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プロフェッショナルを目指して

経営コンサルタントを名乗って2年半が過ぎました。その間、自分は経営コンサルタントを名乗るだけの何かを持っているのだろうかと自問を続けてきました。

自分の中の指針となり、心の拠り所になった本は数多くありますが、もっとも基本的なことを教えてくれたのが、2009年に発刊された「選ばれるプロフェッショナル クライアントが本当に求めていること」です。

著者は、ジャグディシュ・N・シース先生とアンドリュー・ベルさん。シース先生は経営学者でベルさんは経営コンサルタントです。

この本ではプロフェッショナルを「高度な教育と訓練が求められる職業に従事する人のことであり、彼らが相手にするのは『顧客』であなく『クライアント』である」と定義しています。

その定義を踏まえてクライアントに評価されるプロフェッショナルを次のように説明しています。

つまり、多くのプロフェッショナルは、答えを出すことにとらわれ、自分は「専門家」だと認識し、優れた分析をし、専門特化することに励んでいるのだ。それに対して、クライアントは、プロフェッショナルが「適切に質問をし」、「深いだけでなく幅広い知識を提供し」、「分析のみならず対極的な考え方を示し」、「一方的に話すだけでなく、こちらの話にも耳を傾け」てくれることを望んでいる。

「選ばれるプロフェッショナル」ジャグディシュ・N・シース他(英治出版)

さらに、この違いをエキスパートvsアドバイザーという形で比較します。

エキスパート        アドバイザー
・知識が深い        ・知識が深く、しかも幅広い
・話す           ・聞く
・答えを出す        ・良い質問をする
・仕事上の信頼を築く    ・仕事上だけでなく、個人的な信頼関係をも   
               築く
・コントロールする     ・協働する
・専門性を提供する     ・洞察を提供する
・分析する         ・統合する

これに加えて、

21世紀における優れたナレッジワーカーとは、単なる専門性を超越し、クライアントと協働し、相手をよく知るように努力しながら、クライアントに対して洞察を提供できる人たちである。

「選ばれるプロフェッショナル」ジャグディシュ・N・シース他(英治出版)

と端的に表現しています。

自分がこのままでいいのだろうかと迷ったとき、このプロフェッショナルのあり方を思い出します。自分起点で見るのではなく、他者起点でしかも自分を見失わず見るというのが大事なのだと気付かされました。

この本では、アドバイザーとなるプロフェッショナルのあり方がぎっしり詰まっています。経営コンサルタントとしてやっていくための基点であり、基準がここにあります。

興味を持たれた方は是非本書を手に取ってみてください。多くの示唆が得られると思います。

この本と同じようにプロフェッショナルのあり方を端的に説明した本として波頭亮さんの「プロフェッショナル原論(2006年発刊)」があります。新書なので読みやすいです。


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