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5回転職してたどり着いた「良い会社の条件」

僕はこれまで、実に多くの職場を経験させてもらったと思う。
5回転職したので、それだけでも6つの職場の経験があるし、他社に出向した経験も含めれば、10社近い職場で働かせてもらったことになる。

会社というのはどこも似ている。
どんな会社も大体の場合、残業の多さが問題になっているし、部署によって残業の多さにバラつきが出てしまっている。
一部の優秀な人に仕事が集中し、そうでもない人は簡単な仕事ばかりしている。
これらのことは、人間が組織を作るうえで避けられない「宿命」みたいなものなのだろう。

しかし、その辺りの特徴は同じなのに、働きやすい職場とそうでない職場は、割とはっきりと分かれていた。
働きやすい職場は、皆が自分の仕事に納得して、よい成果を出そうと邁進しているのに対し、
そうでない職場は、皆が不満を抱えて、互いに仕事を押し付けあう雰囲気があった。

この差はどこからに来るのだろう?
僕が思うに、それはインセンティブの違いだ。
要するに、「どんな人が高く評価されるか」が違うのだ。

働きやすい職場は、偶然に出来上がっているのではない。
自動的にそうなるように、人事評価システムが考え抜かれているのだ。
僕が思うに、その特徴は以下の3つだ。

  • 受け身の成功より、自発的な挑戦と失敗を評価する

  • 個人プレーより、チームビルディングを評価する

  • 残業が多いことより、残業が少ないことを評価する

さっそくそれぞれについて、一つずつ解説していく。


受け身の成功より、自発的な挑戦と失敗を評価する

簡単に言えば、減点主義と加点主義である。

減点主義では失敗しないことが最重要なので、新しくて難しいことに挑戦するのは悪手だ。
これが行き過ぎると、「挑戦して失敗するくらいなら、何も仕事をしない方がいい」という考え方になる。
こういう職場では、互いに仕事を押し付けあう雰囲気を強く感じた。

働きやすい職場は、自発的な挑戦を高く評価する職場だ。
僕はこれを、加点主義の職場と呼んでいる。

社員の自発的な改善を推奨し、実際に改善活動を行った者を高く評価する仕組みになっているので、
社員は「どうすれば課題を解決できるか」「どうすれば今よりスピードや品質が良くなるか」を各自の視点で考えるようになる。

もちろんその改善が成功して成果を出せば万々歳だが、失敗したとしても即ち減点とはならない。
なぜ失敗したのかを分析し、原因を突き止め、次の成功につながる知見を発見できれば、それも評価の対象になるからだ。

逆に、いつまでも言われた仕事しかしない人は評価されない。
厳しいと感じるときもあるが、こういう職場は無駄な仕事がどんどん減っていくし、雰囲気がとてもいい。

失敗を恐れずに挑戦できるというのは、それだけで「良い会社」なのだ。

個人プレーより、チームビルディングを評価する

どの職場にもエースはいると思うが、エースは大きく2種類に分けられる。
1人で圧倒的なパフォーマンスを発揮する人と、周囲の人を巻き込んで大きな仕事を成し遂げる人だ。

僕が知る限り、ブラックな職場は前者を重宝しがちだ。
個人プレーが重視され、社員同士が競い合うことが推奨される。
ただ、こういう職場は得てして足の引っ張り合いが起こりやすく、業務知識を独占しようとする人が出てきてしまう。

働きやすい職場は、後者を高く評価している。
どんなに優秀な人でも、一人でできることには限界があると知っているからだ。
逆に、能力はそこそこでも周囲の人を巻き込むことができる人なら、大きな仕事を成し遂げられる。

自分の仕事に他の人を巻き込むには、ビジョン(最終的な目標)を描ける必要がある。
そして、その実現に向けて必要な人員を洗い出し、上司への交渉などを経て仲間を獲得していく。これがチームビルディングだ。
この時、部署の垣根を越えて人員を集めらると、できることがぐっと広がる。

チームビルディングができる人は自分自身だけでなく、周囲の人たちにもこれまでにない経験を与え、成長させることができるのだ。
こうやって全員が協力しながらスキルアップでき、「良い会社」ができていく。

管理職になるとこれがもっと顕著になって、上司がプレーヤーとしてバリバリ働くのはむしろ評価を下げる。
どれくらい偉いかによってプレイングマネージャーになることはあるが、
基本的に上司はマネジメントに注力し、部下のパフォーマンスを最大化してこそ評価されるのだ。

残業が多いことより、残業が少ないことを評価する

僕が経験してきた中でも、「より多く残業している人が偉い」という職場は多かった。
そういった職場は往々にして、残業代が出ない。

そうすると、社員が大きく2つに分断される。
たくさん残業して会社からの評価を得ようとする人と、
会社からの評価を諦めて残業せずに帰る人だ。

これらの二者は互いに相手を「ズルい」と感じ、対立してしまう。

しかし、一番ズルいのは残業を推奨している会社である。
会社として残業を減らす努力をしないことは、スピードを上げる努力をしないことだ。
このような環境では、無駄な仕事が一向になくならず、社員がどんどん疲弊していく。

働きやすい職場は、残業はよくないことだという原則を共有している。
労働基準法の観点もあるが、残業を放置すれば生産性が下がっていくからだ。

残業を減らすのは簡単なことではない。
仕事の全体像を把握し、残業の原因を特定し、適切な改善を実施しなければならない。
どれも個人でやり切れるものではなく、組織としての活動が必要だ。

しかし、それをやる価値は大いにある。
残業を減らすというということは、品質を下げずにスピードを上げるということであり、つまりは生産性の向上だ。
高い生産性は、それだけで企業の強みになる。

さらに、「残業を減らす」という大きなビジョンの前では、社員は一丸となれる。
残業せずに評価されるなら、誰にとっても最高だからだ。
一丸となって残業をなくせて時間が余ったら、その時間でまた新しい改善に挑戦することもできる。

「良い会社」にはそういうサイクルがあるというのが、僕の経験上の実感だ。


いろいろと話してきたが、働きやすい職場とはつまり、
責任感をもって自発的に仕事をした人
が評価される職場であり、
周囲にいい影響を与えた人が評価される職場であるということだ。
こういう職場に、人は公平感を感じる。

評価されるべき人が、公平に評価される。
それが、僕の考える「良い会社の条件」だ。

#良い会社の条件

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