ビートルズのアルバム『Let It Be... Naked』を聴いた感想
このアルバムジャケットは何回か見たことあった気がするけど、たぶんアウトテイク集みたいなものだと思い込んでいたのだろう。発売から20年経った最近になってAmazonで見つけて説明を読み、ビートルズの名盤『Let It Be』のリミックス・アルバムだと知って、今更ながら「こんなん出てたんや!」って思って、ポチった。
このリミックス・アルバムの内容についてAmazonのレビューでは賛否あったので、オリジナルの『Let It Be』と聴き比べて自分なりの感想を書いてみることにした。
その前に、アルバム『Let It Be』について、おさらいしておこう。
アルバム『Let It Be』(オリジナル版)
アルバム『Let It Be』は、ビートルズ解散直後に発売された13枚目のアルバムであり、ビートルズ最後のオリジナルアルバムだ。
ビートルズの活動期間は大きく前期・中期・後期に分かれる。
前期は1962年のデビューから1965年のアルバム『Help!』あたりまでの期間で、ロックンロールとリバプールサウンドを中心としたストレートかつポピュラーなサウンドで世界的な人気を博し、コンサートも精力的にこなしていた。
中期は1965年のアルバム『ラバーソウル』から1967年までの期間で、インド音楽やサイケデリックサウンドを取り入れつつ実験的な音作りに挑戦した。この頃からコンサートを一切行わず、アルバム制作を中心とした活動にシフトした。
後期は1968年から解散までの期間で、中期の凝った音作りから一転し、ライブ演奏できるようなシンプルなサウンドに回帰したのが特徴である。
この後期に発売したアルバム4枚は
The Beatles (通称「ホワイト・アルバム」)
Yellow Submarine(同名映画のサウンドトラック)
Abbey Road
Let It Be
の順に発売されたが、実は『Let It Be』のレコーディングは『Abbey Road』のレコーディングよりも前に行われていた。
アルバム『Let It Be』のレコーディング(ゲット・バック・セッション)は1969年1月に開始され、1月30日にアップルビルの屋上で行われた「ルーフトップ・コンサート」として知られるライブ・パフォーマンスの録音も加えられ、アルバム『Get Back』として発売される予定でミキシングまで行われたが、メンバーが仕上がりに納得せず発売を見送り。
さらに、ドキュメンタリー映画『Get Back』の公開に合わせて、サウンドトラック・アルバムとして再度ミキシングが行われたが、またもやメンバーの了解が得られず、アルバムは未発表のままとなった。
ところがその後、ジョンがポールに無断でフィル・スペクターに再々編集を依頼し、完成したアルバムは『Let It Be』として世に出された。
フィル・スペクターのプロデュースによりオーケストラやエコーが加えられた『Let It Be』は、ビートルズの他のアルバム同様、記録的なヒットとなった。
アルバム『Let It Be... Naked』(リミックス版)
しかし、ポールは「オーバーダビングを極力避けライブ録音する」という当初のアルバム・コンセプトに反するフィル・スペクターのアレンジに不満を抱いており、30年以上も経って、ジョージ、リンゴ、オノ・ヨーコの同意を得て、本来の音に近づけるようリミックスしたそうだ。
こうして生まれ変わったアルバムが『Let It Be... Naked』だ。
まずオリジナル版と大きく違うのが収録曲。
オリジナル版に収録されていた「Dig It」と「Maggie Mae」が、リミックス版ではカットされている。
逆に、オリジナル版には入っていなかった「Don't Let Me Down」(シングル盤「Get Back」のB面曲)が、リミックス版には収録されている。
「Dig It」と「Maggie Mae」はオマケみたいな曲だったし、代わりに大好きな「Don't Let Me Down」を入れてくれたのは嬉しい。
次に曲順。
オリジナル版は、牧歌的で素朴なアコースティックソング「Two Of Us」で始まり、軽快なリズムのロックナンバー「Get Back」で終わるが、リミックス版では以下のとおり「Get Back」で始まり、アルバムタイトル曲の「Let It Be」で締め括られている。
Get Back
Dig A Pony
For You Blue
The Long And Winding Road
Two Of Us
I've Got A Feeling
One After 909
Don't Let Me Down
I Me Mine
Across The Universe
Let It Be
昔、アルバム『Let It Be』を買って聴いていた時、なんで「Get Back」が1曲目じゃないんだろって不思議に思っていたので、このリミックス版の曲順には納得だ。最後は「The Long And Winding Road」で終わってもいいんじゃないかとは思うが。
あとはミックス。
オーバーダビングを極力無くし、オーケストラアレンジも無くし、シンプルなサウンドになっている。
オリジナル版とほとんど変わらない曲もあれば、ガラッと変わった曲もあるが、アルバム全体としては音質がクリアになり、グッと引き締まった印象がある。
全曲iTunesに突っ込んで、好きな曲を中心に何曲か聴き比べてみた。
1曲目 Get Back
オリジナル版とほとんど変わらないけど、最初と最後の話し声がカットされているのが良い。あれは要らんかった。
4曲目 The Long And Winding Road
おそらくポールが1番やり直したかった曲。オーケストラアレンジが無くなり壮大さが失われたけど、これはこれで十分アリだと思う。強いて言うならこっちの方が好きかな。
6曲目 I've Got A Feeling
ルーフトップ・コンサートの2回の演奏をミックスして作り直したらしい。解説には「よりワイルドなところをブレンドした」って書いてるけど、オリジナルの方がギターが前面に出てる分、ワイルドに感じる。こっちはビリー・プレストンのピアノが強調されてる。コーラスはこっちの方が良いので甲乙付け難い。
7曲目 One After 909
1番違いが分からない曲。最後のジョンのアカペラがカットされているくらい?元々シンプルでストレートなロックンロールナンバーだから、特に弄るところが無かったということか。
8曲目 Don't Let Me Down
オリジナルとほとんど変わらないけど、ほんのちょっとだけテンポアップしてる?それと、コーラスのボリュームが大きくなった分、バンド感が増してる気がする。でも、この曲はビートルズじゃなくジョンのソロ曲ってずっと思ってるので、どっちかっていうとオリジナルの方が好きかな。
10曲目 Across The Universe
4曲目同様にオーケストラアレンジが無くなってガラッと変わったけど、こっちの方が断然良い。シンプルになった分、ジョージが弾くタンブーラの音色が引き立ってる。
11曲目 Let It Be
この曲は断然オリジナルの方が良い。ギターソロパートでバックのブラスセクションが無いと盛り上がりに欠けるのよ。
以上が私の個人的な感想です。
聴き慣れたオリジナルの方が良いという方もいれば、シンプルなリミックスの方が良いという方もいると思うけど、まあ、好きな方を聴きなはれ。
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