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MMAのバックボーンで偶に出るMMA以外の競技の団体まとめ【MMAミリしらキット】

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


1、はじめに

 皆さんMMAの試合を見たことはありますか?まぁこのnoteを読んでいる時点でほとんどの人は1回は見たことあると思いますが。
えっ、まだMMAの試合を見たことがない!?
そんな人はとりあえずこのnoteをそっと閉じて、YouTubeRIZIN fullfightもしくはUFC fullfightと調べて適当な試合を見てみて下さい。
参考までに最近の筆者的おススメ試合のリンクを貼っときますので気になかった方はどうぞ!


その際にリングアナと呼ばれる人(RIZINではしょこたんがやっているやつです)が選手の経歴を簡単に紹介するのですが、その時によく出る項目が……


・その選手のMMA団体でのチャンピオン歴(何の団体の元チャンピオンだったかなど)
・柔術や空手などのバックボーンの紹介(柔術黒帯、空手三段など)
・現在そのファイターの連勝数


などなんですが、たまに『NCAAディヴィジョン2優勝』 『GLORY○○級王者』 『オールアメリカン選出』といった聞いたことはないけど経歴で書かれるくらいだからすごいことやってるんだろうなぁといった事が多々あります。
今回の記事はそれらの団体を簡単にまとめたものになります。
MMA観戦の一助に使っていただけると幸いです!



2、NCAA

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まずはタイトルにもしているNCAAです。
個人的にUFCやBellatorのような北米系のMMAの試合を見ていると多く聞くんですが、如何せんそのすごさのイメージがつかねぇって人が多いと思ってます。自分もその一人です。

その正式名称はNational Collegiate Athletic Association 
日本語に訳すと全米体育大学協会です。
主な業務としてはNCAAに加盟している大学間でのスポーツ活動の補助です。
具体的にはテレビなどへの放映権の管理大会の運営支援、学生の勉学や練習などの活動補助など様々です。
分かりやすいイメージだとお正月の風物詩である箱根駅伝や大学サッカー、大学野球といった大学生が行うスポーツ大会すべてを取り仕切るスーパー組織です。アメリカンな規模間過ぎて日本の小市民である筆者には全然想像できないです。

その中ので競技レベルの差などからDivision(ディビジョン)という区分けがなされています。これはDivision1から3まであり1のほうが優秀です。
ディビジョンの差で一番大きいのはやはり注目度とレベルの高さでしょうか。ディビジョン1になると将来を渇望されるプロになるような選手が在籍したりテレビ中継もされるため、その注目度は他のディビジョンよりも圧倒的です。

NCAAで運営している競技はアメフト・野球・バスケ・レスリングなど様々でその数なんと23競技
さらにそこから男女別やディビジョン別に分けるともうとてつもない数字です。やばいですね。規模間の差を執筆しながら感じております……

そんなNCAAですが特徴的な規則に選手がやってはいけない事として、NCAAの名前を使って金銭利益を発生させる行動をしてはいけないというものがあります。
具体例としてNCAA選手が『NCAA選手が大食いやってみた』みたいな動画をYouTubeに投稿して広告収入をもらったり、美人NCAA選手としてスポーツ用品会社のモデルを行うなどといった金銭授与行為は禁止されています。

そんな規則がある理由は、NCAAは基本的に学生の本分は勉強であるという考えで行動しています。
今回は長くなるため省いていますがNCAAに加盟すると、AthleticDepartment(アスレチック デパートメント)という組織がその大学に派遣されます。これはその大学のスポーツを管理する存在で主に選手のスケジュールや勉強のサポートなど、選手としてのキャリア形成と勉学の両立への手助けを行っています。
またNCAAは一定以上の成績を収めていないと競技や練習の参加資格がもらえません。

このように選手へ手厚いサポートを行いますが学生としてきっちり勉強を行わせるところがNCAAの大きな特徴ですね。


3、NCAA出身のMMA選手

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 ではそんなNCAAでキャリアを積んで今現在MMAをしている選手をほんの少しですが紹介します。

➀カマル・ウスマン ”THE NIGERIAN NIGHTMARE"

