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【緊急特集】ミュージシャン・ボーカリストが遠隔で"本番録音"できる環境を構築するために最低限必要な機材と心得まとめ

はじめに


広告音楽制作会社、OFFICE HGIUCHI 代表の樋口太陽と申します。私たちは、CM曲など、オーダーメイドの音楽をつくる仕事をしております。


私たちは、ミュージシャンと接する時、雑談の中で時折、録音を自宅にて行うことのできる環境をつくることをおすすめしていました。理由は、広告音楽はフットワークが求められるため、急な追加録音などに対応できる事が、すごく大事だと実感していたからです。

今までは興味のある人に向けて、ゆるりとおすすめしていたぐらいですが、全てのミュージシャンに向けておすすめをしなければならない状況になりました。
 
この度のコロナの影響で、ミュージシャンの状況は、今までとまったく変わってしまったからです。ライブ会場での演奏の仕事はおろか、スタジオに集合して録音する事もままならないこの状況で、自宅録音が出来ないと致命的です。

仮録音ぐらい出来ればそれでよいかも・・・というのでも足りません。

今、仕事で求められているのは明らかに、「自宅で一人で"本番録音"ぜんぜんできます」という人材です。

全国の、コロナ問題でままならない状況のミュージシャン・ボーカリストに少しでも力になれるように、まとめ記事にする事にしました。

ここで対象にしているのは、すでにDTM(デスクトップミュージック)に親しみ、慣れているだろうサウンドクリエーターではなく、今まであまり集中してDTMをやることのなかったであろう、ボーカリスト or ナレーターと、楽器プレーヤーです。

サウンドクリエーターの場合に必要な機材とは、微妙に違ってきますのでご注意ください。そして、お金をかけようと思うとキリがないので、あくまで最低限の金額で揃えられる範囲で考えています。
ただしあまりにも安いものを買って、また後日、少し上のものが欲しくなるようではもったいないので、プロユース想定での最低限の機材というのをテーマに、自分たちの経験に基づいてセレクトしてある機材です。(ステマ記事ではありません)

たとえば、普通は絶対必要なはずであるモニタースピーカーを含めてしまうと、一気にトータルの金額が跳ね上がるので、ここでは思い切って抜いて・・・代わりにPCのテンキーを追加している など、録音に必要なだけのものに絞って実戦に振り切ったものにしております。

ライブでのパフォーマンスや、スタジオに出向いての演奏のプロとして仕事をしている人でも、なかなか自宅録音の環境は整っていない人が多いので、少しでも参考になれば幸いです。

・・・今までだと楽器はスタジオで生録音していたけど、集まれないから、打ち込み音源で済ませよう・・・ という件が、すごく増えてくると思います。打ち込みでもそこまで悪く聴こえないなら、いいじゃんという考え方もありますが、問題はその流れによって、世の中で流れる音楽のクオリティが全体的に下がるかもしれないという事です。
しかし!遠隔録音のノウハウが広まれば、むしろ生楽器の録音が、今まで以上に気軽に行われるかもしれませんね。この際、ポジティブにとらえましょう。

幼少の頃から培ってきた楽器のプレイで素晴らしいグルーヴを産み出す事のできる方、天性の魅力ある声の方。そういう方が、このコロナのせいで、音楽の仕事を廃業してしまってはいけません。それは、日本の音楽の基準値を下げることになります。日本の音楽の基準値を下げるということは、日本の文化の一部をガクンと下げることになります。

そう、あなたが自宅での本番録音の技術を身につけて、音楽の仕事を続けていくことは、日本の文化を守る事に繋がるのです。

よっしゃあっ!
はりきってどうぞ!!!

