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その辺にいる花見

セシウムもその辺にゐる花見かな  関悦史(『六十億本の回転する曲がつた棒』)

時々自転車に乗る。
自転車に乗ると気持ちいいのはなんでだろうと思うけれど、馬に乗っていた頃の記憶を思い出すからではないだろうか。
馬に乗って会いにいったりしていたよね、みたいなものを古い細胞が覚えている。うんそうだよね。
或いは勘違いしている。
この風って馬に乗ってるときの風だよね、うんうんそうそう、と。古い細胞たちはまだ自転車というものを知らないから。

信号が赤になってどんどん馬たちが溜まってゆく。私も馬を停める。馬の頭の方に赤ちゃんを乗せた女の人もいて、私も赤ちゃんも女の人もこの3月の春の夕方に包まれている。

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