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希望に近づいたように

妻と希望に近づいたように鶴を見ている  橋本夢道(『無禮なる妻』)

最近大型スーパーでたまたま買った烏龍茶が本当に美味しくなくて、2021年なんだぞ! と思ったことがある。
ほとんどもう未来に来ているはずなのに、相変わらず烏龍茶はやる気を投げ出し烏龍茶の味がしない場合があるし、私はまだジェットパックを背負って「じゃあ行ってくるよ」と笑顔で浮上するような未来には来ていない。

私は多分まだ猿に近く、ほとんどほぼ布のようなマスクを顔と呼ばれる場所に張り付けて、足を使って振り子のように歩いている。
羽ばたくものも背中にないので、階段というのもまだ使う。
話し出すこともなかった花を美しいと思ってぼんやり見ていることもある。
木も鳥もまだこの未来で話し出してはいない。
猫はもう少しで話せるようになるかもしれない。
そう言えば、これからすごくアナログの桜という花が吹き荒れるだろう。

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