本屋の個性を注意深く見てみよう(古くてあたらしい仕事)

島田潤一郎著「古くてあたらしい仕事」を読んだ。

青山ブックセンターで開催された選書フェア "180人が、この夏おすすめする一冊" で出会った。古くてあたらしい仕事が、どの仕事なのか知らず、だけど、なんだか心魅かれる本だった。

夏の葉っぱで、"夏葉社" というひとり出版社を営む著者。彼が綴る文章から浸み出す、「本屋という空間が好き」「均一化する大きな流通より、個性溢れる小さな営みを大切にしたい」という想いに共感した。

そして、本を読んでいるうちに、もっと本屋の個性を注意深く見てみようと思った。

本屋を訪れる人と本を選んで並べる人。ほとんど言葉は交わさないけれど、長い時間をかけてゆっくりと両者は対話をしていると感じた。一方は、この本を買う人がいたから次はこんな本を並べてみようと考える。そして他方は、こんな本が並んでいたからまた今度この本屋へ行こうと考える。そんなやりとりを重ねて、本屋という空間が "らしさ” で溢れてくるのだと感じた。

これまでも、なんとなく本屋という空間が好きだったけれど、本屋を訪れる人と本を選んで並べる人の、ゆったりとしたやりとりを想うと、本屋が好きな気持ちが増した。

誰かが選んでくれた本を眺めに、これからも本屋を渡り歩こうと思う。