刑務所の庭に??
しかも「投げ入れよ」と命令されているのです。何とももったいない話でしょう。感想になっていませんが、この句の引力に惹かれてしまいました。  ちなみに「一般審査員代表(ただの俳句シラネの同僚)」の選でもありました。「蜜柑を投げ入れるって、玉入れみたいっすね!やりたいです!」  という事でした。と同時にそれはいけないことだとも伝えました。
で、ここに感想文を書いた後、作者を見てびっくり!
本人にはもちろん確認をとっていないのでここでは書きませんが、ご本人の詠んだ既出の「蜜柑」の名句があります。その句と併せて読むとまた違った深さを感じます。結論、やっぱり投げ入れたりしちゃ、ダメです!


カレーのにほひ誰かの家にある炬燵 髙田祥聖

                                  のっぴきならない事情がありそうな句が多い中、一見突き抜けた明るい一句かなと思いましたが、じっくりゆっくり何故か哀愁というか、物憂げというか、得体の知れない悲しさを感じました。なんででしょうね?
「カレーのにほひ」を感じながら、きっと「炬燵」で食べてるんだろうなと想像しながら街を歩いてるんでしょう。
しかしその歩く人には、「カレー」も「炬燵」もないのです。
漏れ伝わった匂いで、どこぞの家の夕餉を想像しているのです。
帰る家にたどりつけたらよいのですが、どこか違う、何か違う帰り道に向っていなければいいのですが・・・。
本当、なんでこの句でこんなに不安にさせられるのでしょうか?
この句もつい選ばされた句でした。


赤で止まればサヨナラだねポインセチア 鈴音(りん)

                                  付き合っているカップル、しかも不倫や同性愛者のような人に言えない事情があってあまり、きゃいきゃいできないカップルのお話のような不穏な空気を感じました。今は調子よく続いている二人だけど、「赤で止まれば」。 なにかの力がふたりにかかれば、勢いが止まってしまえば、お別れになってしまうのかもしれないと思いながら付き合っている・・・ひょっとしたら相手に別の人の影を疑いながら付き合っているのかもしれません。
そしてそこに咲いているのは皮肉にも真っ赤な「ポインセチア」。
ハードボイルドな切ない物語が隠れていそうです。

追記として、ボクはここでは添削しませんし、今後する気もありませんが、
もし中七が「サヨウナラだね」だったら、ヒマラヤ地、ヒマラヤ天はひょっとしたらかなりひっくり返っていたかもしれませんとだけお伝えします。


以上になります!明日は皆さんの感想文をご紹介させていただきますので お楽しみに!!


第七回 ヒマラヤなんちゃって句会
 
「ヒマラヤ苺」等々発表!!
「ヒマラヤ龍」発表!!
「ヒマラヤ地」発表!!
「ヒマラヤ天」発表!!

句集
「フェンス 」
「アーガイル 」
「ジャイアン 」


あわせて読みたい!恵勇先生の俳句小説シリーズ!
句養物語 流れ星篇
句養物語 花野篇
難しい話?鳥の話?いいえ、愛の話です
巣立鳥


ヒマラヤなんちゃって句会 アーカイブ
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選句 本文 編集 兼題画像/ヒマラヤで平謝り Twitter@himahira19「苺」「一番星」画像協力/ゆきまち                      SpecialThanks/髙田祥聖 カニくん

お試しで作ってみた項目ですので、本当にサポートしていただかなくてもいいのですが、万が一なんとなくそんな気分でしたら・・・!