「蛙化現象」
「蛙化現象?」なんなのそれ?
テレビでニュースを見ていて、母が言った。
「んー、なんか好きな人の些細な行動や言葉で、突然気持ちが冷めてしまう現象なんだって!」
「どういうこと?」
まだ全然理解してない母に、
「自分の好きな人の嫌なとこを見てしまって、好きじゃなくなるってこと!」
俺がそういうと、
「あ、ただそれだけのこと?
そんなことで嫌いになってたら、自分が嫌われちゃうわよ。」
「大事なのは、嫌なとこをお互い直していけるかどうかでしょ!
自分だけが嫌なとこ見えてると思ってるのよ。」
「相手だって、あなたの嫌なとこはきっと見えてる。」
「それを受け入れられるか。
できなかったから、ちゃんとそういうとこ嫌だよ。って言えるか。そしてその人がどうしていくか。」
「その先に、冷めたとか、やっぱり無理だとか判断がでるもんじゃないの?」
俺に言い聞かせてるのかと思うほど、納得はしていて。
「・・・、コメンテーターかよ!」
思わずツッコんだ俺だったが、
奥さんと喧嘩して実家に逃げ込んだ俺にはそれ以上言えることはなかった。
「お父さんより、蛙の方がよかったかもしれないわ。」
ゲラゲラ笑いながら、訳のわからないことまで言い出した母。
その隣で新聞を読んでいた父は、「それ以上は言うなよ。」
なんて、これまたゲラゲラ笑いながら言う父。
「早く帰って、謝ってこい。」
父にそう言われて、実家を出て、家に向かう。
「ただいま〜。」
君は台所に立っていた。
「お帰り〜。もうご飯できてるよ。」
「俺さっき怒ってたんだ、ごめん。」
「え、あれ怒ってたの?急に家行くって言ったからどうしたのかなとは思ってたけど。」
「ま、帰ってきたならもういいってことね。」
君は夕飯を準備し終わって、早々にテーブルに着く。
「もうお腹すいた!いただきまーす♪」
美味しそうにご飯を食べる君を見て、
俺は、もう、なんであんなことで怒ってしまったのか分からなくなっていた。
些細な行動や言葉なんて、あまり気にしない方が幸せだ。
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