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吸って歩いて吸って歩いて

花の蜜を吸って歩いて吸って歩いて  せきしろ(『バスは北を進む』)

自由律って、たえず自給自足するこのわたしのことなのかな、と思うことがある。
このわたしに季語という支えはない。定型という頼りもない。あなたはわたしと違うかもしれない。愛の定義も書き出してみたらぜんぜん違うものかもしれない。あなたはときどきこのわたしに徒労している。
でも。

わたしは歩いている。わたしは花の蜜を吸う。わたしは歩いている。わたしは歩き続ける。
わたしはこの世界の中で循環している。
わたしはまだこの世界の果てを知らない。でも果てを確かに感じてもいる。
わたしは自由を感じ、この今手にしている花に不自由を感じる。
わたしは歩いている。
歩き続ける。

自由律はたえず今を生き直そうとしている。
わたしはあなたをこの今で待っている。
追伸、この今で待つ。

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