見出し画像

算数的探究「数と論理Ⅱ」2023秋・冬

2024年後半戦。
前半戦はこちら⇒算数的探究「数と論理Ⅱ」春・夏|ヒロック初等部(HILLOCK Primary School) (note.com)
数と論理Ⅱでは、実際に身の回りにあるイベントなどを通して、
「数って便利だなー」
「ないと困るなー」
「自分も数を操れるようになってみたいなー」
と思えるような布石を意識して授業を作りました。
毎朝の自由進度学習でも、算数を選ぶことがぐんと増えた印象です。
数と生活は密接につながっている。
そんなことに気付いてもらいたいというのがシェルパの願いです。
それでは後半戦全時間の記録、お楽しみください!


12時間目「ならべてかけるのが面積」

前半戦に引き続き、運動会プロジェクトが本格化してきました。
「玉入れの玉の数、適当に作ったからさ。足りているのか心配。」
そんな意見が出たので、みんなで数えてみることに。
1列を10個にして並べると数えやすいよ、とアドバイスをして、みんなで並べました。
これって面積の考え方なんですよね。
かけ算を使えば、すべて数える必要もなくなります。
数や計算を使えば、未来のシミュレーションができる。
実際に数える必然のあるものだからこそ、よさを味わいました。


13時間目「1組だけシミュレーション」

引き続き運動会プロジェクト。
「二人三脚ってどれくらい時間かかるの?」
「50m測って、時間計測しよう!」
巻き尺やタオルを持って、早速砧公園でシミュレーションです。
二人三脚初体験の子どもたち。
「1組分だけ時間測れば、全員で何分になるかわかるね!」
イベントを企画するには、やはり算数の力があると便利です。

14時間目「番外編・運動会本番!」

穏やかな秋晴れの1日、絶好の運動会日和でした。
サークルタイムで流れを確認したあと、すぐに砧公園に移動。
始まりの会を終え、準備してきた競技に次々に挑みました。
勝ち負けや競争より、皆で楽しむ場を味わうHILLOCKらしい空気が広がりました。
二人三脚や綱引き、リレーなどの王道の競技から、パン食い競争やオリジナル玉入れといった変わり種も楽しみました。
室内に帰ってからは運動会の振り返り。
行事も貴重な学びの機会にします。
指示を通す難しさを感じたり、適切な時間配分などを学んでいました。

15時間目「シミュレーションと結果を比べて」

運動会の振り返りを学習の材料に。
時間を記録しておいたので、実際に予想した時間とのズレを認識します。
「思ったよりスムーズだった!」
「〇〇ちゃんが、競技の裏で準備を進めてくれていたんだよ」
「後半は体力が落ちてきて、時間が伸びちゃったんだと思う」
そこから、体力や痛みは数値化できるか?という問いに考えるなどにまで発展しました。

16時間目「計画にこそ、数の価値が隠れている」

「高尾山に登りたい!」
そんな声が挙がり、もちろん即決定。
そこで、登山の計画を「数と論理」で扱いました。
複数の経路が中腹で交わり、さらに枝分かれする。登る経路は何通りあるか…これって完璧な「場合の数」ではないか!笑!
ということで、時間やら距離やら難易度やらを調べながらまとめました。
計画段階に関わることで、数の便利さを体感します。

17時間目「日常に潜む円のすごさ」

運動会でのトラックを思い出し、円について考えてみることに。
そもそも円って何?球と違うの?
経験から、定義についてみんなで練り上げていきます。
また、生活の中にある円について考えながら、本当に円や球じゃなきゃいけないのか、他の形だったらどうなるかをみんなで想像しました。
「円って便利だね!」
「実際に円を描いてみよう!」
ということで、フリーハンドで円を描こうとするも、なかなかうまくいかず…。
コンパスを自作して、円を描くことに挑戦しました。

18時間目「学びは思い出とともに」

コンパスを使って、小さな円を描くことに成功した子どもたち。
「じゃあ、大きな円を描くには?」
運動会の経験から、コンパスでは描けない大きさの円について興味を持ちました。
もちろん、早速近くの公園へ。
今回は砧公園ではなく、水道が使えて、ある程度の広さがある公園をセレクトしておきました。
「メジャー使えば余裕だよ!」
と自信満々でしたが、途中でたるんでしまったり、中心がずれたりで、なかなかうまく描けず。
みんなで試行錯誤しながら、なんとか半径3mの円が完成!
みんなで協力して描くからこそ、様々な円の気付きが「思い出」とともに脳裏に焼き付くんですよね。
最後は円周上に立って、ボール投げをしました。
中心から同じ距離、忘れがちですが大切な要素です。

