「山頭火全句集」を一章ずつ⑲
「山頭火全句集」を一章ずつ読んでいくこの試み。
今回は「昭和六年」の章です。
この章、前回に引き続き「日記」の句があるのですが、その日記が二月五日までいったかと思うと十二月二十二日に飛んでしまうんです。
「書簡」の句にはその間の、四月や八月の句もあるのですが、「昭和五年」の章よりも随分と短いな、という印象でした。
さて、この章一月、二月、十二月の句がメインになっています。
つまり冬の句が多いんですよ。
この章の一番最初の句が
という句ですし、雪がよく出てきました。
印象的だったのは、街中の句が多かったことです。
上の句でも「安か安か寒か寒か」というところから人の多い市場や商店街を連想させられますし、もっと都会だなぁと感じる句がこちら。
自動車、この時代には珍しいのではないでしょうか。
人の多い街とか、そういうところでしか見ないイメージがあります。
このとき山頭火はそういう都会にいたのかな~と思いました。
自動車に輪飾をかざる、というのが昔っぽくて好きです。
なんか、自動車という外国から入ってきたものに、日本の輪飾をかざるのがなんだかオシャレな気がします。
そして私が一番好きな句はこちら。
これです。
お正月にはみんな浮かれ気分になるからでしょうか。
この時代の人の人情の厚さもあるのかも知れませんが。
行乞をして暮らしていてもお正月を特別に祝えるのってなんだか、いいなぁと思います。
こういうさりげなく優しさが出てくる句、好きです。
こうやって見ているとやっぱり私、人間が好きなのかもしれない。
とはいえ自然の風景も好きだから、まぁどっちも好きなんですね。
はじめに引用した
もお気に入りの句の一つで、「雪雪」という繰り返しがあるのに加えて「安か安か寒か寒か」というところも「寒か寒か」とは書いてあってもなんだかあったかい感じがして好きです。
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