せっかく気ぃ使ったのに


青木少尉が率いる第二小隊はその殆どを失い、僅かに残った隊員も敵に囲まれまさに壊滅寸前であった。
その絶体絶命の中、帝国軍人として『命果てるまで』を信条とする青木の口から意外な指示が。
それは鬼軍曹として恐れられた青木が部下に対して見せた、最初で最後の優しさであった。





『隊長、もう駄目です!完全に敵に包囲されました!』


『隊長、我々はどうすれば……』


『隊長!私は隊長の教え通り、この命果てるまで祖国のために戦います!』


『隊長!指示を!』





『………よし、これからお前達に最後のミッションを与える!全員この場は俺に任せて、何としても生き延びろ!』








『隊長、どういう意味ですか?』


『隊長、ざっくりし過ぎてピンと来ません!』


『隊長、もっと詳しくお願いします!』





『やっ、だから、ここは俺に任せてみんな逃げ……』





『軍人の命は祖国の為に、それは前から言われてるんでわかってます。で、ミッションは何でしたっけ?』


『生き延びろ、っていうミッションは初めてやと思うんですけど、それって、どうすればいいですか?』


『ここは俺に任せてって、具体的に何を任せたらいいですか?』





『あの、あんま何回も言うたら恥ずいから……』





『どうしましょう。自爆とかした方がいいですかね?』


『隊長!竹ヤリ持ちましたー!』





『やっ、ちゃうねん、今までキツく言うて来たけど、今は自分の命を一番に……』





『隊長、それは、ことわざか何かですか?』

『隊長、中卒にもわかりやすく!』

『隊長!』

『隊長!』






『わっ、敵襲だ。』







ボカーーン

サポートしてくれた人を生涯愛し抜くと誓います!出来る範囲で!