#61 カラオケでの選曲

最近、カラオケに4年ぶりに行った。前行った時はコロナ禍に入る直前くらいで、私は浪人が終了し大学に入学する直前だった。高校の同じ部活の同期もほとんどが私と同じく浪人が終了したタイミングで受験終わりを兼ねて高校の最寄り駅付近にあるカラオケに行ったきりだ。

4年前までは、カラオケというと普段から行動を共にする仲の良い同級生数人で行く場合しかなかったが、今回は違った。大学のゼミの方たちと飲み会の流れで行くことになった。

ゼミの集まりということは、研究分野が似ていること以外特別な共通点があるわけではない。共通の趣味で集まっているわけではないし、共通の歌手好きで集まっているわけではない。だから、これまでよりも選曲が難しい。また、今までみたいに同性だけで集まっているわけではないことも選曲を難しくさせている。

今までは多少マイナーな曲でもあまり躊躇なく入れることができたり、歌の内容が下品な言葉を含んでいないかなど気にしなかったが、今回はそれらを気にする必要があった。

さらに、カラオケが4年ぶりということもあって、その間に聴く曲や世間で流行している曲がかなり変わってきているから選曲の方向性も昔から変化しているはずだ。でも、大学生になってからよく聴く曲が増えてきたので、そこは新たな自分の嗜好を発揮する上で良い機会ではないかとも思った。

受付で皆が学生証を提示して一部屋に入った。画面の近くに座っている人からタッチパネルで選曲し歌唱をしていく。最初の人たちは、昔からのヒット曲を選び、皆んなが一緒に合いの手など打つことができる歌で全体を巻き込むように盛り上げていた。

趣味が同じ人で集まっていないといえども、研究室の集まりということで年齢は近い。だから同じ年頃に流行った曲は大体知っている。そういった曲を歌うことで場の空気に乗ることができると思った。

そうして自分の歌う番が来た。私が普段聞くような曲で歌いたい曲かつ流行していて全体が盛り上がりやすい曲という条件を自分の脳内に検索をかけたところ、creepy nutsの「のびしろ」がヒットした。これを選曲して歌い始めた。

すると他の人も案外曲を知ってくれていて一緒に歌ってくれた。ラップということもあって間奏部分が少ないため静かになる場面も少なく勢いがキープされ、かつ曲全体の時間もそこまでかからず、個人的にはよかったと思った。

自分が一周目を歌い終えてテレビ画面から遠くに座る人たちが選曲する番になると、自分が一旦歌い終わったため一つ山場を乗り越えた安堵感で気持ちが楽になった。

二周目に突入すると、躊躇いがあった一周目とは異なりすぐ歌いたくなった。一回選曲してみると場の空気が分かり、その中で自分が出来るだけ歌いたい曲を選びたいという気持ちでワクワクした状態になっていたからだ。

二周目にタブレットで色々検索をかけていると、bittersweet sambaがあった。自分が知っている曲には歌詞がないが、カラオケに載っているということは本来は歌詞があるのではと予想して選曲した。

すると、私がいつも聴いているそれが流れ出し、歌詞は一切出てこなかった。びっくりしてしまい演奏を即中断した。だが、知ってる人もいて盛り上がったので良かった。

そんな感じだったが、自分が普段聞いているが他の人にはあまり馴染みがないだろうという曲を歌ったらどんな雰囲気になるだろうというのを度々想像するのも、結構楽しかった。

私以外にも同じ研究室の色んな人が選曲し歌っていた。中には馴染みのない歌もあったが、普段ゼミでしか顔を合わせない人たちが歌ったり一緒に盛り上がる姿を目にできたのも新鮮であった。

最初に書いた私の不安は杞憂に終わった。久々にカラオケに行って選曲をするのが楽しかった。普段は聞いているだけだから歌ったことない曲がかなりあることに気がついたので、今度は一人カラオケをしてみたいと思った。

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