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 182㎝ 20勝1敗(9ko 1sub 10判定)
 現UFCウェルター級チャンピオン
UFCP4P第1位。現在世界最強のファイターであるウスマンは8歳でナイジェリアからアメリカへ渡った移民であり、高校からレスリングを始め大学時代はNCAAのレスリングDivision2で優勝してオールアメリカンに3度選出されたことがある。
(オールアメリカンとは…その競技の記者から投票で選ばれた選手のことで、日本人では八村塁選手が大学時代に選出された。日本の野球でいうベストナインのようなイメージ。)

学生時代に培ったレスリング力によるテイクダウン技術と強靭なフィジカル、193㎝という長いリーチを生かしたボクシング技術で現在UFC無敗でウェルター級の王座を5度も防衛している。
(テイクダウンとは…相手選手を立っている状態から背中が地面についたグラウンド状態にするための行動。)
(UFCってよくわかんないっていう人は自分が書いたUFC紹介記事を下に貼るので読んでみて下さい。)


②ジャスティン・ゲイジー ”THE Highlight"

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 180㎝ 23勝3敗(19ko 1sub 3判定)
 元UFCライト級暫定王者
 UFCのKOアーティスト。4歳から始めたレスリングは大学時代にNCAADivision1で活躍してオールアメリカンに選出されるほどの実力である。しかしそのレスリング力は前述したテイクダウンを狙うのではなく、それを防ぐために使われている。そのためゲイジーは世界最高峰のUFCでも中々テイクダウンが難しい選手としても有名。
 回転率と威力のあるパンチと強烈なローキックで相手をやりすぎなくらいボコボコにすることから”やりすぎゲイジー”というあだ名がある。また試合中に相手の攻撃で1度はKO寸前な状態からでも驚異的な打たれ強さとスタミナで反撃するスタイルで非常にファンが多い選手でもある。

③ダリオン・コールドウェル ”THE Wolf"

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 177㎝ 15勝5敗(2ko 6sub 7判定)
 元Bellatorバンタム級王者
バンダム級の巨人。177㎝という大きな体格からのパワフルなフィジカルとNCAADivision1優勝、オールアメリカン2回選出という圧倒的なレスリング力を武器にアメリカNo.2の団体であるBellatorのバンタム級王者に就いた経験もある。
 現在は一階級上のフェザー級とバンタム級を主戦場に戦っており、日本ではRIZINバンタム級初代王者決定戦で堀口恭司の相手として来日した。



4、GLORY

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最近この団体の王者や有力選手がMMAに本格参戦したりRISEやK1といった日本のキックボクシング業界ともかかわりがあるなどの理由で名前を聞いたことがある人はいるのではないでしょうか?

GLORYとは現在世界最大級のキックボクシング団体です。
始まりは2011年の旧K‐1の消滅から始まります。
ですがそもそも旧K‐1とはなんじゃい⁉とか今の武尊や安保が出ているK‐1とは何が違うんだ⁉という方のために超絶ざっくりと説明すると、K‐1とは1993年から2010年まで活動をしていたキックボクシング団体で2000年代の日本の格闘技全盛期に大きく貢献した伝説的な団体です。現在のK‐1はそのK‐1がなくなった後2014年に新しい組織として立ち上がった団体のことで、便座上現在のK-1を新生K-1昔のK-1を旧K-1と呼称される場合が多いです。

話をGLORYに戻すと、GLORYは旧K-1が消滅したことを受けてキックボクシングの炎を絶やさないためにヨーロッパの投資家やスポーツマーケティング会社が中心となり立ち上げたのがスタートです。
その豊富な資金力を武器に旧K-1の人気選手を加盟させることに成功し盤石な体制を作ったGLORYは勝負の戦略として、K-1などのキックボクシング人気のある日本と格闘技の大市場であるアメリカへの海外興行に打って出ました。

しかしこれがどちらも失敗に終わってしまったのです。その理由として当時日本はK-1などの有名格闘技団体が消滅していて徐々に格闘技という存在が下火になっていたことなどが原因でGLORYは受け入れられませんでした。

