苦しいよりも元気な方が、絶対いいっしょ

「10年後のるみちゃんは、ものすごく大物になってるか、考えすぎて悩んでおかしくなって自殺しちゃってるか、どっちかかもね(笑)」

いつだったか、親しい人にそう言われたことがあった。

私はその一言がけっこう面白く感じてしまって、「ほんとそうですね、死なないように気を付けます(笑)」と答えた。ほんとにそうかもな、と思ったからだ。

私は、あれこれ考えすぎるタチだった。どうでもいいことも深く考えるのが好きで、それが自分の取り柄だと思っていた。たとえその結果、悩んだり、落ち込んだり、精神をすり減らしてしまったとしても。

たぶん、それなりにあれこれ考えたこと、あるいは考えたことを書き出した文章を「面白い」と感じてくれる人が少なからず存在したので、深く考えることは自分の「武器」だと感じていたのかもしれない。

私は普段、ツイッターをよく見る。自分のタイムラインにいる人は、なんかすごそうな人が多い。彼らはよく、悩みだったり、過去に悩んでいた自分の経験談だったり、苦労しながらあれこれ考え出したことを呟いている。私はそれらが、自分のタイムラインでどんどん流れて行くのを眺めている。

そういう類のツイートを見ていると、なんかやっぱり人生ってのは、あれこれ考えたり悩んだり苦しんだりしないと、良いものにならないのかなーと感じるようになってしまった。タイムラインのなんかすごそうな人々に比べたら、自分は全然苦しんでない気がするし、それってダメのかな、もっと苦しんだ方がいいのかな、なんて。

あれこれと、どうでもいいことまで考えて、悩んで、自分の首を締めて苦しむことを、私は「有意義な活動」だと思っていたのかもしれない。苦しめば苦しむほど、noteの執筆はどんどん捗った。意味深でネガティブなツイートも増えた。考えることは心身をすり減らすが、それは自分の「使命」だと思った。

6月、なんだかどうしようもなく落ち込んでしまって、お休みを取ったことがあった。別に何かがあったわけでもないのだが、おそらく自分で自分の首を締め続けた結果、いつのまにか失神してしまった、そんな感じだ。

休んだその後は、調子も良くなった。しかし、調子が良くなった自分を、少し不満に思った。「苦しい、苦しい」という気持ちが薄れた自分は、有意義な人生を送れていないような気がしたのだ。その時に書いたnoteには、「あんなに苦しかったのに、いまは苦しみが恋しいと思ってしまう。そんな自分って馬鹿だなあ」みたいなことを書いていた。

いやほんと馬鹿かお前は。バーカバーカ!

不思議なことに、この頃はあまり考えすぎたり、苦しんだり、悩んだりしなくなった。以前の自分に比べたら、いまの自分は元気で明るい人間な気がするし、それでいい、と思うようになった。

元気になった理由は、自分でよくわかっている。

一つ目は、夏になってあまりにも暑くなったために、一時期ほぼ毎日ビールを飲んでいたら、どこかで頭のネジを失くしてしまったことだ。これは本当だ。ビールはすごい。美味しくて、最高だ。

二つ目は、映画をたくさん観るようになったことだ。映画館で大きな画面と大きな音に頭をガンガン殴られると、とても気持ちがいい。難しいことを考えず、空間に身をまかせていれば勝手に驚いたり笑ったり涙が出たりする。ポップコーンも美味しい。(ビールがあるとなお良い)

三つ目は、自分が好きだな、会いたいなと思う人たちに、会うようになったことだ。好きな人と一緒にいると、それだけで無条件に元気が出て楽しい。家でひとり、哲学者気取りであれこれ考えた末、気分が悪くなって床にノビて動けなくなるあの活動より、何倍も健康的である。

夏になって頭が悪くなったので、私は「苦しむ」というアクティビティーのやり方を忘れた。その結果、心身ともに健康になった。ビールと映画と大好きな人たち、ありがとう。

悩んだり、難しいことを考えたり、苦しんだりしている人(そしてそれらを乗り越えて成功している人)を見ると、「ああ自分もこういう風に生きなきゃ、良い人生が歩めないかな」と思う人は、意外と多いのかもしれない。私も、そう思っていたうちの一人だ。

でもまあ、一応動物なんで、苦しいのは少ない方がいいよな。もちろん、人生イージーモードばかりではいかないが、私にとって「考えすぎること」はかなり心身に負担がかかる行為なんだなと気づいた。だから最近は、無理してあれこれ考えすぎず、なるべく前向きに生活するようにしている。疲れたら、ビールを飲んで、映画を観て、友達と笑うのだ。私は、心身ともに元気であることの心地よさを、ようやく知ったのだ。

周りから見たら、つまらない人間に成り下がったと思われるかもしれないし、過去の自分がいまの自分を見たら「面白くない」「かっこよくない」「なんか頭が悪そう」と思うかもしれないけど、バーカ!そんなの知るか。

だって、苦しんでどんより落ち込んでるときの自分よりも、元気でハッピーで最強なときの自分の方が、うんと楽しそうで好きなんだもん。

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