さて、今からは、弊社の音楽プロデューサーの、山本"ぶち"真勇にバトンを渡します。

はい、ご紹介に預かりました、ぶちです。まずは、必要なものを箇条書きでまとめます。

具体的な機材

・Wi-Fi
・部屋の環境
・PC環境
・DAW
・DAWの機能で最低限覚えるところ
・オーディオインターフェイス
・ヘッドフォン
・コンデンサーマイク
・キャノンケーブル(オス-メス)
・マイクスタンド
・特別編 Dropboxなど
・特別編 
オンライン通話環境
 
【Wi-Fi

いきなり、音楽機材ではないところから入ります。Wi-Fiです。
現代では携帯の通信が発達している事により、意外と、自宅ではWi-Fiを契約していない人も多いと聞きます。
しかし遠隔録音では、オーディオを書き出したデータをやりとりしたり、映像に合わせる音楽であれば、大容量の映像データをやりとりしたり、現場に集まって録音する時には考えなくてよかった事ですが、さまざまなデータを頻繁かつ大量にやりとりする必要が出てきます。

まだWi-Fiを契約していなかった人は、今後のためにも早めに契約しておいた方がよいでしょう。

【部屋の環境】
もう一つ機材の前に、まず注意していただきたいのが室内環境です。
マイクでの録音時に室内環境はとても重要です。ひょっとしたらマイクの品質よりも、気にした方がよい点かもしれません。

レコーディングスタジオでは余計な響きが入らないように、壁や天井に特殊な素材を使って、反響をコントロールしています。しかし、一般的な家庭では全くコントロールされていないため、思っている以上に音が響いているものです。
マイクは部屋の響きも含めて収録してしまうため、反響が入りすぎていると本番素材としては使用できないものになってしまう可能性があります。

レコーディングスタジオのような「遮音 & 吸音」をする事は、大掛かりな事なのでなかなかハードルが高いのですが、音の反響を減らす「吸音のみ」であれば、一般家庭でも手軽に行う事が可能です。

壁にこのような吸音材を貼ったり

歌の場合は、このようなボーカル専用のものを使ったり


他にも、室内防音室を用意したりといった対処ができると良いのですが、お金をかけずともできる工夫もあります。
例えば音が跳ね返りやすい壁の近くでは歌わないようにしたり、カーテンに向かって歌ってみたり、部屋にぬいぐるみなど、音を吸いそうな物をたくさん置いてみたり、なるべく響かない部屋(畳の部屋など)を録音場所に選んだり・・・工夫すれば多少なりともコントロールすることができます。

コツは、大声を出して、自分の声を録音してみて、それをオンリーで聴いた時に、「なんか部屋っぽいな」と感じるなら、部屋の反響がまだ多いかもしれません。なんとか部屋を調整をして、オンリーで聴いた時に「スタジオっぽいかも」と感じる事ができるまで、環境を整える方がよいでしょう。

また、意外と忘れがちなのがエアコンの音です。マイクを通すとかなり鮮明に聞こえてしまうので、録音時には必ずOFFにしましょう。

その他にも、ちょうど車が通る音が入っていたり、自宅ではあまり気づかなかったノイズも、スタジオなどデッドな環境で聞くとすべて丸聴こえになってしまうので、室内の録音環境には気をつけましょう。

【PC環境】
MacでもWindowsでも構いません。PC本体は選択肢が広いのでここでは詳しい事は割愛しますが、ここでメインの目的としている"本番録音用途"では、ソフト音源や重いプラグインエフェクトなどは基本的に使わないはずなので、PCの処理能力は、ちょっと古くても問題ない事もあります。

一方、意外なもので、あるとすごく便利なものがあります。
数字を打ち込むテンキーです。Macの場合はこちらなど。

DAWの操作において、このテンキーをかなりの頻度で使います。
Cubaseの場合では、テンキーがないと仕事にならない、といってもいいぐらいです。一般的なノートPCに搭載されているキーボードだと、テンキー部分が存在しないので、ここは要チェックです。

【DAW】
デジタルオーディオワークステーション(Digital Audio Workstation)、略してDAW(ダウやディーエーダブリュー)と言います。
PCを使って音楽制作をするDTMには欠かせないシステムで、録音や再生、編集、ミックスなど、DTMにまつわる様々な作業を行うことができます。
多くのメーカーからいろいろな製品が出ており細かな違いはあるものの、使用するDAWによって特定のジャンルが制作できなくなったり、録音できなくなるといったことはなく、できることはだいたい同じと考えて大丈夫です。

