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駄文#11 天空の城

こんにちは、抽斗の釘です。

もうすぐ8月も終わり。
8月の終わりは夏休みのおわりで。
31日に必死に宿題をやった、というよりも、
各教科、新学期の初めの授業に間に合えばいいか、
と、逃げに逃げ続けた記憶があります。

しかし車を運転していると、ランドセルがちらほら。
ああ、いま時は31日まで休みじゃないんだなと、社会の変化を感じます。

さて、夏休みといえば金曜ロードショー。
毎年、でしょうか。今年も3週連続でジブリ映画が楽しめました。
我が家ではジブリ作品のDVDもいくつか所持しているのですが、
やっぱり金曜ロードショーで観る方が楽しかったり。
ライブ感、というのでしょうか。
日本中の皆様と一緒に観ている感じがして、なんだか楽しいのです。
今年も例によって、今日はジブリだ!などと浮かれたりして。
夕飯の準備や風呂などをいそいそ片付けるのです。

そんな感じで、結局毎年観てしまうのですが。
それでも毎年、何かしら新しい感想を持つというのが、またジブリのすごいところで。
子供の頃にぼうっと眺めるだけでも楽しい。
しかし大人になってから、子供の頃に聞き流していた台詞だとか、背景や設定の細かなオブジェクトについて考えてみるのも面白く。

例えば「となりのトトロ」では、
サツキたちの住む家がなぜ洋館と日本家屋のハイブリットなのか。だとか。
「天空の城ラピュタ」では、
なぜムスカ大佐が3分間待ってくれたのか。だとか。
そういうことにいちいち気を掛けて、考えてみるという楽しみ方の余地が敷かれていて、懐が深いな、と思う次第です。

そしてラピュタを見ていて気になったのが、
炭鉱町の雰囲気です。
海賊たちと喧嘩をするシーンは子供ながらにわくわくしながら見ていたのですが、今になっても思わずニンマリしてしまう。
血などの生生しい描写がなく、言ってしまえばギャグ調。
少し前の時代の、アニメーションらしいほんわかとした雰囲気というのでしょうか。表現が難しいですが。

普段はあまりアニメーションを見ないのですが、
なかなか現代のアニメにはない雰囲気ではないでしょうか。
それでもいい大人が笑いながら楽しめる雰囲気というのが、無二というか、他にはあまり思いあたりません。
これは想像ですが、現代のアニメでああいった、ある意味少しふざけた喧嘩シーンを作っても、なんだか興ざめといいますか、暴力を笑うといった反応は得られそうにないと思います。
それはきっと、すごく繊細なバランスだと思います。
「紅の豚」にも、喧嘩するシーンがあったように思いますが、あれも暴力が笑える作りになっていたように感じます。
それを現代の新作アニメで作ると、やはりなんだか茶番のように思えてしまう。(想像ですが)
その絶妙なバランスが何か。
と言い当てるのは私にはまだまだ力不足ですが。少し暇があるときに考えておきたいと思います。

しかし何にせよ、スタジオジブリや宮崎駿監督の手腕には違いないでしょう。
近年のアニメーション作品は、偏見ですが、とてもリアルに、細かく、本物のように背景が作られているように思います。
そこに登場するアニメーションらしい人物たち。
私は少なからずそのあたりに面白くなさを感じてしまいます。

しかしジブリ作品はいつになっても見てしまう。
背景のリアルさとキャラクターのアニメらしい造形。
は、かわらないものの。
リアルはリアルであっても、やはりアニメーションの中から出てこない安心感でしょうか。
そこに違和や嫌悪を感じさせることがない全体の雰囲気づくり。
あの特別な空気感を作ることができる。それをなんと言い当てればいいのでしょうか。

天空の城は現実には存在しない。
けれど、アニメーションの中は現存する。
そんなことを信じてしまう。
それが、今の私に精一杯言える表現だと思います。
そう信じさせるのが創作の力でしょうか。
まだまだ世の創作物から、得るものは膨大にある。限りなくある。
そんなことを思う夏の終わりでした。

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