コピペから考えるパーソナライズ
ふとしたきっかけから、世の中のトレンドを考えると「大人数向け→パーソナライズ」じゃなくて、そもそも「個人に最適化したサービス(BtoP)」を起点に考えた方がいいんじゃないかと思った、というお話です。
最初に自己紹介ときっかけから。
こんにちは、普段は"livesense days"で徒然なるままに何かを書いたり、書かなかったりしている、HirotaRoです。
普段はリブセンスという会社で、主にプロダクトマネジメント領域担当の執行役員としてお仕事をしています。
最近、社内の若手のPMを中心とした皆さんが、noteで”Livesense Letter”という発信をはじめました。
とっても好ましいことだなあと心のなかで応援しながら眺めていた所、メンバーのこやっちから以下のような、SlackDMが届きました。
※以下、本人のご許可を得て掲載しています
はい、コピペ風ですね。
無駄を嫌い効率をこよなく愛する彼のことです(非常に優秀です)。目にも留まらぬ早業で対象リストに同一テキストを送りまくったのでしょう。
とはいえ、個人的な心情としては、
過去に3回位直接Livesense Letterの話をしたり、寄稿の話をしたりしてるし・・・
企画も知ってるし、書くっていったじゃん。。。
普段からやり取りもしてる間柄なのに、そんな杓子定規なコピペじゃなくても。。。
以前研修会社で働いていた頃に、講師の皆様に連絡をする際、いかに同じ内容でも、独自コメントを入れて私信感を出すかに頭と時間を使っていた私としてはこの効率的にやや味気なさを感じてしまい・・・
コピペの前にひと手間加えてパーソナライズしては・・・?
という時代遅れのおっさんの小言を書きたいわけではありません。
前置きが長くなってしまいましたが、むしろここから先の時代は「パーソナライズ」って逆じゃない?という話に大転換していきましょう。
パーソナライズされるものは、画一的なものである
さて、パーソナライズとは何でしょうか。
シナジーマーケティングさんのマーケティング用語集から引用しましょう
パーソナライズとは、顧客全員に同じサービスやコンテンツを提供するのではなく、一人一人の属性や購買、行動履歴に基づいて最適な情報を提供する手法、しくみのこと。ウェブサイトや電子メールにおいて、全てのユーザーに同一のサービスやコンテンツを提供するのではなく、ユーザーの特徴や行動から属性を識別し、サービスやコンテンツを変化させる手法。
1つ具体例を挙げると、Amazonで閲覧履歴や購買行動を元に、「あなたへのおすすめ」を出してくれるような機能ですね。
より良い体験を目指すためにサービスをパーソナライズしていこう、というのは特に多くの人数を対象にしたプロダクトを中心に広く行われているものです。
検索も人に合わせたものになり、広告もその人に合わせて出てくるのが当たり前の世の中になっています。
ここで、確認しておきたいのは、「パーソナライズ」される対象と言うのは、「パーソナライズ以前」においては(度合いの差こそあれ)画一的なサービスを提供しているということです。
サービス作成の手順としては、多くの人に向けて画一的なサービスを作る、その上でそれをパーソナライズしていくという方向です。
冒頭のSlackDMの話も、もし個々人に合わせるなら、骨子を作った後に、個人向けにアレンジするのでしょうし、世の中ではメルマガに少しでも個人向け感を出すために、宛名を個人名にするというようなことも行われています。これが、まず全体向けのものを作り、個々人に向けてアレンジする、というものです。
商いの原点は一人ひとりと向き合うことではないか
マスマーケティングや技術の進化で、多くの人に向けてサービスを提供するのが当たり前の現代においては、「サービスを作る→パーソナライズしていく」という方向はそんなに違和感がないように思います。
一方で、本来のビジネス、商いということを考えると、むしろパーソナライズは前提というか、当然のこととして必要になるのではないでしょうか。
江戸時代の商いなどは、顧客先を回って、ニーズをヒアリングして、それに対して希望に合った商品を売る、御用聞きのようなものがむしろ基本だったのではないかなと。
既にあるサービスを「パーソナライズ」するというよりは、そもそも「個人に向けたもの」がビジネスの前提だったのではないでしょうか。
つまりベースはあくまで1to1で、個人に向き合うのが基本で、それが技術進歩で広がってきた、一方でその中で「個人向け」要素が薄れてしまった、だからパーソナライズ、という流れが近年広がり、そこに一定の効果がでてきたのかなと思います。
改めて整理すると、ビジネスの進化として