ではどうやって選べばよいか。

ズバリ、細かい機能は気にせず知り合いや友人が使用しているものと同じものを選ぶことをオススメします。そうすることでいくつかの利点があります。

まず1つ目、 "ファイルの共有が可能" です。
同じDAWであれば別の場所でもプロジェクトファイルをそのまま送ってやりとりをすることができますが、異なったDAWでは互換性がないのでそのまま別の場所で使用することができません。プレステのソフトをセガサターンやドリームキャストに使えないのと同じです。
もちろんWAVで書き出すなどデータのやりとりをする方法はいくつかありますが、編集途中のエフェクトを編集可能な状態で引き継ぐことはできませんし、制作途中の全トラックをWAVで間違えないように書き出すのはなかなか骨が折れる作業です。
オフィス樋口の例で言うと、いつでもどこでも開けるように社内とそれぞれの自宅にCubaseを入れており、プロジェクトファイルもDorpbox内で扱うことで常にどのPCからでも最新のものが閲覧編集できるようになっています。

2つ目の利点は、 "教えてもらえる" です。
僕もそうでしたが、DAWを購入した当初、やりたいことがあってもどこをどう扱ったらよいのか全くわかりませんでした。
そんな時に同じDAWを使用している人が周りにいれば気軽に教えてもらうことができます。
実は"できることは概ね同じ"と言ってもCubaseでは書き出しのことをミックスダウンと表現するのに対し、Pro toolsでは書き出しをバウンスと表現するように、同じ機能や同じものを指す言葉がソフトウェアにより違う場合があります。 (ドラゴンクエストでは回復魔法をホイミと言いますが、FFではケアルというように)
また、画面の配置や細かな機能もDAWによって異なるので、DTMをバリバリやっている人でも使ったことがないDAWの使い方を教えることはなかなか難しいのです。

じゃあ例えば知り合いが使っているCubaseにしようと決めた時、、、
そこにまた選択肢が発生します。
Pro、Artist、Elementsと3種類あるじゃん、、、ひるまないでください。
迷うことなく、ここはPro一択です。
価格はPro→Artist→Elementsの順でお安くなるのですが、その分機能が制限されます。
その時に上記2つの利点と関係してくるのですが、機能が制限されることにより、共有できないものが出てきます。しかも友人に教えてもらった方法も機能が制限されていることにより、同じことができなかったりします。
また、安い買い物ではないですし、これから長く使っていくものなので、できればあまり買い直したくはないでしょう。
Elementsで機能が足りなかった、、、!ということはあるかもしれませんが、最初からProを購入しておけばその事態も防げます。

いくつかご紹介します。

・Cubase Pro (Win,Mac対応)


国内シェアが高く、多機能でユーザーも多いDAWです。インターネットや雑誌にも色々な情報が載っています。

・Pro Tools (Win,Mac対応)


DAW黎明期からプロの現場で使用されていたこともあり、レコーディングスタジオではこれが主流となっています。
いわゆるトラックメイキングのDAWとしては、あまり聞かないとは思いますが、本番録音用途という事であれば、間違いありません。
サブスクリプションと永続ライセンスがありますが、長く使うのであれば永続ライセンスがお得です。

・Logic Pro (Macのみ対応)


¥24000と非常に安いですが、性能はもちろんアップルクオリティ!
Macを使用しているのであれば、こちらも選択肢に入ってきます。

・Studio One Professional (Win,Mac対応)

ここ数年でグイグイシェアを伸ばしているDAWです。
元Cubaseを作ったエンジニアが開発したという経緯もあり、cubaseと似ていますが、機能的にはシンプルなものになっています。

ここまでご説明して、でもやっぱり安い方が良いという方!
それでもArtistやElementsといった廉価版はやめておきましょう。
どうしても安く済ませたい方はフリーで使用出来るDAWをお勧めします。

・Studio One Prime (Win,Mac対応)


Studio Oneの無償版です。
Macを使用されている方であれば初めからGarege Bandが入っていますが、仕事でやりとりをするには機能が不十分です。
その点、Studio One Primeは無償版でも機能が多く、ゆくゆくはStudio Oneの有償版や、作りが似ているCubaseへ切り替えても、また一から覚え直しということがありません。
もちろんGarege Bandも、とりあえずDTMをしてみたい!という方には十分な性能ですので、気軽に始めてみたい方にはとてもオススメのソフトです。

