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週末日記 朝一の一杯

 子供のころから本が大好きだったせいかもしれないが、市場とか、商店街とか、こぢんまりとした商店が並んでいるとテンションが上がる。
 巨大なショッピングセンターより確実に品揃えが少ないのに、何だか面白いものが見つかりそうな気がしてくる。

 そんな理由でここ数年、俺は仕事帰りによく駅近くの百貨店に行く。
 中で物産展をやっていて、見ているだけで面白いからだ。
 北海道展や沖縄展のようなものだとローカルフードをよく扱っていて、美味しくて行くのだけど……たまに日本の名酒だとか、コーヒーだとか、一風変わった物を集める。この前はハーブ展をやっていて、気まぐれに行ってみた。
 男にしては珍しいとよく言われるが、元々俺はハーブティーがかなり好きだ。一年を通して飲んでいる。
 今から……五年くらい前だろうか? 正月の福袋でお茶やコーヒーが入った物を買ったときにハーブティーが入っていて、それを飲んだら体質が改善したのだ。以来、ハーブティーは健康のために飲んでいる。
 今はストックが結構あるし、何も買う気がなかったのだが……どうしても欲しいものを見つけてしまった。
 原料に「よもぎ」と書かれた、日本風のオリジナルなハーブティーだ。
 「こそあどの森」という児童書をご存じだろうか? 森で暮らすコミュ障の少年が、同じ森の住人と交流しながら、不思議な出来事に遭遇する話なんだけど、子供の頃そのシリーズにハマっていて、ヨモギとつくものは何だか食べてみたくなるのだ。
 結局誘惑に負けて、俺はこのお茶を買った。
 紙でできた大きくも小さくもない袋に、ティーバッグではなくむき出しの乾燥させた葉っぱが何種類も混ぜられた状態で入っていて、毎回適量取り出して茶こしに入れ、お湯を注いで飲む必要がある。
 買った翌日、さっそく朝一でこれを飲んでみた。美味い! ということはないが、なかなかクセになる草臭さだ。今は都会で暮らしているから、この匂いは何だか懐かしい。
 そして何より、朝一、朝食後に一杯の茶をすする、というのはとてもゆったりしていて、清々しく気持ちがいい。何だかとっても良い習慣の気がしてきた。
「俺ももうアラサーだし、毎朝慌てる生活とはそろそろおさらばするか」
 そんな気持ちも込めて、これを習慣化しようと俺は決めたのだが……このハーブティー、けっこう栄養が詰まっているのか、四日も飲むと身体が栄養過剰を訴えてきた。
「別のハーブティーとローテーションを組むか……」
 若い頃はこんなことなかったのに。ちょっと年齢を考えざるを得なかった。

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