またアメリカではキックボクサー自体のレベルが高くなくヨーロッパやタイのトップクラスの選手をそろえているGLORYには到底太刀打ちできるほどではありませんでした。
そうなるとどうなるかというと地元の名前のある選手が淡々と海外の強豪にボコボコにされる大会になってしまうということです。
想像するだけでもちょっとアレですね……興行的にどうなんだということは素人でも予想がつきます。まあ格闘技が好きな変態ならともかくその選手のファン位の人はまあまあなトラウマものですな。

そんなこんなで気合入れた日本とアメリカへの海外大会はどちらも失敗に終わりましたが、そこからバダ・ハリを始めとする旧K-1のスター選手リコ・ヴァーホーベンというキックボクシング界のニュースターを筆頭に現在の地位まで昇り詰めました。

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バダ・ハリ

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リコ・ヴァーホーベン

そして2022年現在GLORYは日本のキックボクシング団体であるRISEとヨーロッパのキックボクシング団体であるEnfusionと提携を結び、さらに『GLORY Rivals』というイベントを行うことを発表しました。
このイベントは世界中のファイターたちが団体の垣根を越えて戦う場所をGLORYが作るというとてつもないイベントです。例を出すと有名漫画『グラップラー刃牙』の最大トーナメントのキックボクシング版です。

ここからわかる通り2022年GLORYは漫画やアニメレベルのとてつもないことをやる気でいます。
皆さんも2022年はGLORYに注目して良いキックボクシングライフを送ってみてはいかがでしょうか!



5、GLORY出身のMMA選手

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ではNCAAの章と同じようにGLORYに参戦していた選手で現在MMAの舞台で活躍している選手を紹介していきます。

➀イズラエル・アデサニヤ ”The Last Stylebender"

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 193㎝ 21勝1敗(15ko 6判定)
 現UFCミドル級チャンピオン
現在ミドル級無敗。現代MMAに多く存在する立ち技出身ファイターで1番の成績であるアデサニヤは、子供のころ故郷のナイジェリアからニュージーランドに移住した際にいじめられたがその時に彼の救いになったものがダンスとムエタイである。その後アデサニヤはボクシング、キックボクシングへと進みGLORYのミドル級トーナメント優勝など輝かしい戦績を収めながらもMMAへと戦場を変えた。
 203㎝という長いリーチと圧倒的な立ち技技術で84㎏のミドル級では細見にも見える体を操り異次元のkoを見せている。強烈なロー、カーフ、関節蹴りで相手の足を崩しながらハイキックや鋭いパンチなどで相手の意識を散らして、相手が飛び込んだ際のカウンターで多くの選手をkoしている。

はじめにの章で紹介した試合もアデサニヤが出場している試合であり、この試合は個人的アデサニヤのベストバウトの1つであるので是非見てください。
正直その試合見るだけでアデサニヤの化け物っぷりを嫌でも感じる内容です。特に最後のkoシーンは必見!


②ギガ・チカゼ ”Ninja"

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 182㎝ 14勝3敗(9ko 1sub 4判定)
 UFCフェザー級8位
UFC7連勝。ジョージア出身のチカゼは極真空手と沖縄剛柔流空手をバックボーンに持っており、剛柔流空手は三段の腕前。キックボクシング時代には元GLORYフェザー級王者セルゲイ・アダムチャックに勝利した経歴がある。
 スイッチと細かいフェイントを駆使して相手の隙を伺い、空手の動きをベースにした変則的な打撃とギガキックと呼ばれる左三日月蹴りで世界最高峰のUFCで活躍している。前線は惜しくも敗北したが再起に期待。
(スイッチとは……選手が構えの足の前後を変える技術。相手への距離感などを変えることができる。)

ギガ・チカゼ活躍シーンまとめ


6、おわりに

いかがでしたでしょうか。しかし現代のMMAのバックボーンは日々更新されるほど多様化しています。そのため今回紹介した団体や競技はまだまだほんの一部ですので、もし「俺の好きなあの団体が入ってないじゃないか⁉」「詳しくはないけど名前は聞くあの競技について知りたかった……」なんて思われた方は、ぜひ筆者のTwitterやこの記事のコメント欄意見や感想を送ってください!どしどし待ってます!

 ここまで読んでいただきありがとうございます!!

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