【DAWの機能で最低限覚えるところ】
選んだDAWの使い方を覚えるのは、友達に使い方を教えてもらうのがベストですが、教則本を買うのもよいと思います。
DAWには、たくさんの機能があります。何年かかっても、全部は使いこなせないほど機能があるので、分厚い教則本の何から覚えてよいのか迷うかと思います。しかし、「本番録音」に話題を絞ると、覚えるべきはざっくりこのあたりです。

・制作プロジェクト(セッション) にBPMを合わせる
・録音レベルの調整
・オーディオの録音・編集
・書き出しの設定

に関するところです。
例えば録音レベルに関してですが、入力レベルが低めな事に関しては、エンジニアさんがなんとかしてくれますが、入力レベルが高すぎて音が歪んでしまうと、どうしようもなくなってしまいます。

また、とても大事なのが、オーディオの編集において、フェードイン・フェードアウト・クロスフェードを自在に扱える事です。これをある程度自分でやっておかないと、エンジニアさんがテイクのつなぎめの細かいノイズ処理作業が膨大になってしまうので、ここの操作は必ず覚えておく必要があります。

このへんを語り出すとキリがないので、あとはそれぞれの教則本などに任せて割愛しますが、絞って覚えるつもりだと、気が楽になることでしょう。
もう一つ、慣れていない人が複数のDAWを覚えようとするのは、現実的ではありません。少しずつ操作の仕方が違うため、どれも中途半端な使いこなしになってしまうかもしれません。

自分はコレ!というDAWを最初に決め込んで、それをマスターする事をおすすめします。

【オーディオインターフェイス】

オーディオインターフェイスとは、PC上のデジタル信号をアナログ信号に変換したり、また、逆に外部のアナログ信号をデジタル信号に変換してPC上で使えるようにするためのものです。
噛み砕いてお話しすると、PC内部で再生したmp3やwav、youtubeなどの音声をPCのスピーカーやイヤホンから聞こえるようにしたり、マイクに向かって歌った声や楽器を演奏したアナログの音声をPCで使用できるようにするためのものです。

実はPCにはすでに同じような役割になるものが内蔵されています。
しかし、本番録音をするには不十分なものなので、外部で変換できるオーディオインターフェイスを用意する必要があります。

ではどういったものを選べば良いのか。
オーディオインターフェイスには様々なものがあり、安いものだと1万円程度から、上位機種になると50〜100万円ほどと、選択の幅はかなり広いです。
音に関わる最も重要な部分なので、機種による音の違いもありますし、その中から最適なものを見つけることは難しそうに思えますが、今回の目的において気にする部分はシンプルです。

それは、インプットの数です。
インプットというのは入力チャンネルのことで、1つだとモノラル録音が可能、2つあればステレオ録音が可能というように、 何チャンネル分同時に録音したいかによって、決めます。

ゲームも1人プレイであれば1コンだけあれば大丈夫ですが、4人対戦だと4つコントローラーが必要だということです。

ちなみに、インプットが1つでも録音を繰り返してDAW上でコーラスなどを重ねていくことはもちろん可能です。大事なのは"同時に"という部分です。
レコーディングスタジオであれば16,32,64と多くのチャンネルがあるのが当たり前ですが、家庭での録音の場合は上記の通り1,2チャンネルあれば事足ります。僕も8つインプットがついたインターフェイスを使用していますが、フルに使ったのはドラムレコーディングのためにスタジオに持ち出した時くらいで、家での使用は実質1つで足りています。

音質面、使いやすさ、インプットの数、価格のバランスではこのあたりがオススメです。

・入力が1チャンネルの場合
FOCUSRITE / Scarlett Solo (gen. 3)

・入力が2チャンネルの場合
MOTU / M2


【ヘッドフォン】
音をただ再生するだけであれば、PCのスピーカーでもスマホ購入時に付属しているイヤホンでもちろん可能ですが、本番録音となると再生環境も整える必要があります。
細かなノイズや音の良し悪しにはPC内蔵スピーカーや付属のイヤホンでは気付きにくいので、しっかりとした再生環境を確保することも、音質向上につながるからです。

