ワンピース ルフィの生き様は、シャンクスのナイスコーチによって創られたんだと思った話
「海賊王になる」
これがルフィのゴール設定。
ルフィは、このゴールを設定し、ワンピースという漫画の中で彼の人生を歩んでいく。
彼はマインドの使い方が超絶にうまいと思う。それは、ゴール設定がバチっとはまっているからだろう。
ゴール設定の3つのポイント
ルフィのようにバチっとはまるゴール設定をするには3つのポイントがある。
①現状の外側であること
②want toであること
③バランスホイールで複数のゴールを設定すること
一つ目が、現状の外側のゴール設定をすること。
彼は、「海賊王になる」というゴール設定をしていて、物語の中でそこがブレたことは一度もない。
このゴール設定をしたのは、漫画1巻で、彼の師匠のような存在であったシャンクスが、共に過ごしていたフーシャ村を出航するとき。
そして、その10年後に自らの船で冒険に出発していくときには、「海賊王にオレはなる!」という有名なセリフをアファメーション(セルフイメージを構築する自らが発する言葉)として使っている。
ここまでにどんなストーリーがあったのかというと、
まずは幼少期。
「シャンクス、航海に連れて行ってくれ!海賊になりてえんだ。」
と言っている。
つまり、一番最初、幼少期のゴール設定は
「海賊になる」
ということだった。
現状は、シャンクスからも航海に連れて行ってもらえないただの子ども。
現状のままいくと、ルフィが海賊になることはあり得ない。
それは、カナヅチ(泳げない)で、海に出る術ももっていない。航海に出たこともない。弱い。
その現状の外側に、「海賊になる」というゴールを置いていたのである。
しかし、シャンクスは、
「お前なんかが海賊になれるか!」
とドリームキラー(置いたゴールを潰す人、否定する人)になっている。
これは、親心。
ゴール設定をすると訪れる、その人を守りたいがためにゴール設定者のゴールを否定し、現状に戻そうとする人。
それはその人なりの「愛」。
シャンクスは、海賊になるということの厳しさを知っているからである。
だから、コーチ以外にはゴールを言うことは禁止されている。
しかし、ゴール設定の二つ目の条件であるwant to(心の底からやりたい。コストを払ってでもやりたいこと)であることなので、その存在は、ルフィからしたら、ゴールの邪魔な存在でしかない。
だから、自分で自分のほっぺたにナイフを刺して、こんなことをするのも怖くないんだと言っている。(ルフィのほっぺたの傷がそうしてできているのは有名な話)
ルフィは、シャンクスの仲間から
「海賊は楽しい」
「海は広いし大きいし、いろんな島を冒険するんだ」
「何より自由!」
と聞いている。
また、航海の中で、ワクワクする冒険をしていることも、危険なことに遭遇しても乗り越えていることも知っている。
彼にとって、シャンクスや仲間の存在から海賊になるということに対する臨場感がとてつもなく湧いているわけだ。
(人間のマインドは、臨場感が強い方をコンフォートゾーンにする。そして、コンフォートゾーンは一つしかとれない。彼のマインドは、現状のコンフォートゾーンよりも臨場感の高い、海賊であるというコンフォートゾーンを選択し、その世界で人生を生きている。)
そうしていると訪れる、山賊との戦いの後の有名な場面。
山賊から海に落とされたルフィを守ために、近海の主からシャンクスが腕を食べられる。
この事件を通して、海の恐ろしさ、己の非力さ、そして、シャンクスという男の偉大さを知り、いつかこんな男になりたいと心から思うことになる。
この後、ルフィは、航海に連れて行ってくれということを言わなくなり、こう言っている。
「俺、海賊には自分でなることにしたんだ」
そして、ここでルフィはこう言う。
「俺はいつかこの一味にも負けない仲間を集めて!!」
「世界一の財宝見つけて!!」
「海賊王になってやる!!」
「ほう、俺たちを超えるのか」
「じゃあ、この帽子をお前に預ける」
と言いながら、シャンクスは麦わら帽子を預ける。
「俺の大切な帽子だ。いつかきっと返しに来い。立派な海賊になってな。」
これがこのゴール設定のアンカリングになっている。
ルフィは帽子を見たり触ったりすると、この時の臨場感が湧く。
このシャンクスのナイスコーチによって、この物語は進んでいくということである。
この物語の1巻が、この物語のミソであると思うし、ルフィがこれからの展開でマインドをうまく使って、生き生きと人生を歩むターニングポイントになっている。
シャンクスは本当にナイスコーチである。
10年後、航海に1人で出発するルフィ
そして、10年後。
航海に1人で出発すると、まず最初に出会うのがシャンクスの腕を食べた近海の主。
「出たか近海の主!!」
とルフィ。
おそらく、出てくるかもなと予想していたのだろう。
彼は、10年で鍛えた技を使って近海の主を「ゴムゴムのピストル」という技で一撃で倒す。
この後に発するセリフが有名な
「海賊王におれはなる!」
である。
これは想像だが、海賊王になることをゴールに置いた時に、修行が必要だと感じたのだろう。10年後に出航すると旗を立てた時に、最初に出会った時には倒せなかった近海の主。
それを倒すために、
「俺のパンチはピストルのように強いんだ!」
という幼少期のセリフを体現することをエンドステートに置き、10年で鍛え、結果として近海の主を倒した。
ここで、一気にエフィカシー(ゴール達成への自己評価)も上がったであろう。
そして、
「まずは仲間集めだ」「10人はほしいなあ!!」
と人間関係のゴールも設定。
ここにもマインドの使い方のうまさを感じる。
バランスホイールで複数のゴールを設定し、「海賊王になる」というゴールの臨場感を高めていく。
身の回りにいる人が、そういう人たちに変わっていけば、自分は海賊王だという臨場感がどんどん高まる。
ゴールがぶれないし、ゴール達成できる。
そのカラクリをあたかも知っているかのようである。
ワンピースの話の続きは、実際に漫画を読んでいただけると分かるが、ルフィはこのゴール設定によって、バラの花園が待っていたわけではない。
もちろん、ワクワクする冒険を仲間と共にする最高の場面もたくさんあるが、戦いの中で、兄を亡くしたり、仲間を救えない自身の無力さに絶望したりと、大きな挫折も味わう。
ゴール設定をするというのは、自分が人生を誰のために何をすることに捧げることにするか。
それを「置く」。
ゴールを置くから、何をするかが決まっていく。
この感覚をコーチングで学ぶことができました。
ルフィは、「海賊」として生きるというアイデンティティを幼少期からもっていて、そしてそうだと認知しているからこそ、そこがブレることはなかった。
でも、その自身のアイデンティティが何か分からない人もいると思うんです。
ルフィのように、want toが明確な人ばかりではないと思うんです。
だから、悶々としたり、何に向かっているのか分からないと思う。社会に価値提供したいけれど、何をしたらいいのかと思う。
そんな方に、僕はコーチとして、自身のアイデンティティやwant toを認知の表層に上げて、ゴール設定をするコーチングセッションをしていきます。
ワンピースを通してそんなことを思ったお話でした。
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