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4/8 案件みたいな記事書いたら案件依頼が来て、それで食えるようにならないか?(メンズクリア編)

まぁ、ならないか?

なるかもしれないという期待を込めて「メンズクリア」という美容脱毛サロンの体験について書く。

とにかく広告だ!

よし。

定期的に広告を繰り出し、メンズクリアに貢献していくのだ。

いけ!

序盤はこんなもんで良いだろう。記事に移っていきたい。

髭が無料!今すぐ抜け!!

4/7。友人からなんかURLのリンクが送られてきたので、とりあえず開いて確認すると「無料」の文字が踊っていた。マジかよ!と思って申し込んだら、直後に電話がかかってきた。

電話口の男「4/9の日曜14:30にご予約希望と承ったのですが、よろしければ明日4/8の土曜はいかがでしょうか?13:30、14:30、16:00とお時間ございますが〜」

俺「え、あぁじゃあ明日の13:30でお願いします」

ここまでものの10分もかかっていない。極めてスピーディーにご予約は完了し、俺の「美容脱毛サロン「メンズクリア」無料トライアル」が確定した。

メンズクリア。名前には聞き覚えがあった。俺が最近、ラランドという芸人のYouTubeをよく見ていたからだ。ラランドはやたらメンズクリアの案件動画をやっていた。ツッコミのニシダは毎回髭や全身がツルツルになり、時には最高になっていた。


予約した13:30をやや過ぎて到着したメンズクリアは、スタッフも全員男性だった。そのうえ、そろって白衣を着ていた。なんで?医者じゃないじゃん。

問診票的なものを書いてスタッフに渡し、しばらく待つと奥の小さいブースに呼ばれた。ブースと言っても壁とドアがきちんとある立派なつくりである。壁には宮迫のポスターが。

過去は変えられない。by宮迫博之

そこでスタッフから「これまでメンズクリアで施術を受けてきた人のビフォーアフター」や「体験した人の感想」などを色々と紹介してもらい、最後にiPadで世の脱毛男子(!)たちがテレビで取り上げられたときの映像を見せてくれた。……しかし、肝心の話がまだだ。一応聞いておきたい。

俺「料金の方って……」

スタッフ「あ、それは後ほどしっかり説明させていただきますねぇ〜」

このやり取り、計2回あった。たまらず聞いてみた。

俺「無料ですよね?今日の体験は」
スタッフ「えっ」

マジでびっくりみたいな感じだった。これは決して人を騙している顔ではない、本気で驚いている。しかし何故。俺がここに来たのは無料トライアル0円という惹句を見たからなのだが……。

ぁ!?なに!?

予約確認メールを見返すとそこには「無料カウンセリング+980円で脱毛トライアル」とある。そして初めに踏んだURL先のリンクにも同じ字面が並んでいた。俺が早とちりしてタダで体験できると思ってしまったのだ。まぁさすがに980円くらいは払えるぜ。あー、あー、カウンセリングが無料で体験が980円ですよね~と俺がブツブツつぶやき、スタッフがあいまいに笑いながら俺を施術室に案内してくれた。

無料トライアルの内容はいたって普通だった。施術ベッドにあおむけになり、目隠しをされて顔にジェル状のものを塗られ、その上からメンズクリアが開発したというレーザー照射機を顔中に当てられた。そのあと冷たいタオルのようなものを顔に乗せられ、冷え冷えの顔で施術が終了した。まったく痛くはなかったが、さして何か変わったという感は一切なかった。顔が冷えた。……しかし、だ。

こういった「トライアル」というのは基本的に、今後お金を継続的に払ってくれる顧客を獲得するためにある。しかし今回体験した通り、脱毛というのは一回やったところで何の実感も沸かない。これでは誰しもが「こんなもんなのかな……?」と疑問符を浮かべて帰ることになる。

にもかかわらず、「無料/格安トライアル」を謳う美容脱毛の広告はネットに溢れている。ということはやはり、安価で脱毛サロンにトライアル希望者を呼ぶことは「お金を継続的に払ってくれる顧客の獲得」につながるのだ。

では、どうやって?……客がトライアル施術を終えたあと、スタッフによって「継続的な本プランの契約を“その場で行う”」ことを勧める、極めて粘り強い説得が行われるのである。

「このプランで頑張れそうですね」

しかし、以前に俺はマルチ商法の勧誘もきちんと断ることができた。↓記事

黒に近いグレーなマルチ商法事業者には勝てたのだ。店からしてあまりにホワイトな、メンズクリアのひ弱なスタッフなんてワンパンですよ!

白過ぎ。

ワンパンではなかった。あらゆる規制で勧誘方法を極端に縛られているマルチ商法事業者に比べ、メンズクリアスタッフは合法ゆえにやりたい放題だ。

マルチに比べれば直接的な誘導が許されるのだろう。定期的に有料プランを指して「じゃあ、これからこのプランで頑張れそうですね」と言ってくる。最初に言われたときは「え?なんで契約確定してんの?」とかなりビビった。流石に「え……え、あの、仮に契約したらって話ですよね?」と怯えて質問すると、スタッフはスン……となって「まぁそうですね😄」との返答。

そして、密室で勧誘してくる。先述した通り、ブースはドア付きの狭い部屋だ。そこで机を挟んで1vs1である。こんなのマルチだったら即アウトだ。彼らはわざわざ人目のある喫茶店やファーストフード店にカモを呼びつけ、公衆の面前で悪質商法を展開しているのである。その努力を君たちは踏み躙っている。