19時間目「円のよさは体感してこそ」

続いて円の活用。
砧公園に隠されし財宝を、円の性質を活用してハントしにいきます。
事前にシェルパが隠した財宝を、子どもたちに探しにいってもらいます。
とはいえ、1平方キロメートルはあるほどの公園。
「絶対無理…」
ということで、1つだけヒントをあげることに。
どんな情報がほしい?
それぞれが別のヒントで、宝を探します。
まずは1人で探し、一定時間経過したら情報をシェアして協力して探す、という方法になりました。
「売店から何m?」
早速円の性質を活用する子がちらほら。
他にも、縮尺、円の中心、円周…さて、どれが一番いいヒントかな!?

20時間目「宝探し作戦会議」

あいにくの雨模様だったので、宝探しの作戦を立てつつ、円の特性について振り返りました。
宝探しをする際に、どんなヒントが必要かを考える中で、円の便利さを感じます。
地図の読み方もずいぶん上達してきました。

21時間目「ゲーミフィケーションで算数を体感する」

宝探し当日!
広大な砧公園に隠された宝を、「〇〇から△m」というヒントを元に、足を使って探します。
小さな宝箱の中にコインを入れ、見つけたら周りにバレないようにコインだけ取り出し、こっそりシェルパに渡しに来る、がルール。
そうすることで、第1発見者以降も楽しめる!
「えー!全然わからない!」
「この辺りのはずなんだけどなぁ…」
朝のうちにシェルパが隠しておいた財宝、なかなか見つからず(笑)
一定時間が経過したので、ここからはチーム戦に。
「その情報、めっちゃありがたい!」
「え!?こっちじゃないの!?」
最後はほとんど全員で探します。シェルパも心配になってきて、一緒に探しました(笑)
時間ギリギリで、「見つけたー!!!」
中心から等距離にある点の集合という、円の概念を体感知で覚えました。

22時間目「2分の1をもってくる」

ここからはシーズン3。
年をまたいで、季節はすっかり冬です。
最後の単元は、分数を扱うことにしました。
誤概念が生まれやすい、難解な概念。
2分の1って何?聞いたことある?
「半分!」
「2つにわけたうちの片方!」
「でもさ、適当に分けるんじゃダメだよね。」
均等に分けるという意味を押さえてから、早速砧公園へ。
公園にあるものを使って、2分の1をもってきてもらいました。
「みんなの2分の1って、大きさも形もバラバラだね」
「そりゃそうだよ、元々違うんだもん」
何を1と見るかで、2分の1の大きさも違うことを確認。
「っていうか、それ本当に等しく分かれてる?」
「1㎜とかまで考えると分けられないよー」
シェルパも変わった形の枝や木の実をいくつか拾っておいて、みんなに紹介。
長さで分ければここが2分の1、重さだったらこの辺が2分の1。
(鍵状になった枝を見せながら)これなんて、2分の1にしづらいよね?
いろいろな2分の1を集めて、見て、そこから概念は少しずつ形成されていくのだと思います。

23時間目「同じ1から、違う2分の1」

前回の活動の振り返りから。
「2分の1を作るには、そもそも1をきめなきゃいけないんだったよね」
ということで、今回は折り紙を使うことに。
折り紙で2分の1を作ってみて。
できそうだったら、みんなが思いつかないような2分の1にしてみて。
みんな真剣に取り組み始めました。
「あれ、切り離されちゃった!」
「折ってから切ったら、結局真ん中切ったのと同じ形になったー」
同じ「1」からでも、多様な2分の1が作れることを知りました。
シェルパもコンパスを使い、勾玉のような切り方をして提示。
「え、それって本当に2分の1?」
ひっくり返して重ねてみると…
「おー!」
「やってみたい!」
こんなに「2分の1」という経験は、今回だけではないでしょうか。(笑)