「個々人に向けたビジネス」が最初にあり、技術の進歩で、「多くの人に届けられるサービス」、これが更なる進歩で「パーソナライズ」されてきた流れなのかなと思います。
データと技術により、変わってきた背景
で、最近の技術の進歩で、もう一度「個人向け」からスタートするものが増えるんじゃないかな、と思っています。
・D2C(DtoC)でメーカーとユーザーが直接つながり、コミュニケーションができる
・強力な決済プラットフォームが生まれ、かつそのプラットフォームがECなどを持っている(アリババのような)ことで、個々人の嗜好がどんどんわかる
・IoTが広がり、いつ、誰が、何が、どういう状況なのかが把握できる
・AIの進化で大量のデータ処理ができる
などなど踏まえると、個々人がより理解できる状態になってきていると思います。
そうすると「マス向け」であったり「デモグラで切ったセグメント」のような抽象度でサービス展開してからパーソナライズしていく、という形ではなく、もっと個々人を理解したうえで、1人1人に何を提供できるか、というのが今後のサービスのベースになっていくのではないかなあと最近ほんのり考えています。
こんな動きもありますし。
・ツールの進化で、個々人に合わせたリアルタイムなインタラクションができる(オンライン接客ツール等)
・OMOで、場所を問わず、最適なサービス提供がされる
・通信基盤となる5Gが整備される
もちろんサービスを作成するのに、まずはペルソナを設計して、1人のユーザーに向けて作りこむ、というのは通例ですし、結局パーソナライズについて検討する中でも、個人向きのものは考えていくとは思います。
だから結果的には、これまでのサービスと全然違うものがでてくるというよりはグラデーションの話なのかもしれません。
一方で、個々人に対して向き合ってサービス提供していく、というのは頭の使い方としてかなり違ってくるかもなと。
これからの時代の流れ
noteもそうですし、その他のSNSなどによっても、より個々人が力を持つ時代になってきたと思います。
そして、これからはサービス提供の対象としても、より個々人を対象にするサービスが広がっていくのかなと。
なんでしょう、思い付きで言うとBtoP(Person)みたいな感じでしょうか。
リブセンスではデータベースを元にサービス構築→パーソナライズ、という流れで来ましたが、(過去は特にSEOに寄せていたりとか)より1人1人のユーザーに向き合いながら1人1人の幸せにつながるサービスを創れたらいいなと思ってます。
具体的に?
社内の人にチェックしてもらおうと、信頼できるsonchoにレビューを依頼した所、
さすが、きちんと褒めてくれました、気遣いが素晴らしいです。
そして、そのあと「叙述」を頂きました。
Slack検索した所私の目に見える範囲では今年に入ってから初めて記入された「叙述」というワードです。語彙が豊富なsonchoらしい表現です。
頂いたFBとしては、
・BtoPの具体的なサービスのイメージって?
・御用聞きとBtoPって何が違うの?
などなど、「具体的にはどんなやねん」ということと思いますが、ちょっとこれを書きすぎると部分的に記載するだけで、詳細は考察を深めてまた今後書きたいと思います。
何となく御用聞きとの対比で考えているのは
・色々聞くんじゃなくて、様々なデータを元に欲しい物を推測・提案する(優れた御用聞きもそうなのかもしれないですが)
・FBによってどんどん内容が変化していく
・テクノロジーの力で多くの人に届けられる
・単一サービスと言うより、複合的なサービスを通した体験の提供になるのかもしれない
というような形です。
何となくラーメンを食べたくなってしまったので、ラーメンの話をすると、ラーメンが出てきて、それを調味料で好きにアレンジしてもいいよっていうのは、パーソナライズの世界ですよね。しかもセルフでやらないといけない。
御用聞きだったら、ラーメンのプロのような人が来て、食べたいラーメンを聞いて、それに合わせて作って持ってきてくれる感じでしょうか。
BtoPだと、きっとその人の欲しいものが欲しいタイミングすっと出てくるのかもしれないです。あとは、提供レベルとして、ああ、そうそうラーメン今食べたかったんだ、だとまだまだ満足の域で、究極的には、え?なんで今これ・・・?でも食べてみるか。。。こ、これは、感動!!!みたいなレベルになると凄いなと思います。
あとはVRの世界とか、もうその人のとことんの理想とか出てくるんですかね。色々妄想してみることにします。
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