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ラウンドマストとトータルマストの違い【MMAミリしらキット】

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

今年初めのRIZINナンバーシリーズであるRIZIN34。
大盛況で終わりましたがとある試合が話題を総ナメにしました。

皇治兄貴の復活劇……というより対戦相手の梅野選手のリアクションに大きく注目が集まりましたね。

*試合についての解説は↓下のこの動画を見ていただけると話が分かりやすくなります。

この試合を通して大きく話題になったのはムエタイ、K-1ベースのキックボクシングでのルールの違いです。

またRIZIN.34ではMMAでのスプリット判定の試合がいくつかありました。
(スプリット判定とは……3人いるジャッジがAとBという選手同士の試合の判定で、Aに2人、Bに1人ジャッジが票を入れた状態。この試合ではAの勝利だが非常に競った試合であるということが言える。)

これらの試合については皆さんそれぞれの意見があると思います。
ですが如何せんキックボクシング、MMAを含めた格闘技や審判がいるすべてのスポーツに共通して言えることですが、選手や関係者、ファンの考えがジャッジに影響して判定を下しているのではなく、ジャッジというプロが自らの考えや物の見方にのっとってその試合を裁いています。

だからこそジャッジの考えやそのルールを勉強することはさらにその競技の深い理解につながる事でしょう。
前置きがちょっと長くなりましたがこの記事ではMMAの主要な判定の方式である”トータルマスト””ラウンドマスト”について書いています。こういう判定方式一つをとっても意外と差があるんですよね。
それでは対戦よろしくお願いします。


②ラウンドマスト

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海外ではUFCやBellator、日本国内では修斗、DEEP、PANCRASEというように現在世界のほとんどのMMA団体で使われているラウンドマストというジャッジシステム。
一言でいうと1ラウンドごとにジャッジが点数をつけるシステムです。

わかりやすくラウンドマストを知るためにまずはこの試合を見てください。

この試合は2021年9月に行われたUFC266のメインカードであるフェザー級タイトルマッチで、王者アレクサンドル・ヴォルカノフスキー挑戦者ブライアン・オルテガが挑む構図です。
この試合は激闘of激闘という試合で筆者の個人的2021年MMAベストバウトの1つなので、約30分とちょっと長いですが見てくれると嬉しいです。

試合を見てもらったらわかりますがとてつもない激闘でした。
ですがスコアカード(試合を見てジャッジがどちらにポイントを付けたかがまとめられたもの。)を見るとほとんどのジャッジがヴォルカノフスキーにポイントを入れています。

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こんな感じでラウンドマストとはラウンド毎にジャッジが点数をつける方式優勢だった方の選手に10ポイントそうじゃないと感じたほうの選手に9ポイントを付けるジャッジシステムです。
これを3ラウンドマッチなら3ラウンド、5ラウンドマッチなら5ラウンド行って最終的にポイントの合計が多い選手が勝利します。今回の場合は50-44でヴォルカノフスキー選手の判定勝利です。
またほとんどありませんがジャッジが両選手とも互角に感じた場合はお互いに10ポイントずつ入れたり、逆に大きく差があると感じたら通常9ポイントの所を8ポイントで入れる場合もあります。

このシステムは前述したとおりUFCやBellatorを始めとした世界各国のMMA団体で使われているシステムです。
その理由は多くの団体がUFCが作った”ユニファイド・ルール”というシステムを元にしたルール構築を行っており、その影響でラウンドマストを採用しているのではないかと思います。

また他の理由としては後述するトータルマストと違ってラウンド間ごとにジャッジがポイントを付けるため、どちらかといえばジャッジの主観が出やすいと感じられるトータルマストよりもファンとジャッジの間での認識の違いが比較的出にくいのではないかと思います。
(UFCについては筆者のこちらの記事を読んでみて下さい。)


③トータルマスト

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RIZINやONEと採用している団体は少ないものの、日本と非常に関係の深い団体で使用されているトータルマスト
一言でいうと試合を全部見た後にジャッジが点数をつけるシステムです。

ラウンド毎にジャッジが点数をつけるラウンドマストとは違ってトータルマストは判定の場合試合終了後にジャッジが勝っていると思う選手にポイントを入れるシステムであります。
またそれぞれの団体でどのアクションを重要視するのかというようなルールはありますが、如何せんMMA5分3ラウンド、タイトルマッチだったら5分5ラウンドを見終わった後に点数をつけるため、試合中のどのアクションがジャッジの印象に強く残っているかはどうしてもジャッジ個々人で違う場合が少なからず存在します。

そのため見てるファンとジャッジで感じる印象が違っている場合がたまにあります。
その例として3月26日に行われたONE Chanpionchip10周年記念大会である”ONEX”のとある試合を紹介します。

この試合はアミール・カーン選手と高橋遼伍選手の一戦で、ヒジなどの荒々しい打撃が武器のアミール選手とカーフキックが得意な高橋選手のKO必至の1戦でした。

試合内容は動画を見ればわかりますが両者競った内容の非常に良い試合でしたが、2-1のスプリット判定でアミール選手が勝利しました。
しかし判定の際の高橋選手の表情やアクションでもわかる通り、高橋選手は判定でも勝っていると思って試合を行っていました。
このように選手とジャッジ、ファンとジャッジの認識の齟齬が起きる可能性が少ないながらも内包しているのがトータルマストです。

勿論ラウンドマストでもこのような状況は起きるときがあります。しかしトータルマストは5分3ラウンドを区切ることなくジャッジするので、ジャッジがどこを印象に持っていたかが出やすいのです。
この問題に対してはamebaの格闘技の解説でおなじみの大沢ケンジさんが非常にためになる言葉をおっしゃっていました。

”トータルマストの判定は学生生活を振り返るみたいだ。どこが盛り上がったかは人によって大きく違う。”

次にトータルマストの試合を見る場合はこの言葉を胸に入れてみてみるのも面白いと思います。
(ONEの判定基準について青木真也選手が判定基準をまとめたnoteを投稿されているので、気になる方はぜひ読んでみて下さい。)


④JMOC

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日本の団体間ですら大きく違うMMAでのジャッジの方式ですが、2017年に日本のMMAの審判のレベルアップやMMAのさらなる発展のためにとある会社が設立されました。

その会社は”JMOC” 一般社団法人日本MMA審判機構です。

JMOCの設立によりこれまでの団体がそれぞれのジャッジにオファーをする体制から、JMOCという信頼性のある第三者機関を通したより公正なMMAのジャッジを行うことが可能になりました。
さらにJMOCは定期的にMMAのジャッジに関しての講習会やセミナーを開催しています。詳しくは下のサイトをチェックしてみて下さい。

またJMOCはnoteやTwitterを始めとしたさまざまなSNSを通じて活動をしています。ぜひフォローして一段上のMMAライフを楽しんでみてはいかがでしょうか⁉


⑤おわりに

いかがでしたでしょうか⁉MMAのジャッジと一言で言っても実は団体の垣根を超えると最早別競技のようだと言っても過言ではありません。
ですがそういう状態だからこそより深くルールを理解することでより良いMMAライフが待っていることは間違いないと思います!

またこの記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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