本を紹介すること、開胸すること
オススメの本ってありますか?と、よく聞かれる。個人対個人で質問してもらえると、なんだって答えたくなってしまう。
相手の好みや読書歴を聞いて、これ!と思ったものを紹介し、それが相手の趣向にヒットすると、本を読んできてよかったな、誰かの助けになったんだな、と安心する。
けれども、オススメの本を文章で、特にブログで紹介しようとすると筆が止まる。共有する対象があまりにも漠然としているし、多すぎるように感じられる。誰に?何の目的で、どうして伝えなくてはいけないのか?
確かに私はオタクだから、絶対的にいい本を見つけたら誰かに話したくなるし、全人類知っといて!!!くらいの気持ちにはなる。
でも、どうしても知識、というか脳内のひけらかしになるような気がしてならない(大して知識があるわけでもないけれど)。身近にいる、分かってくれる人にある本について語るのは「共有」になるけれど、私の中ではそこに線引きがある。私も不特定多数に向かって叫びたい。ただ、それが自己顕示欲のように見えてしまって、投稿にまで繋がらない。そもそも、私が語れることなんてあるのだろうか、とすら考えてしまう。読んだ感想を投稿するのはいいとして、それって私の体験から生成される感情だったりするから、誰か知らない人に「私」の人生を開示するのは気が引ける。
私の本棚って私の価値観や考え方そのものだったりするから、読んできた本のリストや積ん読をデータに残してしまうのは怖い。「こういう人なんだろう」と推測されるのも少し面倒だ。でも、本当は打ち明けてみたいんだよな……。
投稿している人が傲慢だと言いたいわけでも、投稿自体が悪というわけではない。ただ、私がいつも感じている臆病さの理由を書いておきたかった。
ジレンマに惑わされて、いつも二の足踏んでます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?