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添え書き

添書き



『Inside Me』というテーマがきまった時にいちばん好きな
本のことを思い浮かべた。

最果タヒさんの『好きの因数分解』という本。

これは作者であるタヒさんが自分の好きなもの、ことを
どうして好きなのか分析して書いているエッセイで、
初めてこの本を読んだ時めちゃくちゃに衝撃的だった。

後頭部を殴られたような衝撃とかいう例えがよくされるけど、

私は心臓を抉り出されたような心持ちになった。

私は『好き』という感情に人一倍興味を寄せていて、いつも気になるあいつ
みたいな存在だと思っている、とにかく気になる、この好きというやつが。

人間は誰に教えられるでもなく何かを誰かを好きになる。

何だそれ、足し算も引き算も生きていくために必要な食事を取ることさえも
私たちは誰かに教えられて身につけたり、上達していったりするのに
この好きというやつは当たり前のような顔をして日常生活にふと現れる。

そして、生命を維持する上で必要ではなかったはずの好きなもの、人を
生命の維持システムに組み込ませてそれ無しでは生きていけなくしてしまう。

追いかけても追いかけても、

いやむしろ追いかければ追いかけるほどこの「好き」というものの
全貌は煙にまかれて私の手を悠々とすり抜けていく。

それくらい訳のわから無い感情で、でもそれが楽しくて、
どこかの誰かが好きな理由を言えるってのは好きじゃないんだなんて言うけどさ、
結局私がどれだけ言葉を尽くしたって100%で表すことなんてできないんだから
好きな理由を考えさせてよ、伝えさせてよ、
私の「好き」を因数分解させてよ
っておもう。

という前置きが長くなったけど、私が自分の好きなものを好きな理由を
ただツラツラと書いているだけなのですが、
まあこれに何の意味があるのかなとか思ったりしたわけなんです。

これが他の人に見てもらう価値がどれだけあるのかなとか、
書いていてふと不安になったり、

でも、そうやってあれやこれやと考えているうちに
もしかしたら私と好きなものが同じ人がいて、その人が私とは
違う楽しみ方をしていて、私の文章を読んでまた違った視点から
好きなものを楽しめるようになったり、好きなものをもっと
好きになったりしてくれたら、それってとてもハッピーなことなんじゃないかな。

と思ったりしたので、自分が作るものに自分で必要か必要じゃないかの価値判断をするのはやめておく事にする、それは私じゃなくて周りが判断する事なので。

だから、私にできることはなるべく私の気持ち、好きを
100%に近い状態に表現することだけ。

どうせ、どうやったって伝えられないから。

(aikoのアルバムの言葉を借りて)



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