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海へのロマン〜横浜郵船ビル(日本郵船歴史博物館)

私は千葉県生まれ千葉県育ちの現在もなお住民票上では千葉県民だが、結構な頻度で横浜へ出かける。

私は横浜という地がスペシャル大好きだ。

「横浜」と聞くだけで胸は高鳴る。


思い返せば中学1年生の頃の校外学習も横浜だった。

中華街・山下公園・コスモワールド、ランドマークタワー…と、巡った場所は今でも覚えている。テンションが上がりすぎてココスのレジ横で販売しているような指輪を中華街の雑貨屋さんで買ってしまったり、オレンジ色の一つ目小僧が描かれた謎のプラスチック製の団扇も買ってしまった。
この時、初めて水上バス…その名も「シーバス」に乗った。


16歳、初デートも横浜だった。港の見える丘公園で夕焼けを見た。
16歳のひかるはめちゃくちゃ感動してしまった。
セイシェルの夕日ばりに美しいんじゃなか?と錯覚するくらいの夕日に照らされたベイブリッジ美しかった。

その次の人との初デートも横浜だった。
お付き合いを始めた人との初デートは「横浜」と、無意識にそうなっていた。

だって、楽しくてロマンチックな場所が多いんだもの。
横浜はなんでも揃っているのだ。
好きな人とは一番好きな場所へ一緒に行きたい。

女の子と出かけるときも横浜という地をフルにエスコートしたくなる。
私の中のジェントルスイッチが入るので、夜景の綺麗な場所やカフェなどを事前に調べてお出かけをする。

しかし当時の私はテンプレートのような「横浜巡り」をしていて今思い出すと少しはずかしもある。

現在の一番の興奮要素である「歴史を巡る・辿る」など、そんな事を考えた事も無かった。

洋館という存在を19歳の頃に好きになり、歴史の調べ方やコツがだんだんわかってきた頃に再度横浜を訪れてみたら、あら不思議…今までよりも深いところ、広い視野で見えてくるではありませんか。もちろんまだまだ尻の青い横浜ラバーだが、横浜は私の心を掴んで離さない絶大な魅力に包まれている…。

前置きがだいぶ長くなってしまったが、現在、(自称)横浜ラバーとして2周目に突入している私が先日足を運んだ場所について話をしたい。

その日は、中華街に突如として現れた「なぜそこに感」強めな北欧ちっくなパンケーキ屋さんで朝ごはんを食べた。

夕方の予定まで時間があった私は、どこかまだ見ぬ素敵な建物は隠れていねえがあああ、とスマホで検索をしまくっていた。

グーグルマップで見ると近くに博物館マークがあり、HPへ飛んでみると何度も行ったことがある氷川丸の写真があった。

その隣に映る「日本郵船歴史博物館」には行った事がなかった&企画展の内容も面白そうだったのですぐに向かう事にした。

歩いて7分ほど…裏側から来てしまった事に気付き、このままだと理想の対面が出来ない!と思いすぐに正面から見れるであろう反対側へと急いだ。

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極力視界に入らない様に建物正面と反対側の歩道へと移動する。

『おおおおおおおおおおおおお』

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正面に来た私はとても感動してしまった。
これは良い、良すぎる。
迫力満点、水平ラインがとても美しいではないか。

柱の装飾も素晴らしい。
静かなる重厚感…。まるで寡黙な男性のよう。

カメラを構え、シャッターを押す。
建物前を横切るタクシーもおしゃれ雑誌の表紙のように「シュッ」となればロールスロイス見えてくる不思議現象が起こる。

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まるで絵画のよう。

外観で心をガシっと掴まれた私は、あらゆる角度から写真を撮った。
コリント式の柱を下から見上げ、装飾の柔らかな曲線に色気を感じてしまう。実に色っぽいではないか。


葉アザミの陰影も美しい。

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重厚感ある入り口から内部へ入る。

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館内は、解放感があり空間全体を見渡す事ができる。

6mある天井には鎖が特徴的な照明があり、その周りの天井飾り・梁の装飾との灯りのバランスが絶妙だった。

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床のタイルのグリーンの淡い色合いがまた可愛らしい。

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ところどころにある船っぽいモチーフを探したり、館内出入口にも発見が多い。

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(歩いている時の足下にも・・・)

明るすぎない館内はとても居心地が良い空間が広がっていた。

ぱっと見、展示はそんなに多くは無いのかな…と思っていたらところがどっこい。

内容が濃い。そして何よりわかりやすく、映像での解説も多い。

近代日本海運の歴史、文化。
岩崎彌太郎を取り巻く人間模様…国内外の定期航路を開こうとした三菱商会の前に立ちはだかる壁…戦時中、豪華客船から戦艦へ…と、船の歴史で辿る様々な人間ドラマを見て、学ぶ事ができる。

企画展の【図案家たちの足跡】(現在は終了している)では日本郵船が戦前、力を入れていた「広告」が展示されている。

レトロ好きにはたまらないポスターやカレンダーのデザインの数々。
あの頃にしか出せない風合い、色、雰囲気、温度がそこにはあった。
良い時期に知れて良かったなあ、と大満足な企画展だった。

外観、博物館の展示内共にとても満足度がある。

大好きな横浜で「海の浪漫」を感じた。


博物館の後に行く氷川丸はもっと違った見方ができて、細部も大事に見えるだろうなあ。

当時、無難なデートスポットだと思っていた自分にこのスペシャルな歴史をめぐるコースを教えてあげたい…なんてことを思ったのであった。

■日本郵船歴史博物館
■神奈川横浜市中区海岸通3-9
■1936年9月(昭和11年)
■設計 和田順顕
■入館料 400円
■休館日 月曜日
(日本郵船歴史博物館、氷川丸の両施設セット券500円)



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