自主性を大切にする育児…2

大川繁子『92歳の現役保育士が伝えたい親子で幸せになる子育て』を読み終わったので感想。

 アドラー心理学に基づく「叱らない&褒めない」育児については、なんとなくわかってきた気がする。褒めちゃいけない理由が疑問だったのだけど、要は「褒める=評価する=上から目線」ということらしい。大川氏によると、褒められることが目的になってしまうと、親の見ているところでだけ「いい子」を演じるようになってしまうとか。
 じゃあどうしたらいいのかと言うと、自分(親)の感情を軸にして伝える。「〇〇してくれて嬉しいよ、ありがとう」的な。でも幼児にとってはそれだって評価の言葉であって、親の見ていないところでいいことをしても「お母さん喜ばないしありがとうって言ってもらえないし…」と考えるようになれば結果は同じ気もするが。
 でも、方針・理念としては理解した。とにかく「子どもを対等な一人の人間として尊重する」っていうことだ。友達や兄弟に接するのと同じように、自分の考えを押し付けたり相手の行動を矯正するようなことは基本しないということ。なるほどな。そしてアドラーの目的は子どもに社会の構成員としての自覚をもたせ、社会に参加すること、貢献することの喜びを学んでほしいということらしい。まあこの辺は一応メモ程度に。
 そしてモンテッソーリ。この教育法の肝は「子どものやりたいことを好きなだけやらせること」。これが子どもの人格形成にどう影響するのか見当もつかなかったけど、「やりたいことを何でもやっていい」って思えることってすごく大事だということに気が付いた。成長して、自分の進みたい道を考えるようになったとき、ちょっと周りとは違う方面に興味が出てきたとき、「どうせこんなことできないよな…」とか「親が反対するだろうな…」とか「すぐ飽きちゃって馬鹿にされるかな」「どうせ失敗して恥かくかな」とか、できない理由を先に探す考え方をしてほしくない。
 気になることはとりあえず何でもやってみたい、やっていいと思えるような思考回路を育てたい。これから100年近い人生を生きる上で、できないことなんて何もないと思ってもらいたい。そのためには、幼児期から自分への自信とか自己肯定感を高める必要がある。そこでモンテッソーリだ。そうなのか。目からうろこでした。
 あと、本の中で大川氏の保育園で自由に育った子は小学校に入ってすぐはちょっと苦労することもある、という話が何回か出てきた(でも小5くらいからグンと伸びるらしい)けど、裏を返せば、小学校にあがったらその後は少なくとも中学卒業までは何でも自分の思い通りになんてできなくなる、だからこそ保育園期ぐらい一日中やりたい放題やらせてあげたいな、と思った。
 次、今私が子どもを育てるなかで最もストレスに感じていること、「ごはん食べてくれない問題」にもこの本のおかげで一応答えが出た。
 大川氏の保育園ではごはんは食べたくなければ食べなくてもいい。遊び続けたければ遊び続けていい。後で食べたかったら時間を決めてとっておく。あとでお腹がすいて食べたくなったとき、どこかに残っていれば食べられるけど、なければしょうがない。という方針らしい。すごいなあ。
 ごはんは決まった時間にみんなで、きちんと座って食べるという風に教えるべきだと思ってた。「ごはんいらない」なんて言われようもんなら「じゃあもう食べなくていい!」と怒っていた。でも、本に書かれてたように、自分にだってごはん食べたくない気分のときもあれば、用意された食事がなんとなく進まないこともある。お腹がすいていないのに早く食べなさいと何回も言われ、わざわざ口までスプーンを運ばれたら、「もうほっといてよ!」と言いたくなるだろう。そんなことが続いたら、ごはんの時間が嫌いになっちゃう。なんてかわいそうなことをしていたんだろうと反省。これからは、食べたかったらどうぞ、というスタンスでごはんの時間をお互いストレスなく過ごしたいと思う。
 
 あといくつか印象的だったことをメモ程度に。
・花瓶とか書類のような、子どもに触られたくないものは隠さずにあえて届くところに置く。触って壊す、こぼれる等の経験をさせて自ら学ばせる。
 →言いたいことはわかる。が、家でこれやるのには相当の覚悟が必要である。
・おむつ外れについて、親が失敗に対して過剰に反応するほど長引く。そのうちするっと外れるから必死になりすぎるな。
 →今ゆるやかにトイトレ中なのでこれはいいこと聞いた。引き続き保育園におんぶにだっこの方針でいくこととする。
・テレビやスマホ動画等の映像類は一日2時間まで。見せすぎると想像力が育たなくなる。
 →これがワンオペ2人育児だとなかなか厳しいのよ。目標2時間ということで。
・絵本選びは楽しさ優先。学びを得させようとするのはやめる。
・絵本には難しすぎはあるが、易しすぎはない。
・子どもが一冊読み終わらないうちに次々に違う本をもってきて、これ読んでと言ってきても言われるがままに読んであげなさい。
 →了解!
・「せねばならぬ育児」をやめる
 →やめます!
・夫婦の仲が良いことに勝る育児環境はない。
・子どもが独立してから二人で楽しめるような夫婦になりましょう。
 →結局これが一番むずい説!

 以上、いろいろ書きましたが、この一冊を通しての収穫を一言で。
「とにかくなんでも子ども自身に決めさせる」ということですね。
大変勉強になりました。

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