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電車ユーザーへの消費喚起アプローチのすすめ

こんにちは。ひいろです。
実家から救援物資が届きました、

おつまみとビール、お母さんわかってるやんけ。

昨日投稿した記事が
予想外に伸びていました。

読んでくださった皆さんありがとうございます。
まだ、読んでない人はぜひ。

今回は株式会社JR西日本コミュニケーションズの高橋氏ほか1人の論文

移動者インサイト
― 移動中の生活者,その行動と心理に関する研究 ―

を読んだので書いていきます。

はじめに

首都圏だと特にそうですが
私を含めて多くの人が通勤や通学に電車を利用しています。

そうやって移動している人々のことを
移動者といいます。

そして、今回の論文では、
特に電車を使って通勤している人を対象に

移動中の行動や心理をアンケート調査より分析し
どうのように消費行動へ繋がっていくかを研究しています。

移動中の行動

移動者が行っていることについて
気づき、所作、買い物、スマホ利用

の4点から分析しています。

気づき

移動者は様々な考え事をしていますが、
その多くがこの「気づき」に紐づけられているようです。

私たちは、
様々なメディアから情報を得ていますが

実際に
その対象物や事象をリアルに触れることで
それを実感
したりすることを

実感的気づきといいます。

そしてこの実感的きづきから
移動者は考え事をしているようです。

確かに、
車内で目についたものについて
考え始めることは多々あるような気がします。

一方で
テレビやインターネットなどのメディアから得る気づき
認知的気づきになります。

この記事を読んで気づきがあれば
それは認知的気づきです。
何か学びがあれば嬉しい、、。

これより、移動空間とは
実感的気づきを得る機会であるといえます。

所作

駅のホームや車内では
スマホを操作しながら資料を読んだり
書き込みをしている人を見かけることがあります。

現代の生活者にとって
移動時間とは「つぶすもの」から
「使うもの」に変わってきている
ことがいえます。

移動時間ですら、
仕事に使わなけらばならないというのは
働き方改革がいわれる現代にとって皮肉なものです。

また、混雑した車内では
パーソナルスペースが確保できず
人は不快感を紛らわそうとします。
カプセル人間もその一種です。

パーソナルスペースとは
他人がいると落ち着かない空間をさします。

個人によってその広さは異なるといわれており
人はそれが確保されないと不愉快になります。

混雑した車内では
その不快感を紛らわすために

外の景色を眺めたり
周囲の人を観察したり
広告を読んだりします。

また、イヤホンを耳栓替わりにして
自分の世界に入り込む人を
カプセル人間とよびます。

音楽アプリや動画サイトを見たり
ゲームしたりしている人たちです。

会社や家庭において
一人の時間をもてない人が
移動中にカプセル人間になることで
一人の時間を確保していると考えられます。

この行為も、
先の不愉快を紛らわす方法の一つであるといえます。

実際
カプセル人間は若い人に多いように感じます。

買い物

通勤の「行き」では半数近く
「帰り」では7割以上が
週に1回以上の買い物をしています。

論文中では買い物を
習慣的、衝動的、探索的の3タイプにわけて分析しています。

習慣的買物
人は日常を安定させるために
自ら習慣を創り出します。

サラリーマンのおじさんが
新聞を毎朝買って読むのは
このような心理があるからです。

アンケートでも
50代男性が多い結果になっています。

衝動的買物
この消費行動については
内的要因と外的要因からの2つがあり

内的要因とは
自分の内面、感情によるもので
「その日の気分で」といった場合です。

外的要因とは
自分以外の事象やモノによるもので
「欲しかったモノを偶然見つけて」といった場合です。

20代から40代の女性に多い結果がでています。

探索的買物

金曜日に多く
週末が近づいて開放感が高まり
一週間を少しでも充実して終えたい
という気持ちによるためだと考えられます。

スマホ利用

移動者のスマホ利用に関して
情報の収集や検索が最も多く

移動中が貴重な情報収集の時間になっていることが分かりました。

また、普段スマホを持ち歩く人に
スマホを持たずに出かけてもらった結果、

普段よりも
活発に、駅や町中の広告に目を向けており

スマホによって人々の情報感度が高められているといえます。

移動中の心理

人によっては移動時間が
自分を振り返ったり
新しい発想を得たりする機会になっています。

また、毎日のルーティンを繰り返すことで
安心感を得たいという心理もわかりました。

移動中の快楽消費

消費を2タイプにわけたとき
実用消費と快楽消費があります。

実用消費とは
実用的価値に立脚する消費

食材とか必需品の購入はこれにあたります。

実用消費を行う消費者は
合理的な購買動機をもち理性的に判断するとされています。

快楽消費とは
商品やサービスを消費することで得られる快楽の経験が
原動力
になっている消費

今回の買い物のパートで上げた
3つの消費行動(習慣的、衝動的、探索的)は
この快楽消費にあたります。

移動者はこの快楽消費をおこなう
非合理的な消費者としての性格が強い
と考えられます。

快楽消費の要素には
繰り返す安心感、発散、自発性、
認識された自由、新奇性、
発見、非日常
などがあります。

習慣的買物については
繰り返す安心感

衝動的買物については
発散、自発性、認識された自由があたります。

衝動買いは
自由気ままな行動であり

ストレスや緊張感を抱える人にとって
それを発散する役割を持ちます。

また、自発性のある行為であり
自分が主導権を握り周囲を支配している感覚を得ることができます。

この感覚を
コントロール感覚といいます。

会社や家庭では自分中心に物事が進められないことが多く
そういった人にとって衝動買いは
このコントロール感覚を取り戻す作用があると考えられます。

消費活動ではないですが、
どうぶつの森に人々が没頭するのは
コントロール感覚を求めてのことかもしれませんね。

探索的買物については
新奇性、発見、非日常があたります。

日々のルーティンを繰り返す中にも
新しい出会いや発見を求め
非日常的な感覚を得ようとしているといえます。

以上の話をまとめるとこうなります。

快楽消費

移動中のスマホ利用と消費行動

スマホを利用して情報収集する多くの移動者と
うまくコミュニケーションすることで
その行動に影響を与えられる可能性
広がってきています。

しかし、
SNSや情報サイトの利用者には
常に情報過多の問題が付きまといます。

受信はされても目にされなかった、
注目されなかったなどです。

また、
情報過多を感じている利用者は

直近の情報選別してみたり読んだりする傾向があります。

情報を送る側からすると
タイミングが重要であるということです。

そして
移動者の多くは常にオンラインであるため
情報をすぐに受け取れる状況にあり

「今届いた情報」に注意を払う可能性が高いといえます。

なかなかラインの返信が来ない人に対しては
移動中を狙うと効果的かもしれませんね。

移動者が関心を持っている情報と
位置情報システムを用いて
情報を的確に発信すれば

効果的な消費への誘導が可能になると考えられます。

最後に

移動者に対する的確な情報の発信は
消費行動への確率を向上させることしかできません。

なら、より確率を向上させるには
どうしたらよいのか?

たとえば、制御焦点理論に基づけば

商品のプラス面に関する情報に興味を示す人
マイナス面が少ないことに関する情報に興味を示す人など
個人によって興味を示す情報が変化します。

情報発信の仕方や内容には
まだまだ工夫の余地がありそうですね。

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