見出し画像

しごとを決めるまで①「勤め人になること」

4月から、働く場所が決まった。朝仕事場に行って、他の人と一緒に仕事をして、夕方帰るような仕事である。「どこで」を決めるまでの話も、「何を」を決めるまでの話もたくさんあるのだが、「どんなふうに」働くかということを決めた理由をまずは書きたい。

就職をするというと、
「やりたいことより安定を選ぶんだね」「時間をお金で売るんだね」
というような感想を持たれることがある。有期の仕事ではあるのでそこまで安定もしないのだが。

自由の森での中学高校時代を経て、一年の浪人の末に武蔵野美術大学の彫刻学科を卒業、という就職からは遠そうな学歴の私だが、色々な職業の選択を考え、また色々な経験から自分の性質を理解して就職するという選択をした。
私は妥協で選んだのではない。お金のためだけでもない。私の心にとって一番いい進路を選んでいるつもりだ。

まずは、体験に対する自分の反応を見て、自分の向き不向きを考えたこと。

高校の頃から、学園祭の準備が好きだった。当日はそこまで好きでもなかった。準備は、何かの目標に向かってみんなで知恵と労力を出し合ってなんとかしていく感じが好きなのだった。人と顔を見合わせて、言葉や表情を交わす。「ずっとこれをやってられたらいいなあ」と思った。

大学で、いくつか在宅のお仕事をした。私は在宅の仕事ができなかった。人と一緒にやるのでないと、スピードが出ない。やる気も出ない。雇い主の方には本当に申し訳なかった(なんとかしたはしたのだけど)。在宅の仕事は合わないんだなと思った。

大学は、2年生までは出席をとられるけれど、3年生からは座学の講義以外の制作の時間は出席をとられない。それに甘えて、朝寝坊するようになった。きちんと出勤時間が決まっている方が楽だった。

人と働こう、と思った。

そして、今まで、いろんな職業の大人に会った。
フリーター。アーティストペイで生きてる人。サラリーマン。飲み屋の店長。教育機関で働きつつ他の活動もしてる人。家業を継いでいる人。個人事業主。自由の森にいた頃に憧れていた先輩たちに、自由の森を出て社会人になった頃合いで再会したことも大きかった。自分が3年後にどんな大人になっていたいか、彼らを見て考えた。

正規雇用されている人にも、そうでないお金の稼ぎ方をしている人にも、いろんな人に会えたのがよかった。どちらにだって、素敵な人も「こうはなりたいと思わない」と思う人もいた。
そう思ったら、
「私はあの人のどこが素敵だと思ったのかなあ」
「私はあのひとのどこに似たくないと思ったのかなあ」
と言語化していく。自分がどうなりたいのかが、出会った人によって見えてくる。

いろんな人を見た上で思うのは、組織に所属している人間は、安定感を醸し出しているということだ。
私は精神的にも肉体的にも場所的にも不安定な人間なので、その安定感が欲しかった。毎月決まったお金が入ってきて、収入と支出を計算して、計画的に貯金をしてみたかった。地元と呼べる場所もなく、なんとなく地に足のつかない生活をしているところから、どこかに根を張ってみたいのだ。とりあえず、今のところは。

そういうわけでどこかに勤めることを決めて、働き口も決まったので、4月からは社会人です。
ゆるりと見守ってくれたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?