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③宇宙の館「何を頼りに進めばいいのか」

ヒカリ「ねぇ、ここには色んな人が来るの?」

門番「色々な意識や光が来ると言った方が的確かな。我々も、他所から見れば、ただの光やオーブとして存在する」

ヒカリ「なるほど。意識だけで、肉体を持たないのね。」

ヒカリは周りの空間を見渡した。そして壁のような本を見て質問した。

ヒカリ「ここには全ての情報があるの?」

門番「ただの情報ではない。叡智として存在している」

ヒカリ「ふーん、叡智ね。ここには地球に関する事しかないの?」

門番「ふっ。」少し笑って、続けた。

門番「宇宙全体だよ。地球はそのごく一部に過ぎない。」

ヒカリ「ねぇ、ここにある情報を私が地球に発信する事って問題ないの?」

門番「問題はない。お前は、そういう役割を持っていて許可されているから。ここで見聞きした情報を、地球に下ろしていけばいい。ただお前が閲覧できる情報と出来ない情報はある。」

ヒカリ「はい。宇宙記者として頑張ります」

門番「・・・それでもいいだろう」

歩いているのか進んでいるのか、わからなくなるような空間。または、我々は止まっていて、周りが動いているのかと錯覚するような空間。ここにはあらゆる情報がある。悲しい情報や嬉しい情報もあるのだろう。光は、その情報を見つめながら、地球にとって悲しいことって何だろう?地球にとっての喜びとは何だろう?と疑問に思った。

ヒカリ「あの・・・、地球にとっての悲しいことや、喜びとは何ですか?」

門番「その質問自体が、実に地球人らしい質問だ。すぐに良いか悪いか、損得を考える悪い癖が染み付いている。宇宙からすれば、どのような経験も、良いか悪いかで判断はしない。全ては必要な経験を学んでいる。失敗も成功もない。ただ経験だけが在る。それだけだ。そこに意味を持たそうとすると、意見が分裂し、争いが起きる。自分の意見の方が正しいという証拠の為に、争う。人間同士の争いは、実に愚かである。どちらが強いか否か、どちらが偉いか否か、どちらが正しいか否かが・・。それを証明する為に、争う。実に、無意味なことよ。早く目を覚ませばいいのにと思うが、それが地球人。我々は手出しをしない。自分で何かが違うと気づき、別の道を探そうとしなければ、その渦からは、抜け出せない。つまりは自分の意志が必要なのだ。」

ヒカリは下を向きながら、ただ門番の言葉を聞いている。

門番「意志とは、置き換えると【好奇心】だ。なぜだろう?という疑問を持つことから始まる。その疑問を解く為に、答えを探し求める旅に出る。好奇心を忘れるな。好奇心を大切にするんだ。好奇心が、お前の人生の道しるべになっていく。好奇心の光を、自分で消してはならない。その光を頼りに、進め」

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