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マックス・ウェーバー

夏休み、
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
という本を読むことになった。


社会学者マックス・ウェーバーの著作。


教授に、夏休み中に読むよう言われた。


大学図書館の書庫に潜ることにした。


持ち物をロッカーに預け、
地下へと階段を下りる。


誰もいない、暗い書庫。


蔵書検索をかけて本を探す。


2冊見つけた。


訳者の違う二つの本。


それらをもって、地上階へ上がる。


誰もいないスペースを探し、
ぺらぺらとめくる。


まだ本格的に読むつもりではないけど、
どの出版社から出ているものが読みやすいか、
どんな内容なのか、ざっとでも目を通しておけば
本格的に読むときの参考になると思った。


訳者による解説を読んでみよう。


そこには、本書の解説のみならず、
マックス・ウェーバーという人物の思考が、
彼の数多の著作を基に考察されていた。


よくなんとかと解釈されるが、
実際には彼はむしろ逆であった、だとか、


彼のこの発言を時代背景、人生経歴から
探ってみよう、だとか、


彼が大学で行った講義を受けた学生の講義ノートが、
彼の著作として出版された、というようなことも書いてあった。


やっぱウェーバーレベルの人物はすごいな、
と思うと同時に、自分でも驚く感情が湧き出た。


「ずるい」


これには僕もびっくりだ。


僕は、こんなに研究されてずるい、と思った。


一挙手一投足が過去の人物によって
研究、想像され、議論を巻き起こす。


かっけー、と思った。


いいなぁー、と思った。


そして引いた。自分の強欲さに。


いや、人生で何も成し遂げていないお前が
マックス・ウェーバーと並ぶなよ。ライバル視すんな。


そう思ったけど、自分面白いな、と思った。


マックス・ウェーバーに関する研究蓄積を知り、
ずるい、俺もそうなりたい、と思うやつ。


こんな奇妙で奇天烈な人間を
もっとも身近で見ることができるのなら、
僕を生きてみるのも悪くはない、


そう思った。



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