君との距離が

携帯電話をなぞる指が止まる。

たった一年足らず前の写真には、騒がしい仲間とともにピースサインをする僕とあなたの姿があった。

あなたの満面の笑みは、こんなに粗い画質でも眩しいくらいの魅力を持っていて、その笑顔の位置が僕の顔にすごく近いことに、おもわず頬が緩んでしまう。

この頃から魅かれてたなんて口が裂けても言えないけれど、この頃からあなたはこんなにも素敵な笑顔を僕に見せてくれてたんだと、改めて知る。

ある日を境にどんどん遠ざかっていった君の笑顔は、今はどのあたりなんだろう。

そのことに目を赤く腫らした夜もあったけど、もうすっかり心に余裕が出来たよ。

今となっては、あの頃どれほど自分に余裕が無かったのか、どれほど独りよがりだったのかがよくわかる。

もう慌ても嘆きもしないよ。

ただあなたの笑顔がもう一度僕に向けられることがあるなら、そんな幸せは他に無いから。

僕はまだその幸せを諦める気は無いから。


離れていった君との距離が

いつかまたもう一度近づいてくれる時を想って。


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