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チャレンジしない「Never Give Up」

「レジリエンスing」by「レジリエンスの焙煎士」

 みなさんの「レジリエンス」を泡立てて心に薫らせる「レジリエンスの焙煎士」です。

「レジリエンスing」では「レジリエンス」の視点から気づいたこと、気になったことを書いていきます。

 今回の「東京オリンピック・パラリンピック」で私が一番印象に残った選手はアメリカの体操選手「シモーン・バイルス選手」です。 リオオリンピックでは4つの金メダルを取ったアメリカ体操界のスーパースターです。

このシモーン・バイルス選手が東京オリンピックの団体総合の決勝で1種目目の跳馬を失敗したあと、残りの種目をすべて棄権したのです。

 この東京オリンピックの舞台に立つまでの道のりの中で、シモーン選手は様々なストレスに取り囲まれていたようです。 

 棄権後の彼女のコメントはこうでした。

「メンタルが十分じゃないから仲間に任せることにした。メンタルが健康じゃないと楽しむことはできない。弱っているときに抗うのではなく、そこに対応していくことが大切です。」 

 「レジリエンス」は「回復力」と表現されることが多いですが、実は「適応力」という力も持っています。

ストレスから無理に立ち直ろうとするのではなく、そのストレスとネガティブな感情を受け入れてその場に留まるのも「レジリエンス」を発揮している状態ということです。

 私はこのメンタルマネジメントを「チャレンジしないNever Give Up」と呼んでいます。

英語の「Never Give Up」にはあきらめずに挑戦し続けるという「チャレンジ」というニュアンスが含まれていますが、「チャレンジしないNever Give Up」でOKということです。

つまり「いまはチャレンジしなくてもいいよ、しばらくこのままでいよう、でもギブアップはしない」という「チャレンジしないレジリエンス」でもあるのです。 

 「レジリエンス」の「適応力」は「回復力」と違って発揮されていても見えないし、気づきません。今回このシモーン・バイルス選手の言動で、この「レジリエンス」の「適応力」が「見える化」されたと思います。

チャレンジすることだけが「心の強さ」ではないということです。 

 サッカーのマンチェスター・ユナイテッドに所属するポール・ポグバ選手はツイッターにこう投稿しました。 

『棄権の決断は「まぎれもない強さの瞬間」だった』

「レジリエンス」はあくまでメンタルの動きであって、アスリートの「パフォーマンスの改善や結果」と混同してはいけないと言ってきましたが、シモーン選手はその後最後の種目別の平均台でカムバックし、銅メダルを獲得したことだけ付け加えておきます。(ほりしん)

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