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路地にひらく

宿場町時代の「まち割り」が残っているのは珍しいらしい。街道から水路敷まで約70~80メートルだろうか、長い距離を細い間口と路地でまるで魚の骨のように街が割られている。街道沿いを歩くと、その路地の表情の違いにドキドキわくわくしながら、本当に探検感覚で路地を覗き込む。多くの人がこの路地を歩きつくしたいとトライをする。
もともと顔見知りどうしの生活道路から発した路地は、旧街道から離れて、もう少し広い範囲まで毛細血管のように広がっていく。島の中に限定され、ある時期に飽和状況となり、車の通らない安心なまち文化と共に、建替え道路拡幅の選択肢を選ばずに、古き良き昭和の風景を頑なに守り抜いてきた。
防災の課題を残しながらも、路地の多さが街の豊かさにつながっているのは間違いない。ペンチを広げ、外部にはみ出した生活感が街との関わりを助長する。多くの住まいが路地に向かってひらき、その仕組みによって強いまちが出来ていくと思いたい。

この投稿はFacebookページで2019年9月12日に投稿されたものです。1週間でお届けする島プロライドオン〜《千住にひらく》その4です。

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