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本当に最悪なのは何だろう

本当に最悪なのは何だろう 君がわたしをあだ名で呼んだ  永井祐(『日本の中でたのしく暮らす』)

気づくとドーナツを手に持っていることが多い。ドーナツは家で落ち着いて食べるものじゃなくて、いつも手に持っていて、どこかかじっている、そういうものじゃないだろうか。

人が怒ったり泣いたりしていたときも私は手にドーナツを持っていたような気がする。
相手は凄く怒っていたけれど、こんな円い食べ物どこにも仕舞いようがなく、私はドーナツを手に持ったまま人がちゃんと怒った声を聞いていた。
怒っているひともきっと怒った後にこいつはドーナツを食べるんだろうなとどこかで思っているんだろうなとも思った。
そしてそれはたぶん実際そうなる。
食べ始めたドーナツは捨てるわけにもいかないし本棚にしまうわけにもいかないから。

私は大事な日にドーナツを手に持っている気がする。未来もきっと半分くらいはそうだろう。

本当に最悪なのはなんだろう。

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