モニタースピーカーを用意しても良いのですが、歌の録音にはヘッドフォン(イヤフォン)が必須なので、まずは密閉型のこちらを1つ用意すれば大丈夫です。

SONY / MDR-CD900ST

ヘッドフォンには密閉型と開放型という種類があります。
音質の違いもありますが、密閉型は外部に音が漏れないもの、開放型は外部に音が漏れるものという違いです。
せっかくいい音で録音しようとしているのですから、ヘッドフォンから漏れたクリック音などがマイクに一緒に入ってしまうことは避けたいです。
レコーディング用のヘッドフォンとしては密閉型を選びましょう。

[マイク]
LINE入力での楽器録音しかしない方は必須ではないですが、ほとんどの方には必要なはずです。
マイクにはコンデンサーマイクとダイナミックマイクが存在します。
用途により選ぶものは異なりますが、歌やDTMでの楽器の録音にはコンデンサーマイクを1本持っておきましょう。
高いものもたくさんあるので上を見るとキリがないですが、コスパで考えるとこちらなどがオススメです。

RODE / NT1-A

マイクの性能を十分に発揮するためには、マイクの他にショックマウントとポップガードというものが必要です。
これがないと、ちょっとしたはずみで、ガンッという音や、ボフッという音が入ってしまいます。

上記の製品には専用のショックマウントとポップガードが付属しており、別途用意する必要がなく、また音質もプロユースなものとなっているため手始めに購入するには最適です。

【ケーブル】
マイクを使用する場合、マイクからインターフェイスまでの接続には基本的にはキャノンケーブル(オス-メス)が必要です。
オス、メスというのはプラグの形の名前で、マイクケーブルの場合は片方がオス、もう一方がメスになったものを使用します。
エレキギターやエレキベース、シンセからの接続は普段使用しているシールド(フォンケーブル)があれば大丈夫です。

長さはお好きなものを選んでいただければ大丈夫ですが、自宅録音用途だと遠くまで伸ばすことも少ないので3mあれば十分でしょう。(1mや1.5mは結構短いです)
ちなみに、メーカーを選ばなければかなり安価なケーブルもありますが、安価なケーブルはプラグの作りが甘いことがあり、接続したまま外れなくなってしまうなどのトラブルもあるので、この辺りがオススメです。

CANARE / EC03-B(XX) BLACK マイクケーブル 3m

また、ここまでご紹介したシステムで構築した場合、別途PCからインターフェイスへ接続するケーブルが必要なケースがあります。
 
上記でご紹介したインターフェイスには、いずれもUSB-CからUSB-Aのケーブルが1本付属しています。
PC側がUSB-Aになるため、USB-Aのポートが付いていないMac Book ProやMac Book Airでは変換アダプタや、USB-CからUSB-Cのケーブルが必要なので、ご注意ください。
 
 【マイクスタンド】
これは音質面での影響はないので、極端に言うとどれを選んでも大丈夫です。しかし、上記のケーブルと同じく安価で作りが甘いものは、締まりが悪くマイクの重さに耐え切れずにスタンドがお辞儀してしまうことがあります。また、形はいろいろな種類がありますが、地面から立てるブームスタンドかデスクに取り付けるデクスアームタイプがオススメです。
 
ストレートなスタンドでは高さしか調整できないので、ベストな位置にコントロールすることが難しく、卓上スタンドにおいては、DTMでPCに向かって録音する場合、目の前にPCのキーボードがあるので置き場に困ってしまいます。
コスパ重視で選ぶとこちらです。

ブームマイクスタンドCLASSIC PRO / MSB/BLACK


デスクアーム CLASSIC PRO / CDA10B


【特別編 Dropbox】
いままでは必須なものを紹介してきましたが、特別編として、
「必須ではないけど、あったらすごく便利なもの」をご紹介します。
Dropboxの有料プランです。


無料の2GBでやりくりしている人が多いかと思いますが、
Dropboxの共有フォルダをつくって、人とデータをやりとりする際、2GBでは全く足りません。
Plusにすれば、一気に1000倍の容量の2TBになります。値段は月に1200円です。月に2000円のProfessionalだとさらに容量は増えますが、ここまでは必要ないでしょう。Plusがおすすめです。
月に1200円という価格をどうとらえるかですが、プロとして仕事をしている人ならば、ありあまるメリットがあると思います。

