白湯に溶けぬ、金魚のエサ
金魚のエサみたい、と一目見て思った。
茶色いその粉は、「白湯に溶かして飲んでくださいね」という薬剤師の指示に従っても、ほとんど溶解してくれない。おどろおどろしい暗い色の液体を、目をつむって一気に流し飲む。
人が口にすべきものでないような強烈な風味を感じ、後味が腐った紅茶っぽい、という感想を経由して、やっぱりほとんど金魚のエサだと結論づける。
まずい、まずい、と一人暮らしの狭いキッチンで声に出しながら、追加の白湯を口に含んだ。
不安を抑制する漢方の薬だなんて二十九年生きてき