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私をさらって行ってはくれぬか

たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか  河野裕子(『ほぼ日手帳2021』)

なにもかもが渦のように見えて悩んでいたことがある。どっちにするかも決められない。生チョコロールにするかモンブランにするかそういうことも決められない。
全部渦の中にいるように思える。

「でもここではなんだって起こるって思ったらいいんじゃない。渦の中にいるんだから」

そう言われて、まあそうなのかも、「望めばここではなんだって起こるのかも」と思ったりした。今はそういう渦の期間なのだ、と。

春の嵐がごちゃ混ぜにして、もう一度世界をやり直しなさい、というように、私は渦の季節を暮らす。季節が終わるとき、私は生チョコロールにするかモンブランにするかを決められるだろう。これ、と。

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