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あした来るソファー

数ページの哲学あした来るソファー  西原天気(『けむり』)

私はこの句がすごく好きだけれど、それは多分哲学って数ページでいいんだよねという軽さから来ていると思う。

生きてゆくことの軽さ。

軽い話を信条とする校長先生。「私の話は次の一言で終わります。明日私の家にソファーが来ます。終わります。ありがとう」

数ページほどの一日。
数ページくらいの感覚であなたと今日会うこと。
何かがわからなくてもいいし、大事なことがなくてもいい。
ただ、ほんの少しだけが、今日、明日、と続いてゆく。
今日はソファーが来ないだろうけれど、明日来るだろう。ほんのわずかな希望と期待。なにかが変わってしまうかもという少しだけの不安。
でも全部数ページの生の感覚で。

私が俳句をいろいろ読んでいて時々驚くのは俳句がこの世界の希望をくれるということだ。
それは間違った読み方かも知れない。
でも私も少しだけ間違って、数ページの読み方でゆこうとも思う。

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