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小中学校へのスマホ持ち込みによる問題と対策

既に小中学校でスマホ持ち込み可となっている学校もあります。この流れは促進することはあれ、後戻りすることはないでしょう。
では、全面的に持ち込み可能になる前提で、どのような問題が起こると考えられ、また問題を防ぐ方法として、どのようなことが考えられるかを簡単にまとめてみましょう。

1.発生が想定される問題
・授業中の着信や利用による授業の中断。
・スマホの紛失、盗難、破損によるトラブル。
・学校で一時預かりする場合などの紛失、盗難、破損によるトラブル。
・学内での投稿による児童生徒の個人情報流出、学校のセキュリティ情報等の流出。
・登下校時の不適切利用によるトラブルの各種発生。
・接触時間の長時間化による依存傾向、依存症や脳過労リスクの高まり。
・保有状況(有無)による仲間外れ等のいじめの発生。

2.予防法
(1)学校
・学内での利用ルールを定め、家庭及び児童生徒に周知徹底する。
・利用ルールには罰則規定も設け、学校として定めたルールに則り、適切にルールを運営する。
・利用ルール検討に際し、現状の児童生徒の保有や利用状況を確認し(自校生徒だけではなく社会全般の状況も確認する)、スマホ持ち込みにおいて発生する問題を網羅的に想定し、対応策を検討する。
・検討時には、自治体、警察、周辺校及び各種専門家等外部と連携し、発生している問題の情報共有を促進するための定期的な会合を行う。
・学内単独で検討していると、目先の事象に捉われ、抜け漏れが発生するため、様々な立場、視点で可能性を検証することが重要である。
・年一回の定期的な情報モラル教室(セーフティ教室)等の講演会だけではなく、道徳授業、情報の授業、タブレット等のIT機器を利用する授業の際に、関連する問題事例を小まめに紹介するなどの恒常的な意識啓発を図る。
・PTAや地区委員会、家庭と連携し、スマホ購入・保有時の機器の利用目的確認やルールを決めて使用させるように学校や地域で啓発活動を行う。
・理解の浅い家庭向けに、家庭教育のための補助資料等を作成して提供する。また、相談窓口を設けて気軽に相談ができる環境を整備する。(専門家連携や紹介でもよいが学校の事情が分かる人が対応できる方が望ましい)

(2)行政
・講演会、参加型勉強会(ワークショップ)、個別相談会を始め、パンフレットやチラシの配布など地道な活動を行う。また、学校や地域の活動を支援する。講演会等の予算措置を行う。
・専門家と連携して(ネットトラブル等の対策に関する協定を締結する等)、地域として教育や相談、トラブル発生時に対応できる体制を整える。
・問題発生後の対応だけではなく、予防の観点から予算化を行い、産官学民連携で問題に向き合う姿勢を示すと同時に、外部人材を用いて、対策検討案をまとめて広く発信する。

(3)家庭
・スマホ購入・保有時の機器の利用目的の確認やルールを決めて使用させるように家庭で指導を行う。家庭の指導は非常に重要である。
・子供の利用状況を常に意識し、子供とコミュニケーションを取ることで問題や変化の早期発見を心掛ける。
・学校での不適切利用が発覚した際には、学校と連携して子供に対して適切な指導を行う。
・分からないことがあった時に相談できる窓口を事前に確認しておき、わからないことをそのままにせずに、適切な対応ができるように意識しておく。

改めて考えてみると、「あーそうか」という普段意識していないこともあれば、「そうだよね」という当たり前のことだったりします。しかし、知っていることとできることは違います。知っているから大丈夫なのではなく、知った上で何をするか(対策するか、行動するか)ということが重要になります。

ぼんやりわかったような気でいることを定着させるためには、意識を高めて向き合うことが大切です。年に一度でも良いので、世の中の問題を見つめながら、目の前の問題と向き合ってみてはいかがでしょうか。


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著者:原田光久(ひかりば 代表 / コミュニケーション・プランナー) ●社会問題解決アドバイザー、新規事業開発・地域創生・経営支援 ●行政・教育機関・民間企業で研修・講演・IT推進をサポート ●連絡先:harada@hikariba.com