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アパレル業界の地獄・販売代行会社について

地方のアパレル販売代行会社出身のひかるです。
元社員だから語れる販売代行会社についてお話しします。

販売代行会社とはなんぞや

○○百貨店の中にある●●●というブランドショップがあります。

そのショップの店員さんは、
○○百貨店の社員でしょうか、
●●●というブランドショップを運営しているメーカーの社員でしょうか?

実はそのどちらでもなく、
▲▲▲という販売代行会社の社員(またはアルバイト)です。

●●●というブランドショップを運営しているメーカーから、
○○百貨店へ出店する際、店舗運営を委託された会社が▲▲▲となります。
店舗運営は文字通り、運営全てです。
▲▲▲に所属する人間を配属し、店舗運営(販売から商品管理全て)を行います。

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販売代行会社がどうして地獄か

*以下私の経験則です。

①経営者が怖い
社長は元販売員の女社長が多いです。
女性だから優しい?元販売員だから働く人間の気持ちがわかる?
いやいや、だからこそ、販売員に対しては厳しいのです。
人前で怒鳴ることはもちろん、「口撃」が得意、人格否定や精神的に追い詰めて罪悪感を抱かせる話術に長けています。
また、ヤクザの愛人だったり百貨店の部長とできていたりと、謎の政治力が背景にあったりもする。

私が所属していた会社の女社長はヤクザの愛人ではなく、
組長の妾腹でしたけどね
😄

②雇用内容が奴隷契約
・社員であってもボーナスなし
・福利厚生なし
・もちろん退職金なんて存在ない
(求人票には手当の記載があったけど全部嘘だよ!)

③ブランドコンセプトよりも売り上げ重視

メーカーの指示は無視、
なんでもいいからとにかく売れというのが基本姿勢。
ブランドが好きな人はメーカーと代行会社との板挟みに合い辛い思いをします。

販売代行会社は3社経験していますが、
3社とも社長は女性で元販売員、
若い男性に投資はするけど、従業員の給料は絶対に上げない人たちでした。

雇用条件は全て嘘

面接で社長に説明されたのがこちらです。

・3ヶ月間の採用期間の後に正社員となる
・冬のボーナスから支給される(*私が面接を受けたのは4月)
・有給は半年後から使える
・自社ブランドの服は無理に買わなくてもいい

実際は、
・3ヶ月どころか1年近く雇用保険や社会保険に加入させてもらえなかった
・冬どころか翌年の夏もボーナスなし(てか店長ももらえてなかった)
・有給日数の告知なし(てか店長も有給使えてなかった)
・ブランドコンセプトがトータルコーディネイトだったので服から靴まで個人買する必要があった(自社ブランドの服を買わなきゃ仕事にならなかった)

ただこちらも社会人1年目。
バイト経験はあれど、人生で初めての会社です。
おかしいと判断できる知識と経験がないので、異常な雇用状況を受け入れてしまいました。

毎週月曜日の夜に行われる会議という名の地獄

月曜日の百貨店閉店後に販売代行会社に全員集められ、
週間の売り上げ報告会が行われていました。
もちろんその時間に残業手当はつきません。
会議という名の社長の講演会です。
当時はバブル崩壊直後、アパレル業界の傾斜が始まった頃です。
会議の内容は常に怒鳴られていました。
褒められることはまず、ない。

怒鳴る人は知能がない猿以下なんだな、とここで学ぶ。
今のようなセクハラ・パワハラ、コンプライアンスという言葉が存在しない時代です。
努力根性、気合いが足りないと当たり前に言われる世界でした。
(高熱があっても出社するのが美徳とされていました)

華やかに見えるブランドショップですが、その裏側はこんな世界。

奴隷労働で従業員の心も荒む

予算を達成しても前年に届いていないからと怒鳴られる、
基本的に認められたり褒められたりすることはありません。

そんな会社で楽しく仕事ができますか?

店長やサブはピンクハウスというブランドが好きで入社し、
10年以上の販売キャリアがありました。
ピンクハウスのカタログから出て来たような外見、服の着こなし。
顧客からの信頼も厚く、店長がおっしゃるならと購入されていく方々ばかり。
そんな人たちが所属会社の中では常に怒鳴られ、薄給で雇用されているのです。
有給もなく、ボーナスも出ず、やる気と労働力の搾取だけされる。
なにより「店長」より上のポジションが存在しない。
社員を怒鳴り散らす社長がいる会社の、部長や課長になりたいと思います?

キャリアの将来性がない。

ぶっちゃけそんな会社に長年勤めていたら部下に対する思いやりも何もなくなりますよね。
1〜2年のキャリアなら引き止められずに辞められる、会社や店が合わないと思ったら辞めたら?が店長達長年勤務している方々の基本スタンス。
そうやって何年も辞めていくスタッフを見てきたんだと思います。
だって、スタッフがどう改善を訴えても、
店長に発言権や実行力はなく、
何十年もこの会社で働いているから、
社長に対して言っても何も変わらないということだけは熟知している。

地獄であり墓場。
販売代行会社に対する私の認識です。

メーカーの直営店舗ならば販売員は守ってもらえる?

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少なくとも、会議のたびに社長から怒鳴られることはないのではないかと、私はピンクハウスの直営店への転職を決意します。
2年販売を続けてきて、洋服の販売に対してやりがいを感じ始めていたからです。
ブランドとしてのピンクハウスには関わり続けていきたい、
なにより販売代行会社から逃げ出したいと考えた結果でした。

販売代行会社からすると私は裏切り者です。

若く無知だったとはいえ、
ピンクハウスの面接を受ける、
採用が決まってから退社を伝える、
というルール違反を行いました。

ま、やめると伝えた時は社長に泣くまで説教されたんですけどね☆
(それでチャラだろ)

次回はそのピンクハウス直営店を解雇された話を書きます!


*注意
ヤクザが販売代行会社を経営しているのではなく、
販売代行会社の「社長」が組長の愛人の娘。
メーカーがヤクザと取引しているわけではありません。


グレーな世界