少しでも彼らに思いを馳せたことがあるのか!俺はいつのまにか、マルチ商法事業者の為に、ここで断固戦わねばという決意を固めていた。思えば、マルチの奴らはこの白すぎるメンズクリアスタッフよりもずっと愛すべきやつらだったのだ。俺は、新宿のマクドナルドで「バイナリーオプションでの勝率を上げるツール」(49万円)をこっちに売りつけようとしてきた松永くんのことを懐かしく思い返した。

「マジでさ!投資(バイナリーオプション)で大金稼いで、パンピーと差つけたくないすかw!?」と語ってきたマルチの松永くんには闘志があった。目の前の、営業スマイルを貼り付けたスタッフとは違う。「たしかに今は何も持たない俺だが、いつか、何もかもを持っている「あいつら」の鼻をいつか明かしてやる」という“負け犬的闘志”に満ち満ちていた。

見よ、この全身脱毛した身体に白衣を纏ったツルツル×ピカピカ、清潔感の二度漬けの如きメンズクリアスタッフを。彼らこそ「あいつら」ではないか。

はっきり言って、俺を担当したスタッフは清潔感を通り越して透明感の域に達していたメンズクリアってそういうこと?もし、俺がトータル100万くらい払って彼になれるなら安いもんかとちょっと思いかけた。

しかしまぁ、出す気にはなれない。やっぱり……と俺が渋っていると、Mr.メンズクリアは「92%の女性が、男性の脱毛を喜んでいるんですよ」と語りかけてきた。おまけに謎の円グラフが書かれたフリップボードを出してきた。

こういうの。


しかし小2になっても1〜100がよく覚えられなかった俺にとって、円グラフという算数的思考力を要求する図解は到底説得力を持たなかった。すると松永が現れた。

松永「おいちょっと待てよ、じゃあ俺があんだけ紙に書いてシミュレーションした「バイナリーオプションで年毎の収入がどれだけ増えていくか」の説明も理解してなかったのか?」

俺「あぁそうだ。なぜなら大量の数字が出てきたからな」

松永「あんなの単純な掛け算じゃないか」

俺「掛け算は単純じゃないぞ。りんご3つ+みかん3つは合計6つ、これは現実に果物を用意すればその通り再現ができる。だが掛け算はどうだ?りんごを3つ、みかんを3つ用意して、それを9つにすることが松永、お前にはできるか?加減乗除の真ん中には具体と抽象という大きな壁があるんだよ」

松永「お前バカ?」

なんとでも言うがいいさ。いつの間にか、Mr.メンズクリアのフリップボードは既に2枚目へと突入していた。松永、俺とお前で「あいつら」倒しちゃおうぜ。きっとこのスタッフもスタバでバイトして卒業旅行でシンガポールに行っていたクチだぜ。さぁ、コンビ結成だ!俺たちもYoutubeをやってメンズクリアに出資してもらおう。その第一歩としてこの契約は断固としてつっぱねるんだ!!

そう決めてMr.メンズクリアに向き直ると、彼は先ほどと変わらぬ笑顔で料金表を指さし、こう言った。

「じゃあ、これからこのプランで頑張れそうですかね」

ちょっとビビった。敬語が怖いぜ。笑顔かつ有無を言わさぬ雰囲気、流行りの髪型に漂う「男」感。なんだかナンパ男を思い出した。やたらモテるモテるとアピってくるのはそのせいだったのか。

ナンパというのは悪しき文化だと俺はつねづね思っている。道端で声をかけるタイプの宗教勧誘がキモくてヤバいみたいな扱いをされるなら、ナンパだって同じくらいの扱いで良いはずだ。見知らぬ他人の幸福を願っている分、心持ちとしては宗教勧誘の方が上である。なぁ松永、マルチの勧誘だってナンパよりはマシだと思うぜ。

松永「え、そうかな?」

は?そんなわけないだろ!!お前とのコンビは解散だ!!!なにが「あいつら」だ。成功者への妬みをモチベーションにするのは不健康極まりないぞ。もっと前向きな理由で成長するべきだな。早寝早起き、朝はしっかり食べて野菜ジュースでも飲んでベランダで乾布摩擦でもしておけ。いいか松永、俺はそういうウジウジした奴が大嫌いなんだ。私は社会不適合者です〜という自認は己を弱者かつ異端という怠けたアイデンティティへと押し込める禁じ手だ。そうやって自分には出来ない何もないと自虐風怠惰を繰り返して潰した可能性が、一体これまでにいくつあった?20歳もとうに過ぎた俺たちに、そんな甘えた振る舞いは決して許されないんだよ。気づくと松永は泣いていた。そして俺も泣いていた。何もかもブーメランじゃないか。

いや違う、俺は変わるんだ。

俺はメンズクリアで完全ヒゲ脱毛を達成し、顔面ツルツル透明男──Mr.メンズクリア──になるんだよ。

松永「そんな上手い話、あるわけないぜ!」

ドーン!!

あるんだな、それが。今なら美容脱毛サロン「メンズクリア」で、各店舗先着30名さま限定で「ヒゲ脱毛トライアル」が通常27720円のところなんと……

「980円」で体験できるんだ!

もちろん、それだけですんなり終わるほど社会は甘くないぞ?15分〜20分ほどの脱毛トライアルが完了したら、スタッフは30分ほどかけて「定期的に通う脱毛プラン」への加入をお勧めしてくる。
しかも一対一で狭い密室、結構粘ってくるから空気に弱いタイプの人は契約させられちゃうぜ!

でもまぁ、前金10000円で次々3000〜4000円、2、3年かけてヒゲ脱毛を終わらせその後一生ヒゲ剃りの必要がないって話なら安いもんなのかもな。
……どうだ松永、これで案件来るかな?

松永「お前バカ?」


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