神々と人
記紀を読んでいて、不思議に思うことがある。国土と神の誕生については執拗なほどに記述があるのに、人の誕生については、明示的なところが見当たらないのです。
そしてまた不思議なことには、でも、人がそこにいることは、前提のように話が進んでいくのです。
黄泉比良坂でのイザナギとイザナミのやりとりでは、人が一日に千人殺されたり、千五百人産ませたりと、少々物騒な話が出てきます。
また、スサノヲの乱暴は人にも被害をもたらしたとするような件も見受けられます。
はてさて。では神々と人間とは、一体どういった関係下にあると理解すればよいのでしょうか?
皇室にとどまらず、有力氏族についても記紀の神の末裔とする記述にならい、世の人のまた、ずべからくいずれかの神の末裔であったのでしょうか?ですが、そう考えるには、あまりにも人の登場が早過ぎるようにも思います。
そうするというと、もう一つの可能性としては、人は、神とは無関係に勝手に生まれ、今日まで生きながらえてきたのだということが考えられます。
仮に後者であるとすると、改めて、神々と人間とは、一体どんな関係にあるのでしょうか? ちょっとゆっくり考えてみたいテーマではあります。