大丈夫。

「頭いたーい。」
その日、彼女は熱を出して体調を崩していた。

でも、俺は楽しみな飲み会がある。

「大丈夫?」
「うん。一応大丈夫そう。」

よかった。

「行ってきまーす!」

俺はそのまま予定通り飲みに出かけた。

それから数時間後。

「少し考えたら、大丈夫じゃないって分かるでしょ!」

帰ってきた途端これだ。

あー、めんどくさい女。
だったら最初から素直にそう言えよ。

俺は、イライラしてまた外に出た。

「少しでいいから、まだ飲もうよ。」

そう言って近くに住む、さっき別れたばっかりの友達を誘った。

「大丈夫?ってちゃんと聞いた上で、大丈夫って言ってたから飲みに行ったのに。」

「めんどくさいって言い出したら、みんなめんどくさいとこあるって。同じ人間なんて一人足りともいないんだから笑」

じゃあ、俺はどうしたらいいって言うんだよ。

「でも、お前もし彼女が、大丈夫じゃないから行かないで。って言ってたら飲み会断ってた?」

「んー、それはわからん。」

「お前の性格上、どっちにしろ来てただろ笑」

まー、思い出せばこういうこと何回かあったけど。

「彼女もそれを知ってるから、行かないでって言わなかったし、言えなかったんじゃないか。」

「素直に言って欲しいなら、相手が素直になれるような関係を作っていくことが優しさだと思うけど。」

一時間程飲んで、俺は自宅へと向かった。

「ただいま。」

「ゴホッ。」
彼女は、咳をしながら背を向けてベッドに寝ていた。

俺は買ってきた、ゼリーやヨーグルトや飲み物をテーブルの上に置いた後、

「大切にできてなくてごめんな。」

そう言った。

「私も素直に言えなくてごめん。」
「色々買ってきてくれてありがとう。」

こっちを向いた彼女は、泣いていて。

そして、しばらくして申し訳なさそうに言った。

「あとさ、シュークリームが食べたい。笑」

俺は、ダッシュでコンビニへ向かった。

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