73.コンサルって何様?
久しぶりに中小企業診断士としてのお仕事の話。あまり良いお話ではないのですが。
先日ある企業が、コンサルを受ける現場に立ち会いました。自分の立場は、双方の仲介役的な立場で、自分は診断業務に直接関与せずにサポート的に意見を言う立場でした。
コンサルタントは複数人のチームで、中心人物は年配の方。コンサルとして、多くの経験を積んでいるとの事でした。これは、自分としても良い経験になるなと、楽しみに参加しました。ところが、正直ハズレのコンサルで、期待ハズレとなりました。大きな理由は二つ。
一つ目は、具体的な改善策を提案しない。対象企業の問題は、参加者全員共通認識となっているのに、数値分析にこだわりすぎて改善策を出してこない。
「●●の数字が低いからここを上げていかないと」みたいな感じ。いやいや、それをどうすれば良いか、いろいろ試してみたけど上手くいかないから苦労しているんです。どうしたらその数字を改善できるのか、少しでも具体策が欲しかった。
しびれを切らして、自分が「●●みたいなことを試しにやってみたら」と提案すると、あたかも自分の意見のように被せてくるだけで、自分の意見を言わない。対象企業の方々のためになればそれで良いですが、あまり良い気分ではありませんでした。
さらに、二つ目の理由が、一つ目より気分が悪かった。それは、常に上から目線のコミュニケーションだということ。
大手企業の相応の立場を経験された方との事で、多くの知見を持たれているようでした。しかし、その話ぶりが随所に自慢話のように聞こえてきます。対象企業は中小企業ですので「そんな話、今話したって参考にならないのでは」と思うような経験談を、気持ちよさそうに話しているのです。
さらには、既存事業を撤退するかどうかという、今回のコンサルで重要となるテーマを議論していた時のこと。
対象企業の参加者は、社長をはじめ撤退をせず、なんとか改善策を立てて、立て直しをしたいという意向が強くありました。
私の目からみると、確かに改善する事は難しいし、撤退して資源を他事業に集中した方が良いと思っていました。しかし、社長達対象企業の、雇用を守りたいという思いと当社の計画や財務状況から、もうしばらく頑張っても良いかと、考えを改めました。
しかし、コンサル側は議論の最初から「撤退すべき」の一点張り。対象企業の意見には耳を傾けず、根拠となる数値を繰り返し説明するばかり。社長がご不満な様子が明らかなのに、気にもせず、話をしていました。
結局、事業は撤退せず、コンサルも今回で終了するという結論が出ました。
確かに対象企業のために意見を曲げない事は、コンサルタントに必要かもしれません。しかしもっと重要な事は、対象企業に寄り添い、ともに改善していく姿勢の方が、重要なのではないでしょうか?
今回の話も、後から振り返れば事業撤退が正解だったかも知れません。しかし、社長とコンサルが協力して、他の改善策を進める事も可能だったはず。それが、コンサルからアドバイスも受けられず、自力で改善していく事になってしまい、最悪の結末となってしまいました。もちろん、自分は引き続きサポート役ではありますが、対象企業のために動いていくつもりではありますが。
基本的コミュニケーションが取れなければ、どんなに知見を持っていても活かせないという事が、よくわかりました。どんな仕事でもそうかも知れませんが、コンサルに携わる場合は特に、相手の心情を慮る事を忘れてはならないと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪
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