書き出したデータをDropboxに置いてやりとりするだけでなく、制作プロジェクトまるごとを共有フォルダを置いておけば、例えば共通のDAWを所有している音楽プロデューサー・コンポーザーが、夜中にプレーヤーを起こさずしてそっとプロジェクトを開いて別テイクの書き出しを行う・・・など、お互い負担をかけずに不測の事態に対応できたりするので、おすすめです。

【特別編 オンライン通話環境】
空いた時間に録音しときます!という事でもうまくいくかもしれませんが、時間差で「細かいニュアンスが違う」という連絡が来ても大変なので、スタジオで立会い録音をするのと同じように、音楽プロデューサー・コンポーザーとオンライン通話で繋げて、リアルタイムで雰囲気をチェックしてもらいながら録音する事がおすすめです。
DAWの音をそのまま直で聴かせることは、技術的にちょっと難易度が高いのですが、歌い方のニュアンスなどであれば、LINEでもメッセンジャーでもSkypeでもZoomなどの一般的なコミュニケーションツールの通話でお互いにチェックできるでしょう。
 
DAWの操作をしているPCで通話を繋げると、操作や通話の音量調整など、色々とややこしいことになってしまうので、オンライン通話の方は、スマホやタブレットなど、別ガジェットで独立させて繋ぐことをおすすめします。
また、本番録音時は、画面の向こうのプロデューサーなどがガタン、と椅子を動かしてノイズを出してしまう危険があるので、忘れないように向こうで通話のマイクをこまめにオフにしてもらった方がよいと思います。

ぶちからは以上でした。今からは再び樋口に繋ぎます。

まとめ


はい、戻りました。樋口です。
結局たくさん紹介する必要がありましたが、いかがだったでしょうか。
必要なものも多く、けっこう大変ではありますが、遠隔録音は、コロナ問題に関わらず、今からのミュージシャンにとって、避けては通れない話題です。

たとえば、バイオリン奏者はこの世に無数にいますが、
バイオリン奏者で、しかもPCに強くて遠隔で本番録音ぜんぜんできます 
という掛け合わせの人は、極めて少ないです。今から始めると、オンリーワンになれる可能性があります。

モチベーションが上がるように、もう一つ、例を上げさせてください。

PCを駆使してDTMできる人から、「私はいままで歌ったことなんてないですが、心震わせる歌を歌えるようになりますか?」と質問されたら、「えっと・・・わかりません」って答えます。

しかしその逆だと。

心震わせる歌を歌える人から、「私はいままでDTMなんてやったことないですが、自由自在にできるようになりますか?」と質問されたら、「はい、絶対にできます」と即答します。

DTMを出来るようになるなんて、車の運転を出来るようになるようなもの。慣れて身体が動くようになりさえすれば、才能など全く関係なく、誰にでもできるのです。できない人は、やっていない人です。
あとは、一歩踏み出す事、そしてそれを続ける事だけです。


最後に、この記事を書くにあたって、影響された友人の記事をご紹介します。

ライブハウスが無観客ライブ配信するために必要な機材まとめ
https://note.com/ryomamatsuo/n/neb5f959fb763?fbclid=IwAR0Fp8Ocz3ewcFFGmQycOPZwJnOfyNhXgq517MYOOVtz1sFhVNE34RWsU_I

これを読んで素晴らしい取り組みだなと思い、自分も何か役に立つ知識が提供できればいいな、と思って今回の記事をしたためました。
REEVO代表の松尾龍馬さん、きっかけをありがとうございました!

スムーズな遠隔録音が出来るようになれば、都内に住まなくても地方に住みつつ第一線の仕事ができるかもしれないし、国をまたいだ音楽の仕事に関われるかもしれません。まさに今は、時代が変わっていきつつある時ですが、ミュージシャンにとって、ものすごく大きな転換期です。

今のこの時期に、どう動いたかが、少しずつ自分と世界の未来を変えていきます。大変な事が多い世の中ですが、よりよい未来を信じて、今やれる事をやりましょう。

あなたの未来に、少しでもお役に立てますように。
 
 
音楽制作業 OFFICE HIGUCHI
樋口太陽・山本"ぶち"真勇

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