24時間目「4分の1は8分の2??」

NHK for Schoolの動画を見て、一緒に学んでみることに。
【算数】同じ大きさにわけるには?~分数~ | フライデーモーニング・スクール | NHK for School
途中で止めながら、みんなで一緒に楽しく考えます。
今回はA4の紙を4つに分けてみることに。
そもそも斜めに切ること自体が難しい。
「中心を通るはずだから…」
と、定規を使って悪戦苦闘。
ちなみにこれ、対角線って言うんだよーと、さりげなくラベリング。
「2つの三角形、重ならないけど、本当に同じ大きさなの?」
「どうやったら証明できるかなぁ」
実際に折ったり切ったりしながら考えます。
「あ!分かったかも!」
ある子が、4分の1をさらに半分にすると重なることを発見!
みんなからも「すげー!」の声。
8分の2が4分の1と同じ大きさになることを、実際に紙を切りながら学びました。
「さらに16分の1にするにはどうするの?」
「あ、いけるかも。やってみていい?」
授業が終わってもやりつづけ、「できたよー」と嬉しそうに見せに来てくれました。

25時間目「ゆっくり作ってしみ込ませる①」

ここからは、分数を利用して一気に比へ深めます。
ペットボトルって何mlか知ってる?
「500mL!」
ここに、10等分してみたんだけど…ちなみにペットボトルって、形まっすぐじゃないじゃん?
10等分するの、けっこう大変だったんだよね。
「どうやってやったの?」
10等分だから…10分の1って何mLになる?
「50mL!…まさか?」
そう、地道に50mLずつ測って線を描いていったのよ。
そんな話から、みんなもコップを10等分することに。
ここで作ったコップが次回への布石となります。
「結構大変!」
「やっと10分の7だー」
1つ1つ時間をかけて、作ってみることで、水がしみ込むように概念が腹に落ちていきます。
早くできた子が手伝って…みんな完成!
最後に演示実験として、ベビーオイルを10分の1入れて、そこに水を入れることに。
そうなると思う?
「まざる!」
「いや、水と油って分かれるんじゃなかった?」
算数以外の学びも楽しく触れていきます。
水に絵の具で色をつけて、油の中に入れると…
「うわー、不思議!」
見事二層に分かれました。
「10分の1と10分の9だ!」
これは、9:1とも表せるんだよ。
ここで時間終了、次回に持ち越しです。

26時間目「ゆっくり作ってしみ込ませる②」

前回作ったペットボトルをみんなで確認。
「油が10分の1だったね」
「10こにわけたうちの1つ分!」
でも、1リットルじゃないよね?
「500mLのペットボトルだから…10に分けると…」
割り算の得意な子が、みんなの前で計算してくれます。
どんな時に、計算できると便利なのかをみんなで知る時間。計算できて誰かの役に立った、を実感する時間。
「50mLか!」
今日は、みんなにも目盛りの入ったコップを作ってもらうよ。
ここからは、みんなで協力して一人一つ、計量カップ作り。
「10mLで10分の1、つぎが10分の2…」
スポイトや計量カップを使い、1つずつマジックで線を引きながら計量カップを作ります。
「あ!はやくできた人のカップ使うと早い!」
作りながら少しずつ、分数の感覚がしみ込んでいきます。

27時間目「アート、そして科学へ」

いよいよ今年度も最終回。
最後はみんなにも、油と水の2層を使いながら、比を表現してもらいました。
まずは10分の1ベビーオイルを入れて…
「10mLだったよね!」
そうそう。でも、みのさんのは…
「50mL!」
同じ「10分の1」でも、量が違うわけ。なんで?
「1にしている量が違うからだね!」
このベビーオイルに、色水を入れると…
「うわ!水玉になった!すげー!」
油にはじかれて、水が玉になるんだね。
ここまで入れると…
「3対1だ!」
こうやって、自分で好きな比を作ってみよう!
「色混ぜるとどうなるのかな?」
「うわ、見て見て。気持ち悪い色になったw」
色の変化や油との分離をおもしろがりながら、比を確認し合っていました。
ちなみに、水と油が反発すると困ることが日常でもあるのね。何かわかる?ヒントは、毎日お母さんが困ってるかも。
「…あ、洗い物!?」
そう。でも、これは科学で解決できるんだ。
水と油の入ったペットボトルに洗剤を入れて振ると…
「あ、まざった!」
だから、洗剤は油を洗い流すことができるんだね。
算数に留まらず、アートから科学にまで発展しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?